みのりん、本屋に並ぶ

柴崎恭兵(しばさききょうへい)


打率2割5分0厘6本塁打31打点25盗塁



評価 70点




群馬県出身の俊足左打外野手。今シーズンは109試合に出場。主に1番打者として活躍し、チームの記念すべき初勝利となった4月7日には決勝ホームランを放ち一気にレギュラーに定着。



俊足を生かした広い守備範囲を誇るセンター守備はルーキー選手随一で、高い成功率をキープしながらチームトップの25盗塁をマークした。まだまだプレーにムラがあるものの、首脳陣からの評価は高い。



来シーズンは、打率2割8分、全試合出場を目標に1番打者としてチームを牽引したい。






桃白拓史(ももしろひろし)


打率2割5分2厘5本塁打40打点11盗塁



評価 60点



社会人時代には日本一も経験した24歳の強肩外野手。4月半ばに1軍に昇格すると、そのままスタメンに定着。


5月17日の京都戦では、初本塁打を含む4安打4打点と活躍。翌日にも決勝打を放つなど3安打2打点と2日連続でのお立ち台も経験。


社会人出身選手らしく、安定したプレーを随所に披露し、層の薄い外野陣のまとめ役となっていた。



守ってはリーグ1位タイとなる8補殺を記録するなど、その強肩を存分に発揮した。来シーズンも外野の1角として存在感のあるプレーを期待したい。






新井時人(あらいときひと)


打率4割1分2厘 0本塁打 32打点



評価95点



卓越したバットコントロールと脅威の選球眼でヒットを量産した幻の4割打者。


入団テスト経由のドラフト10位指名選手であり、パチンコ店の元店員。


大阪ジャガース戦では9回1アウトの場面で代打出場し、プロ初ヒット。前村のノーヒットノーランを阻止した。


彼の特徴はなんといっても、狙い澄ましたような右方向への流し打ち。長打は少ないものの、投手の左右、タイプ、球種を問わずに広角に鋭い打球を打ち分けるバッティングスタイルでヒットを量産。



さらに三振の圧倒的な少なさも彼の大いなる特徴であり、9月にはデビューから400打席無三振という記録がギネス記録に認定された。



規定打席には僅かに届かなかったものの、奇跡的とも言える打率4割1分2厘、ルーキーの右打者としては歴代2位となる142本のヒットを放った。



明るい性格とガッツ溢れるプレーはチームにとって貴重な存在。ファンサービス旺盛な選手でもあり、次世代を担うエンターテイナーぶりにも注目だ。



来シーズンは、開幕からそのバッティングでチームの中心選手として躍動し、フルイニング出場を至上命題として、正真正銘の4割打者を目指して邁進したい。








「すごい! 新井さんだけで1ページ使われていますよ!!」



俺の評価ページを1番に見つけたポニテちゃんがテーブルから乗り出し、興奮した様子で俺の顔を見る。




隣に座るギャル美は、雑誌に乗ってべた褒めするような筆色で紹介されている人間が隣にいるのが不思議な感覚なのか、ずっと俺の膝辺りをジャージ越しにスリスリと触りながら、何度も何度もこのページを読んでいる。




「あんた、95点だって! やるじゃない! いくら編集社にお金を渡したの?」




「渡してるか! ジツリキですよ、ジツリキ」




「へぇー……。まさか、こんなに高い評価されているなんてね。あ、ここにもあんたの写真見つけたわよ」




「あ、ほんとだね」





「新井さん、マイさん見て下さい。次のページにある東日本リーグのベストナインに新井さんが選ばれていますよ!」





「わぁ! すごいわね! 今日は祝杯ね!」





「みんなー。ご飯出来るよ」




「みのり! あなたも見てみなさいよ! こいつがいっぱい乗ってるわよ」




ギャル美が雑誌に目をやりながら、キッチンから現れたみのりんに向かって手招きをした。




それを見たみのりんの眼鏡がキラリと光る。





「もう10回は読んだ。3冊買った。本屋さんの開店と同時に買った」








えぇ………。ガチりんじゃないっすか。

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