第6話 重装歩兵VS地球産ゾンビ 物理で戦うなら大体、重い方が強い
ゾンビと言えば聖属性の魔法か火に弱い。
そんなファンタジー脳なファンタジー世界の住人である王様は聖職者の魔法が一切効かないゾンビと言うものを想定していなかった。
だが 大臣も王様も性根は腐りきっているが無能ではない。
多くの部下を押さえつける上でいくつもの作戦や陥れる方法を考えているのだから、今回の件も複数のプランを用意しているのは当たり前だ。
「よし!ならば重装歩兵を出動させよ!!」
大臣の命令によって、体を覆うほどの
『動く山』と言われる重装歩兵の一団は横に並んで全身をする。
鋼の鎧は重さ40kgにも達し、鉄と木でできた大型盾だけでも相当な重量。
これに鎧を装着しても動けるよう訓練された体重80kgの筋肉ダルマが中に入れば120kg超の重量戦士の出来上がりだ。
顔も見れない兜に肌を一切露出させない全身鎧に身を包み薄暗い地下の道を5人2列で進軍する彼らをみれば、善良なゾンビは戦う前から逃げ出すほどの威圧感である。
「AAAAAAA!!!!!!」
だが、地球産ゾンビが恐怖を感じる事はない。(※本作の設定です)
守備隊長をはじめ5人の犠牲者が変貌したゾンビは鎧の隙間に生命を感じ取り、ただただ前進する。
リミッターが外れた肉体と金属鎧、どちらが勝つだろうか?
「GAAAAAA!!!!!!」
迫りくるゾンビ達。
これに対し歩兵たちは機動隊たちのように盾を並べて進路を塞ぐ。
「盾を揃えろ!」
一歩一歩進むゾンビの群に一歩も引かない金属の壁。
両者はあと1歩まで距離を縮め…激突した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うおおおおお!!!!!!!」
人間一人分の体重が盾を通じて全身にかかる。
まるで熊にでも襲われたかのような強い衝撃を受けたが、重装歩兵たちはひるまない。
壁というのはどこか一つでも崩れると敵が入る。
自分が助かっているのは他人が持ちこたえているおかげであり、自分が逃げれば同僚の命がない。
死ぬときは一緒。
一蓮托生の気概を持たない人間には勤まらない役割なのだ。覚悟が違う。
「一歩後退!」
その合図で鉄の壁が急に引く。兜のぞき穴からゾンビがバランスを崩したのを見て
「前進!シールドバッシュ!」
各歩兵は盾を突きだしたまま、強く足を踏み出す。
鎧と体重を合わせて120kg×10。
1.2tの衝撃。それがゾンビの体にたたき込まれる。
「GAAAAAA!!!!!!!」
あまりの衝撃に吹き飛ばされるゾンビたち。
頭蓋骨陥没。右腕を骨折。肩粉砕などのダメージを受けながらも立ち上がるが、
「前進!前進!前進!前進!前進!ゾンビたちを押しつぶせ!!!」
「「「「オオ!!!」」」」
体制の整ってないゾンビたちに第2撃が加えられる。
胸部損傷。肋骨粉砕。頭部損失と次々に体が砕け、ちぎれ飛ぶゾンビたち。
ゾンビの攻撃は基本的にかみつきとひっかき、それに感染である。
薄い金属鎧や皮鎧だと怪力と顎の力で壊される可能性もあるだろう。
だが、分厚い鉄板を壊すのは不可能である。
ダンプカーに吹っ飛ばされたように全身を強く打って(=被害者の全身がひどく損傷している状況を示す、婉曲的な表現)そんび!は バラバラになった。
かくして5人のゾンビは駆逐された。
どれだけ恐ろしい相手だろうと人体はダンプカーには勝てないのである。
■重装歩兵VS地球産ゾンビ
結果;重装歩兵の勝ち 決まり手;押しつぶし。
「力は強かったが、大した事はなかったな」と歩兵の一人が感想を漏らす。
だが、彼らは知らなかった。ゾンビの本領は力ではないと言うことを…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃、王宮では別の報告が来ていた。
「大変です!!!女官たちの宿舎でゾンビが確認されました!!!」
「何だと!!!」
昨日、軍人の血を拭った侍女。
彼女が鼻に付着したウイルスを口から飲み込んで感染し、寝ている同僚たちに噛みついて仲間を増やしたのだ。
まずいことに洗面所で共有のタオルを使っていたため、侍女が使用した後に同じタオルで顔を拭いた女官15人はもれなく感染済みとなった。
侍女たちは4人部屋を与えられ、200人ほどが集団生活をしている。
同じ部屋にいた女性は逃げることもできずに感染し、次々と仲間を増やしていった。
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ゾンビが出たら噛まれることに関しては大抵防ぐことが出来る全身鎧を着けていれば大丈夫と思ってました。
なおこちらの世界ではタオルは貴重品なので共有していますが、安価で入手できる現実世界では寮生活でもタオルは個人個人で使った方が良いと思います。
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