5.高学年から中学校

この頃から僕の記憶は曖昧だ。

高学年の頃から不眠症に悩まされ

強い睡眠薬を飲んでいたからかも知れない。


発達が遅かったのだろう

[8]と言う数字がちゃんと書けたのは小学校4年の頃からだと思う。

国語は出来ても他はからっきし


両親の離婚時に親権に納得出来ない父が

ほぼ誘拐気味に家に連れ帰り

動き回る僕の足を柱と結び付けていたせいか

足の長さ、大きさが極端に違うため

運動もそれ程得意では無かった。


いじめと言うほどでも無いが

周囲から叩かれたり運動で差が付き

不登校は加速する。


中学も真面目には行かなかった。

別に悪い事はしないが

本なら何でも読んでいたと思う

同時に強くなりたくて

暇さえあれば家にあった樫の杖を木刀代わりに素振りをしていた。


頭がおかしくなっていたからか暇だったからか

素振り千本とか良くやれたものだと今でも思う。


暇があるときは裏庭や近くの土砂置き場とか雑草だらけの空き地で草や木を相手に試し切りのように腕を振るった。


近所の人からみたら完全にイカれた子供だ。

そのおかげかいらぬ大人の干渉も無く

体が育つに連れて母も干渉して来なくなった。


こんなガキでも意外なことに少しは仲の良いのも何人かいた。

ゲームセンターや学校のハミダシ者みたいな

連中で長くは続かなかったが


薄々自分が集団行動に向いてないこと

心の奥底で今の境遇に満足していない事

それから周囲に自分がどう見られているか


そういった事が分かってきた。

[貧乏な母子家庭の子がグレるのは当前]

[イカれた母からはバカ息子しか生まれない]

心無い人からはそう思われていただろうし

心ある人からも厄介な人間と思われていたと思う。


高校に行く行かないで大喧嘩し

行かせる金はある事を知って


受験直前ひと月前位に

過去問やテキストを何冊も全部やった。

おかげで底辺校とは言え

試験の問題が分からないことは無かった。


受かると思ってすらいなかっただろう担任の

驚いた顔はしっかり覚えている。


良く動いていたからか睡眠薬も卒業前には飲まなくなっていた。

寝ていた訳でも無いが


それと鬱屈とした感情は僕が僕自身に刃物を突き立てるのに十分すぎる理由だった。

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