噺の話

ありが十匹で“ありがとう“

ありが一日中一生懸命に餌を拾ってきて、十匹分揃ってはじめて生活していける量の餌になる

今日も生きていける

だから、ありがとうと言うのだと


なんてね、作り話だけど。

え、本当かと思った。

嘘を言うのは得意なんだ。

そんな感動する嘘はいらないよ。

じゃあ、こんな話はどうかな。“おはよう“はお早うが語源で…。

それは知ってる、本当の話じゃん。

あれ、ばれちゃったか。

ばれちゃったかじゃないわ、それくらいわかるし。

んー、それじゃあ別の話をしようか。



“雪“という漢字は“雨へん“に片仮名の“ヨ“で出来てるでしょう?

昔、よく雨が降る村でのことなんだけど、たまたま雪が降ったんだ

でも、その村で雪が降ったことなんて無かったからね、みんな大慌て

怪奇現象だって言って騒いだんだ

そして、その後にみんなで村の1番の長寿おばあちゃんの所に行ったんだ

これは一体なんだってね

おばあちゃんはこう言ったんだ

「それはユキと言うんだよ。」って

よく雨が降った村だったから“雨“で、そのおばあちゃんがヨネさんという名前だったからヨネさんの“ヨ“をとって、“雪“と付けたんだ


それ嘘だろ。

あれ、ばれちゃったか。

ヨネさんとかそんな名前の人いないだろ。

昔の人だよ?しかも漢字は中国から来たんだから、あり得ない話じゃないと思うんだけどな。

お前の嘘はお見通しなんだよ。

えー、じゃあ違う話をしようか。




筆箱ってあるでしょ?ペンとか入れるやつ

その字の通り、元々は筆を入れるための箱だったんだ

昔は今みたいなシャーペンとか無かったから、筆で字を書いていたんだ

だから昔の筆箱の中は筆に付いた墨で真っ黒だったんだって


え、なにそれ?

豆知識だけど、どうかな?

いや、どうかなって言われても…。

微妙だったか…ならこの話はどうかな。




“カフェオレ“の語源は何だかわかる?

っていうかまずカフェオレが何からできてるか知ってる?

おい、馬鹿にしすぎだと思うんだけど。

まぁまぁ、続き聞いてよ。


とあるカフェで働いてた青年がいたんだ

その青年には幼い妹がいたんだけど、ある日その妹が青年のいるカフェに遊びに来たんだよね

青年は突然の妹の訪問に驚いたけど、とても喜んだんだ

だから妹に何か振る舞おうとしたんだ

でもこのカフェには珈琲しか置いてなかった

幼い妹に珈琲は苦すぎると思った青年は何かできないかと周りを見渡してみた

そこでふと目に付いたものは“オレオのクッキー“

試しにひとつ珈琲の中に入れてみた

クッキーの間に挟まっていたクリームが真っ黒の珈琲に白いマーブルを描き始め綺麗な模様になっていた

これなら飲めるかもしれない

そう思った青年は妹にそれを差し出したんだ

妹は恐る恐る口にして、嬉しそうに笑ったんだ

そして一言、「美味しい。」って

それから“カフェ“で出した“オレ“オのクッキーでカフェオレと言われるようになったの


いい話でしょう?

ちょっとその話、無理あるかな。

あれ、そう?個人的に好きな話なんだけど。

でも、いい話だった。

でしょ、じゃあこの話も聞いてよ。




夢を持ってる人は強い人だと思う

自分の将来を見据えるってすごいことじゃない?

私なんか将来のことの前に明日すら見えてないからな

この先どうしようとか考える気にもならないし

だから、夢を持ってるって強いと思うんだ

でも夢って人が持つものでしょう?

なのに夢に人を加えると“儚い“になる

強いのに儚いんだよ、矛盾してるねっていうそんな話


たぶんだけど、矛盾してないと思う。その通りなんだよ。強くて儚いのが人間なんだ。

見た目は強がっていても、心は弱くて儚い。まぁ、逆もまた然り。

うん、確かに。そうかもね。


儚いものだから、人は夢をみるんだと思う

すぐに実現できるものなんかわざわざ考えることないから



僕らも自分だけの夢、探しにいこう

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