韓国戦、総括!

韓国 000 100 000 2 3


日本 000 000 100 3× 4



勝投手 添田 負投手 パク



本塁打



日本 下林1号ソロ(7回裏)







MVP賞 下林



完全試合を阻止するソロホームランに加え、延長戦ではホームへのダイレクト返球で追加点を阻止した。




日本代表が延長戦を制して優勝を飾った。





日本は0ー1で迎えた7回裏に下林の大会初安打となるソロホームランが飛び出し同点に追い付く。



タイブレーク方式の延長戦に突入した日本は10回表、2点を勝ち越され、さらにノーアウト満塁の場面では第1戦に先発した添田が登場。


後がない状況ながら、積極的にストライクを取りに行き、好守に後押しされながら追加点を許さないピッチングを見せ反撃ムードを呼び込んだ。



その裏日本は、4番棚橋が併殺打に倒れるものの、柿山のタイムリーツーベースで1点差に迫る。


最後は後ろに代打新井を準備し、韓国にプレッシャーを与える中、広島カルプス浦野の放った左中間への当たりが起死回生のランニングホームランになり、見事サヨナラ勝ちを収めた。



敗れた韓国は、試合終盤まで日本打線を完璧に封じ、タイブレークに突入した延長戦でも2点勝ち越したが、1点リードの2アウトから決断した、強気の浦野勝負が裏目に出た。




試合後談話。



優勝した日本代表稲木監督。



「厳しい戦いであったが優勝という形で終えられて満足している。本当に選手達が頑張ってくれたし、ファンの声援も頼もしかった。代表が初めてという選手もいたが色々試せたし、そういう意味でもいい大会になった。オリンピックで金メダルを獲ることが目標なのでそれに向かっていい準備をしたい。


先発の前村がよく我慢して投げてくれた。最後も浦野がよく打ったよ」





韓国戦でMVP賞の下林外野手。



「それまで全く打てなくてチームに迷惑をかけてしまったので必ず取り返そうと思って打席に入った。ホームランは変化球に対して上手く反応出来て、今シーズン取り組んでいたバッティングが出来た」




先発し、8回1失点と好投した前村投手。



「ピッチング自体はよかったけれど欲を言えば先に点を与えたくはなかった。それでもチームが優勝出来たのはいい結果だし、これからの自信にもなる」





4試合で8安打7打点。大会MVPの浦野捕手。



「シーズンの終わりから調子がよかったのですが、ここまで出来がいいと、少し不思議な感じです。普段は一緒に出来ないピッチャーとバッテリーを組めてたくさん学ぶものがあった。最後はちょっと走りすぎて疲れました。優勝出来て嬉しい」







色んな意味で劇的な結末となった試合が終わり、水道橋ドームの地下にある駐車場に大型バスが止まっている。



今日の試合後は優勝した後ということもあり、各選手、インタビューや取材が多かったり、昨日までとは比べ物にならないくらいの浮かれ気分だったりと、バスに乗り込む時間がどんどん押していた。



最後の最後に、バックホームされたボールが俺の新井くんな場所に直撃する事故がありながらも、試合には出ていなかった俺には囲み取材なんかはなく、さっさと着替えを済ませて早くバスに向かおうとしていたのだが。



隣のロッカーを使っていた平柳君が、新井さん!俺のケータイがないっす!


とか言い始めたので、ロッカーから選手が皆居なくなってしまう時間まで付き合う羽目に。



裸でフォー!!とか言いながら振り回していたタオルの下から出てきたケータイを探していたら、バスに乗り込むのが1番最後になってしまった。


全く。平柳君は困ったもんですよ。



バスの前方から段差を踏み越えて中に入ると監督もヘッドコーチもみんないた。



疲れてはいるが、優勝した後でみんな上機嫌な様子なので怒られたりはしなさそうだ。



しかしそれでも俺は乗り込んだらまず、バスのドライバーさんに挨拶することを忘れたりしない。








「よろしくお願いします」



と挨拶すると、バスのドライバー。40過ぎの少し体格のいいおじさんはにこりとしながらドライバーキャップの鍔を触った。



「どうですか? 腰の具合は?」



などと、こちらも腰が痛くて試合に出られなかった俺がドライバーのおじさんにそう訊ねる。



合宿の初日から今日までのおよそ10日間。バス会社の中で1番腕のいいという、このおじさんが日本代表の専属ドライバーとして帯同してくれていたのだが、職業柄慢性的な腰痛持ちだという話になった。




そこで俺はビクトリーズの2軍でトレーナーをしている関西弁コーチから、腰痛が改善されるストレッチを数種類などをこのドライバーおじさんに伝授していたのだ。



その結果………。




「新井さんに言われた通り、朝起きた時と寝る前にやっていたんですが、10日でだいぶよくなりました。本当にありがとうございます。全然違うものなんですねえ!本当に助かりましたよ!」




と、ドライバーおじさんは俺を少し敬うようにして会釈をした。





「新井さーん。なにしてんすかー、早くー」





そして後ろから急かす平柳君にまったりとおケツを触られた。





しまった。試合が終わった後だから、大いに油断してしまった。




随分と滑らかな触り方をされてしまった。

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