[新章まであと5話ですわ!]あれ? みのりんの寝室が………

「ちびっこG1宇都宮記念、優勝は栃木県宇都宮市の小高昭大君でした! 本当におめでとうございます!」




白熱したレースが終わり、ゴール前での表彰式。



見事1着になった小高君には、春に行われる東京競馬場での全国大会の出場券と優勝トロフィーが送られた。




他の参加者にも、実況の俺と解説を務めた吉川おじさんから順位に応じた記念メダルと賞状、そして着順に応じた図書券入りの目録が手渡された。




地元の小高君が優勝したということで一際盛り上がる中、惜しくも2着だった関君がわんわん泣いているのが印象的。




最年少ながら、果敢な逃げで堂々2着に入ったその度胸と実力は称賛に値するもの。



正直、最後の直線に入って3馬身のリードがあった時は、勝負が決まったかなと思ったほどだったからね。



あと3年。このレースに挑戦出来るチャンスがあるのだから、是非とも頑張って欲しい。





少年達がポニーちゃんに乗る一生懸命な姿に、実況しながら俺も感動した。





思わず涙ぐみそうになりながら俺は、将来馬を持つくらいの野球選手になれたら、是非この子達に乗ってもらおうと思うので、6人ともプロのジョッキー目指して頑張って下さいと、軽くリップサービスをして、俺は表彰台から降りたのだった。








「「いただきまーす!!」」




ポニーレースから帰ってきたその夜。



前日に届いた北海道土産のカニとイクラ。



魚心さんから届いた発泡スチロールをの大箱を開けた俺とみのりんはとてつもなくびっくらこいた。



足を広げたら1メートルくらいありそうな立派なカニが2匹。爪部分が固く紐で閉じられているそいつらは今にも動き出しそうな迫力。



一緒に頼んだ鮭のイクラちゃんは、密封された袋パンパンに入っていて、1粒1粒が大きい。




さらにサービスで、下処理されているサーモンの大きな切り身も入れられていた。




これで1万5000円はなかなかのお買い得。




みのりんはスマホで調べながらカニの足をハサミでチョキンチョキンして、昆布つゆの効いたお鍋を完成させた。




「美味しいわねー! こんな大きいカニは初めてだわ!!」




ギャル美は、今日のポニーレースを実況した俺を褒め称えながら、カニの身の最後の1本までほじくり出すようにして味わっている。




「私もこんな美味しいイクラは初めてです!」




ポニテちゃんも、イクラのように豊満に膨らませたそれを揺らしながら、イクラ丼を勢いよく掻き込んでいる。




「さやかちゃん。そんなに慌てて食べなくても大丈夫だよ」




そう優しく言って、ポニテちゃんのほっぺたに付いたご飯粒を取ってあげているみのりんの様子がどことなくいつもと違うことに俺は気付いた。









翌日。その日の午前中は、駅前で買い物をして、昼飯は2000円のトンカツを食べて、午後からビクトリーズスタジアムに行って、トレーニングルームで汗を流しておりました。



同じ考えの選手が何人かいて、そいつらとくっちゃべりながら、いくつかのウエートトレを中心にメニューをこなし、大豆プロテインを一気飲みして、午後6時過ぎに帰宅。




シャワーを浴びて、何があるか分からんから真っピンクの勝負パンツを履いてみのりん部屋に向かったわけですが………。







「山吹さん! どうしたの!?」





彼女の部屋に入り、ダイニングに向かうとそこに突っ伏していた、みのりんの弱々しい姿があった。




「……あ、あらいくん………もう………帰ったの………? ごめんね………ご飯まだだから……もうちょっと………待ってて……」





テーブルから上げた彼女の顔は真っ赤で、目は虚ろ。歯を少しカタカタ言わせており、肩に両手を回すようにして椅子から立ち上がったが、すぐにふらついた。






俺は慌てて駆け寄り、彼女の体を支える。





「………ごめんね。………すぐご飯作るから……」




「何言ってんの! いいよ、ご飯なんて!すぐに休まなきゃ!!」




みのりんはそう言ってキッチンに向かおうとしたが、俺はひょいっと抱きかかえる。




そしてそのまま彼女の寝室に向かう。





「ちょっと………待って………片付いてないから……」






そういえば、みのりんの寝室に入るのは初めてだなあと思いながらドアノブを回して、部屋の電気を点けると………。




「うわあ、なんだこれぇ!!」





実家に帰った時と同じセリフをここでも口にした。















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