ちょっと最先端なユニフォームの着こなし方をしただけなんですけど?
Uー25日本代表 アジアベースボールカップ2017。台湾戦予想スタメン。
名前(所属チーム)
今シーズンの成績
1番ショート平柳(東京スカイスターズ)右投左打
.351 27本塁打 72打点 34盗塁
2番レフト新井(北関東ビクトリーズ)右投右打
.412 0本塁打 35打点0盗塁
3番ライト下林(福岡ハードバンクス)右投左打
.270 13本塁打 51打点12盗塁
4番DH棚橋(京都パープルス)右投右打
.245 49本塁打112打点2盗塁
5番ファースト柿山(愛知ドラゴンス)右投左打
.291 18本塁打71打点5盗塁
6番サード青竹(福岡ハードバンクス)右投右打
.268 12本塁打62打点10盗塁
7番キャッチャー浦野(広島カルプス)右投左打
.270 18本塁打68打点7盗塁
8番セカンド平(大阪ジャガース)右投右打
.252 6本塁打40打点22盗塁
9番センター藤並(北海道フライヤーズ)右投右打
.280 9本塁打52打点23盗塁
稲木監督は、平柳、新井の1、2番コンビを選択。打率の高い2人でチャンスを作り、勝負強い中軸のバットで得点を狙う。
4番は西日本リーグ本塁打王の棚橋。所属チームでは主軸を務める柿山、青竹は経験が豊富。
7番浦野もキャッチャーながらパンチ力十分の打撃が魅力で、下位の2人はシーズン後半戦は打撃好調で、攻撃的に走れる足がある。
11月11日。いよいよアジアなんちゃらカップの開幕戦がやってきてしまった。
試合は午後6時からなので、午前11時くらいまでグッスリと眠り、平柳君と前村君に誘われて、風呂に入りにいき、午後1時半頃に水道橋ドームに到着。
あっけらかんとした不思議な雰囲気のドームの中で練習をして、一通りアップが終わって、一息つきながら軽食を頂きつつ側にあったスポーツ新聞を広げるとそんな記事が載っていた。
予俺が2番レフトでスタメンだって?
メディアはそう予想しているが、稲木監督から任せたぞとかそういうのを言われたわけではない。
確かに俺がスタメンの可能性はあるだろうけど、他の3人いる外野専の選手は皆成績もよくて、強化試合の調子もよかった。
打率しかない俺は代打での起用に固定される可能性も高い。
しかし、レフトしか出来ないからと言って、打率4割の選手をベンチに置いておくだろうかという、若干手前味噌な見解もある。
そんな時に……。
「おーい、新井ー」
と、稲木監督に呼ばれた。
このタイミングか。打撃練習前に、スタメン任せたぞと伝えるパターンか。
俺はテーブルから離れて廊下から僅かに覗く稲木監督の元へ。
「なんでしょう、監督」
「お前、上のユニフォーム逆だぞ」
「え!?」
「周りに笑われているのに気づけ」
監督に言われて気づいた。胸のところにARAI、64と上から見える。背中にボタンがきていた。
それをよりによってたいした面識のない稲木監督に指摘されるとは。
恥ずかしい。
「器用な奴だな、お前は…………。あと、今日スタメンな。頼んだぞ」
ドックン、ドックン、ドックン。
試合開始が2時間前。1時間半前。1時間前。30分前と近付くにつれて、緊張がこれでもかと高まってくる。
いつもなら2時間前には、おにぎりを3つ4つをバクバク食べているのに、今日は1つだけ。
1時間半前からは止まらない尿意を発生させてしまって、何回もトイレに行ってしまっていた。
気を回してくれたスタッフのお兄ちゃんが持ってきてくれたアイスを食べてからだいぶ落ち着きを取り戻しましたけど。
今日は日本代表の試合とはいえ、Uー25のアジア大会という初めての試みとなる国際試合だから、お客さんでスタンドがパンパンに埋まることはないだろうと、そんな風に考えていた。
しかし、ドームの会場時間になると、応援にきた大勢のファン達が我先にうおおおお! と押し寄せて、シートノックが始まる時間には、もうほぼ満員。
外野スタンドでは、各選手の応援歌やチャンステーマの練習がなされていて、時間が経つにつれてその声援がどんどん大きくなっていく。
もうレフトのポジションにポツンと1人でいたら、センターの藤並君の声も、ショートの平柳君の声も、打球音も何も聞こえないくらい。
がらんとしたビクトリーズスタジアムでの試合とは訳が違うことを思い知らされた。
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