第36話
復帰2話目です。生暖かく見守りくださいw
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「ん、わかった。佳子お母さんに連絡しておくね」
そう。最近では俺よりもなんだかんだいって萌々花のほうが父さんや母さんに連絡を多くとっていると思う。
俺が最近連絡したのって、ギプス取れた日の夜に一学期の成績の件とリハビリの件等々をいっぺんに連絡したのが最後だと思うんだよね。実家に帰る帰らない以前の問題だったわ。実親との生活にいまだ毒されているのか、単なるモノグサなのかは知らん。
とは言え、まあ月一~二回程度の連絡って普通の頻度だと思うんだけど、俺的には。
それに比べ萌々花は毎日だったり数日おきだったりするけど頻繁に連絡しているんだよね。主に俺のことを話している様子だから、余計に俺から同じことわざわざ伝えることもないかなって思うわけで。
「漣くんや。きみはわかっていないね~ 父や母は可愛い息子からの連絡を心待ちにしているのだよ? まあ可愛い娘にはかなわないだろうがね‼」
「よくわかんないよ……。もう萌々花に任せるからね、よろしく」
夏休み中の課題は既に全部終わっている。何しろ遊びに行くなんて事ができないからいくらでも時間があったからな。
もちろん萌々花もひいひい言いながらも一緒に終わらせていた。昼間から三~四時間毎日ぶっ通しでやったら勉強嫌いの彼女にしたらひいひいいうことも違いないけどね。
あ、これ勉強のことだけだからね? 夜は夜でひいひい言っていたのは別のはなし。
「ねえ、漣はなんでそんなえっちな顔しているの? 昼間からそんな事考えているのかな? そ、そういうのは明るいうちにあんまり良くない……かな? ね?」
「お、おう。すまない、そうだな。また夜に……ん?」
未だにエッチなはなしには頬を赤らめる萌々花が可愛い。そんなこと言って実は夜のリハビリ活動のお誘いだったりするのかな?
んんん。いったい俺は何の話をしているんだ?
これというのも退院してからこんな風に萌々花からのお誘いに思えるような言動が増えているせいだ。完全に誘われているんだろうなとは、実際、思うわけです。何しろ行為の方はほぼ毎日なので、俺的には多少は控えた方がいいのではないかとは考えているのですよ。ただね。毎日でもシたいかシたくないかと問われれば――したいに決まっているので考えるだけ無駄ですけど。
萌々花が佳子母さんに連絡をしている間に俺もre:inで連絡をする。
誰にって、俺が連絡取る相手って言えば拓哉とジンぐらいしかいないけどな。
俺もいつまでも人見知りしておらず、かっちり深い仲にはなれなくても、もう少し交流やら親交やらはクラスメイトとぐらいとは取っていかないといけないな。
自らわざわざ将来のいろいろあるだろう道を狭めたり閉ざしたりする行為はさすがによろしくないだろう。
行動もせず思い込みで駄目と決めつけるより、行動して失敗でもして駄目だったという知見を得たほうが絶対に有意義なんだと最近
わかっているか?
数ヶ月前の俺。君方漣、お前に言っているんだぜ?
リモート授業のときだってクラスのみんながあんなにも心配してくれていたじゃないか?
「はい、すみません……。これからたくさんの友人や知見を得られるように行動しますっと」
そういうことで、拓哉とジンにはお盆期間またはその後ぐらいに遊ばないかと連絡してみた次第です。
以前の俺では考えられない行動だけど、これも萌々花沼のおかげなのかな?
「おっと早速のご返信ありがとうございます……ってね」
二人とも思っていたとおり御両親それぞれの実家への顔出しはしなくちゃらしく、空いているのは来週火曜日から三日間だけ。
雫ちゃんも北山さんもたぶん似たような日程らしい感じだ。
俺も萌々花も似たような交流の持ちようなので、いつもふたりでいられるのは嬉しい限りだけど、いつも二人きりだと視野が狭すぎる。
「ということで先ずは気のおけない友人たちからより深い関係を築いていきたいと思います……」
「なぁに漣、いきなり話しかけられてもちんぷんかんぷんですけど? 今わたしお母さんと電話中だし⁉」
知っているよ。
「萌々花、ちょっと電話代わらせてもらっていい?」
「ん。お母さん、漣が代わりたいんだって……。はい」
萌々花からスマホを受け取る。
「ねえ、母さん。突然だけど俺たちの友だちをそっちのうちに招いてもいいかな? お泊り会をやってみたいんだ」
「っ! いやぁ~ まさかねぇ~ あの漣くんがねぇ~」
そう言い出した母さんは、人見知りの酷かった頃の俺の話を持ち出しては色々とからかってくる。
「なぁ、母さん。五月蝿いよ! しつこいよ! もう勘弁してよ⁉」
悪いほうじゃなくていい方に変わったんだろうからからかうのはもう許して! 変われた嬉しさと変わった恥ずかしさがないまぜでとっても複雑な感じなんですけど!
萌々花にスマホを押し返して壁に向かって床にのの字を書く。
たぶん今俺の顔は真っ赤なんだともう。だってめちゃくちゃ顔が熱いんだもの……。
俺のことを横目で見ている萌々花のニヤニヤ顔が恥ずかしさに拍車をかける。叫びながら走り出したい気分だよ。さすがにそんな奇行はしないけど。
通話を終えた萌々花が部屋の隅っこで縮こまって変な汗かいている俺に近づいてくる。
(あ~ もう! からかわれるやつ! 母さんに続いて萌々花までかよ!)
ふっといい香りがして背中から萌々花に抱きつかれた。ただ、抱きつかれただけで、萌々花はなにも言わない。当然からかうような言葉はない。
ギュッと包み込むように抱きしめてくれただけだった。
変わっていく俺を喜んでくれていることはわかった。ほんの少し、恥ずかしさが和らいだ気がする。
一難去ってまた一難。
親には了解をとったけど、そもそも友だちがうちに泊まりに来てくれるかどうかがわからない。
拓哉もジンも今や気のおけない親友と言っても過言ではないけど、雫ちゃんや北山さんまで一緒だとどうしよう?
萌々花が女子二人を誘った体でなら問題はまったくないのだろうけど、結果だけを想像してみると男女三カップルが揃ってお泊りなんだよな。
カップルで一緒の部屋で寝ることは流石に駄目だけど、雫ちゃんたちのお泊りは大丈夫かな?
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