第41話

先日とある浜辺まで行たのですが往路は三時間弱で着いたのですが、復路は休み休みでも五時間半かかりました……。

流石に倒れましたww


※※※★※※※



「そういや、今日は海水浴なんだろう? その浜辺って遠いのか?」

「いや、近いぞ」


「まじで⁉ さすが海あり県は違うな」

「いや、たまたまだぞ⁉」


 俺は今でこそ違うが、生まれも育ちも海あり都県住みだったのでわざわざ海の有無なんて一度も考えたことがなかった。


「漣はわかっていないな! 海無し県民は海にこれ以上ない憧れを持っているんだぞ⁉」

 ジンがなにか言っているが、ただの戯言なので誰もまともに聞いてはいない。


 ただ、海に多少の憧れがあることは間違いないようなので、拓哉も雫ちゃんも北山さんも、そして萌々花も異論をとなえない。


「ふ~ん。そうなんだ。だけど人工浜だからあんまり期待しないでくれよ?」







「「「「う~~~~み~~~~~!!!!」」」」


 拓哉、雫ちゃんとジン、北山さんである。


 ここは実家最寄り駅から数十分で到着した東京湾に隣接した人工の浜辺。四人は到着したとたんテンションメガマックス状態で水着に着替えてもいないのに浜辺に突撃していった。


「あんなに慌てなくても海は逃げやしないのにな」

「漣もそんなこと言ってないで一緒にはしゃごうよ、ね?」

「ん~~~ それもそっか。そいじゃ、いやっほー!」



 四人にはスニーカーの中を砂でジャリジャリにしたあと水着に着替えるために一旦テンションをニュートラルに戻してもらう。


 男の着替えは瞬間に終わるのであとは女の子たちの着替えを待つのみ。更衣室前にはこれといった日陰もないので炎天下彼女たちが出てきてくれるのを待っている俺たち三人。


「拓哉はやっぱいい身体してんなぁ」

「そういうジンだって運動部でもないのにいい体格じゃん」

「僕はホムセンのバイトで重たい荷物すっげー運んでいるからな」


 それに比べ……。


「二人はいいよなぁ。俺なんて怪我のせいで腕だけひょろひょろ生白いんだぜ?」

「それは名誉の負傷のせいだし、勲章みたいなもんだから漣は気にすんなよ」


 若干落ち込んだ俺を拓哉が励ましてくれる。ジンもしきりに頷いている。


「そーゆーもんかなあ。まあ、医者のOK出ればトレーニング始めるからいいんだけどな」


「おまたせ~!」

「ごめんなさい。遅くなりました!」


「二人が悪いんじゃないの。わたしが遅かったからだから二人を責めないでね⁉」

 雫ちゃんと北山さんが謝り、萌々花がフォローしている。


 水着に着替えた三人、雫ちゃんはスポーティな黒ビキニ。北山さんはおとなしめながら大人っぽい雰囲気を醸し出しているグリーン主体のワンピース。萌々花は元気いっぱいといった感じのオレンジ色のタンキニで登場した。


「わ、わたし。実は海水浴も初めてだし、スクール水着以外の水着も初めてなんで要領が分かんなくて遅くなったの。みんな、ごめんなさい」


 以前萌々花が、あの母親に行楽に連れて行ってもらった記憶などないと話していたことを思い出す。


「そんなこと気にするなよ、萌々花。今日は思いっきり楽しもうぜ!」

「いやっほー!!」


 拓哉の掛け声のもとまたしても浜辺まで駆け出す友人たち。俺も萌々花も遅れてはなるまいと大急ぎで後を追うのだった。





「腹減った……」


 到着後から昼下がりまでぶっ通しで遊びまくった俺たち六人は着替えなど済ませてバーベキュー場までやってきた。予約をすると手ぶらでバーベキューができる施設が合ったので有無を言わずに予約していたんだ。


「漣、わたしバーベキューも初めてかもしれない、な」

「俺も久しぶりだな」


 祖父の家は周りが畑だらけの田舎であり庭先でバーベキューをしても文句を言われることがない場所だったんで子供の頃には何回かバーベキューをしたことがあった。当然だが実両親は参加などしていない。子供の頃は遊びにおいても叔父だった誠治が俺の面倒を見てくれていたのだ。


「僕も久しぶりだなぁ。売り物としてはよく見ているんだけどね」

「私も二回目くらいかも⁉」

 ジンも北山さんも経験は少ないらしい。


「なんだなんだ。ではでは、ここは経験豊富なおれと雫でBBQ奉行をやってやろうかね?」

「「お奉行さま方、よろしくお願いします!」」

 ジンと北山さんが大げさにお辞儀をする。

「くるしゅうない。面を上げい!」


 雫ちゃんが悪乗りし、北山さんと萌々花が大爆笑している。


 拓哉と雫ちゃんは部活でよくバーベキューをやっているそうだ。なので、準備から片付けまで何をどうすればいいのか全部把握できているとのこと。


「んじゃ、早速始めようか!」




……。


「腹くちい……、もう動けない」

「あたしも無理」


「私はちゃんとセーブしたから大丈夫だよ。仁志くんも雫ちゃんも食べ過ぎだよ」

 北山さんにジンと雫ちゃんが窘められている。肉、肉、たまに野菜、肉、肉、山盛り焼きそばとずっと食べっぱなしだった二人。無駄な競争をしていた様子だ。


「まあ雫も仁志も負けず嫌いだからな。結果は見えていたよな。ところで漣、これ何人前で注文したんだ?」


 拓哉に質問され、何でもないように答えてみたんだけど、どうもその答えは少しずれているようで……。


「え? どうせみんないっぱい食べるだろうと思って男三人前、女二人前の計一五人前で注文したんだけど、少なかったか?」

「……通りで。流石に一五人前は多すぎだろ?」


「バーベキューっていっぱい食べるってイメージだったから間違えたかな? テヘッ」

「漣、お前がテヘっても可愛くないからな。はあ、夕飯はいらねーな」


 眼の前のバーベキューの鉄板の上には一〇人前はありそうなこんもりとした焼きそばが残っているのであった。萌々花が管理事務所でタッパーをもらってきてくれてお持ち帰りとなったことは当然だった。


 バーベキュー場を去ってまた浜辺まで戻ってきた俺たち六人は各々カップルに分かれてほんのすこしずつ離れた位置取りで砂浜に座っていた。


 もう少しで日は沈み、お待ちかねの花火の打ち上げが待っているんだ。


「ねえ漣、花火大会でもやっているの?」

「いいや萌々花、違うんだよ。あっちに見えるアミューズメント施設のお客さん向け花火をおすそ分けしてもらうんだよ」


「おすそ分けとは物は言いようだね」

「いいじゃん。花火は花火なんだし」


 ジンたちも拓也たちもお互いの存在はわかるが、何をしているか何を話ししているかはわからない微妙な位置にいるのでそれぞれ楽しんでいるものと思われる。なにを楽しんでいるかはそれぞれだが……。


「あっ、上がった! きれいだね」

「うん、いい感じだ」



※※※★※※※

夜の浜辺はいちゃつきカップルが多くて危険です。近接注意ですよ?


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