老婆の下ネタとか…………。
というわけで、その次の週の土曜日。人気のお宿だったんですが無事予約も取れてしまいまして、鬼怒川温泉に1泊旅行することになりました。
午前10時、3人で仲良く宇都宮駅前にやってきました。
一応ポニテちゃんも誘ったんですがね。気を使ったのか、本当なのか。残念ながらバイトが入ってるんで3人で楽しんできて下さいと言われてしまったわけですが。
誰の浴衣姿を1番拝見したかったかとと言われましたら…………わざわざ言うまでもありませんでした。
胸ん……。
「新井くん。今日はいい天気になったね」
「そうだね」
そうは言っても、今日のみのりんとギャル美はなんだか普段よりも一段と、お洋服にお化粧に気合いが入っている感じで、なんだか怖いくらいです。
「ねえ、グミ食べる?」
ギャル美からもらった地獄のジンジャー味のグミをモゴモゴしながらおしゃべりしていると鬼怒川方面行きのバスがやってきた。
「イエーイ!! 1番乗りー!!」
と、ギャルはまるで子供のようにはしゃいでバスに乗り込み最後部座席をキープした。
周りには結構他のお客さんもいるのにと、苦笑いしながら俺とみのりんもその隣の席に座る。
それに続いて、後ろに並んでいた人達も続々と乗り込んでくる。
「鬼怒川方面に行く人ってたくさんいるのねえ」
窓際の席でガラス越しに外を見渡すようにしながらギャル美が呟く。
「まあ、年末の週末だし、この辺で温泉ってなったらやっぱり日光・鬼怒川方面だからね」
カップルや親子連れやちょっとした団体さんなど、鬼怒川方面行きのバスの車内はあっという間にパンパンになった。
そして、人の入りも収まって、とりあえずみんな座席には座れましたわね………と、思っていたら、出発する間近の時間になって、杖をついたザ・老婆がゆっくりとバスに乗り込んできた。
バスの真ん中で辺りを見渡すも、シルバーシートには同じくらいのおばあやおじいが既に着席している。
すると………。
「おばあちゃん。こっちに座って下さい」
俺の隣に座るみのりんが誰よりも早く反応して、お婆さんに向かって優しくそう言いながら立ち上がった。
素晴らしい反応の速さ。アへ単のプロ野球選手を凌駕した。
「あら、いいのかい?」
おばあちゃんがニッコリとしながら、こちらに向かって歩いてくる。
「大丈夫ですよ。ほら、マイちゃんと新井くん。もっとそっちに詰めて座って」
丸くて、白くて、プリプリしてて。まだ存じ上げませんが、奥の方にいろいろと穴が空いているだろうそのお尻でグイグイと、みのりんが俺を攻め立ててくる。
初めからそれほどゆったりと座っていたわけではなかったが、俺とギャル美はさらに窓際に向かってぎゅうぎゅうになるようにして体を寄せた。
無論反対側からみのりんがさらにぎゅうぎゅうに迫りながらやってくる。
3人は自分の荷物を抱えるようにしながら、肩を狭めるようにして座席に座る。
狭いよう。
でも、両サイドからとてもいい匂いがしますです。
はい。
みのりんが空けた座席に、ニコニコしながらのおばあちゃんがよっこらしょっと、腰を下ろしたタイミングでドアが閉まり、バスはゆっくりと走り出した。
宇都宮駅前のロータリーのカーブ具合にグラグラと少し揺れるようにしながら、まずは大通りに向かって走り出す。
「お嬢ちゃん達は温泉に行くのかい?」
おばあちゃんが床についた杖を両手でしっかり掴むようにしながらこちらを向く。
歯はわりとしっかりと揃っている。
「はい、そうです!お仕事お疲れ様会ですね」
と、みのりんが答えるとおばあちゃんはまたニッコリと微笑んだ。
「鬼怒川の温泉はいいわよねえ。………もういない主人もあの温泉が大好きでねえ。若い頃はよく行ったものよ。若い頃はお金が無くて、オンボロの自転車を漕いだものさね
それに、7回行って7回子供が出来たわねえ。よく当たったわねえ」
うわあ! おばあが下ネタぶち込んできたあ!
すかさずみのりんとギャル美の顔を覗き込む。
「…………」
「…………ちょ、ちょっと! 何見てんのよ!グミでも食べてなさい!」
ギャル美の方が照れてましたね。
みのりんはわりと動じずに、そうなんですかと相づちを打っていた。
そしてピンポーンと降車ボタンの音が響いた。
程なくしてバスが停まった。
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