第34話
第1章最終話でございます。
当初予定よりも全体で3万字ほど多いんですけど(汗)
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「漣‼ 一緒にお風呂入るわよ!」
ナンデスッテ?
そう言った途端に俺の上着を脱がし始める萌々花。
俺の着ている服は萌々花のお手製のシャツで、ジッパー一つ開くとするりと脱がされてしまう仕様になっている。
女性の着るワンピースで後ろにジッパーついているやつあるだろ? あんな感じのシャツなんだけど、萌々花に抱きつかれて、ジ~っとジッパー降ろされて袖を持って引かれると一瞬で脱がされる。
パンツもゴムパンなのでスタッと降ろされて、下着一枚の格好まで数秒。
ついこの間まで俺のパンイチ姿に赤面していたのに大胆に変われば変わるものである。
いやいや。感心している場合ではない!
ラストのボクサーパンツ降ろされたら、俺の漣くんがこんにちワンとなってしまうじゃないか!
――期待してなかっと言えば嘘になるけど、まさかこんなものまで萌々花は作っていたとはね。
「湯浴み着の調子はどうかな?」
「湯浴み着って言うかこれって腰巻きスカートだよね……ちょうどいい具合だけど。ありがとう」
「じゃあ、漣は先に入って椅子に腰掛けていてね。わたしも湯浴み着に着替えて一緒に入るから」
うちのマンションの風呂は一応家族用なので、広いとは言えないが大人二人で入るくらいはそこそこ余裕でなんとかなる。
俺はギプスで固めた腕を両端に乗せるので萌々花は俺を後ろから抱きかかえる形で湯に浸かる。
ただそうなると身体は密着するので萌々花のいろんなものがフヨフヨと俺の背中に当たって大変なことになる。
「も、萌々花の湯浴み着も変だよ、な?」
湯浴み着というよりも水着のビキニのゆったりした感じな作りで、上は筒状で上下ゴムが入れてあるだけで、下に至ってはパレオだけなのではないかと思えて、何かの拍子で全部見えるのではないかと気が気でない。
当然、見たいという方向で気が気でないんだけど……薄っぺらペラな布なのでうっすらと透けて見える気がするし、背中の感触はダイレクトにポッチまで確認できそうな勢いだ。
「う~ん。漣のを作る時失敗しちゃって、布が足りなくなったんだよね。だからこんなのになっちゃった! えへ」
えへっじゃなくてさ……のぼせそうだよ。
「あ、そうだ! 漣が目を瞑っていればいいんじゃないかな?」
と、安易かつ効果的な方法を萌々花が発見してしまい俺は今、目をガッチリと瞑ったまま頭を萌々花に洗ってもらっている。
何も見えないせいで、逆に想像力にブーストかかってしまい、さっきからずっと時折背中に触れる柔らかなナニカへの妄想が止まらない。
俺の漣くんが湯浴み着を持ち上げてしまっているけど、これはもう仕方がない。
頭だけ洗ってもらったら早々に風呂を上がってしまおう。
「じゃ、次は身体洗うね」
無理でした。シームレスで俺の背中を洗い出した萌々花を止めることは俺には出来ない。
だって止めてもらいたくないんだもん。
おっと、本音が出てしまった。
病院では入浴介助の様子を萌々花はほぼ見ていただけなので、実際にしっかりと洗ってもらったことはなかった。それが……まさかこんなことになるとは想像していなかった。
「はい、背中は終わり。くるんと回って、漣」
今は回れないんだけど、だって、漣くんが……
「もう! なにしているの? 脚持つよ、ほれっ」
漣くんを押さえつめるるために両脚を揃えていたのが災いし、あっさりくるりんと回されてしまった。
くるりん、ぱっ!
萌々花が俺の脚をぱっと離すのと、漣くんが開けた湯浴み着の隙間からぱっと現れるのは同時だった。
「ひぅっ! きゃ~!!!!」
萌々花が息を呑む声が聞こえ、その後俺の頬に衝撃が飛んだ。GW中の実家での朝の再現である。
しかも今回は、下着のベール越しではなく生漣くんのご登場だ。
バタン! ガシャン! といろんな音立てながら萌々花が遠ざかっていくのが分かる。
最後まで俺は目を開けなかったのでセーフだと信じたい。
萌々花は俺の世話をしっかりとやりたいという思いが強すぎて、こうなることを予見し忘れていたんだと思うんだよね。
ちょっと不幸な事故って言うことで……
手を使わずに足と口でタオルを身体に巻き付けて水滴をできるだけ拭き取って、ハンガーに掛けてあったパジャマにする萌々花お手製の貫頭衣をハンガーごと着る。
「着たらハンガーは落ちると思ったけど甘かったな。ハンガーのせいで極度ないかり肩みたいじゃん」
そんなことより今は萌々花のほうが心配だ。さっきドタバタと浴室を出ていったきり戻ってこない。
「萌々花? 大丈夫?」
萌々花は洗面所を出た先で大判のタオルを頭から被ってシクシク泣いていた。
「ごめん。またびっくりさせちゃたよね。ちゃんと俺が言わないといけなかったね」
萌々花は首をぶんぶん振るだけ……
「ね、先ずはお風呂に入り直して身体を温めておいで。俺も萌々花にいま風邪ひかれちゃうと困るんだよね⁉」
ちょっとずるい言い方をして無理やり風呂に入り直させた。
三〇分ぐらいして萌々花が風呂を上がってくる。
目が真っ赤で、風呂でも泣いていたのが伺えた。
「萌々花? 萌々花は泣く必要も気落ちする事もないよ。びっくりしたのはしょうがないし、そうなることは俺もなんとなく分かっていたのに何も言わなかったんだから俺のほうが悪い」
「漣は悪くないもん」
「いいや、悪いよ。萌々花にほぼ裸の状態でくっつかれるの分かっていて期待してたんだもの。萌々花の裸を見たいってエッチなこと考えていたからあんなになったんだし」
自分で言っていてものすごく恥ずかしいけど、萌々花が悪いんじゃないことは分かってもらいたい。
「期待……してたの? わたしの裸が見たいの?」
「……うん。萌々花は俺の恋人だし……あの……見たいし、触りたいし……やっぱり。期待しちゃったかな?」
今度は顔から首まで真っ赤にしてもじもじし始める萌々花。
「ほんとに?」
「うん、ホント」
流石にそれは嘘をつけない。
「じゃ。じゃあ、漣はもう夜遅くにノーパソでエッチなビデオはもう見ない?」
んっ――――えっ?
「スマホを持ってコソコソ隣の物置部屋から何か持ってトイレに籠ったりしない?」
それはテ○ガのあれデス……って、え?
「もうそういう事しないって漣がいうなら、わたしも頑張る……あの。漣とエッチしたくないとかじゃなくてどちらかと言うと早くしたいし、もっとイチャイチャベタベタしたいんだけど……」
恥ずかしい上に他の女の裸で俺がイタしていると寂しい気持ちが上回り思い切りがつかないんだって――つーっか。
見られていたんだ……何時から? あれ? 最後にテ○ガ使ったのってGWの連休よりも前だと思うんだけど……え? マジ? ずっと見られていたんだ。
なんで言ってくれないんだよ! 言われたら言われたで居た堪れないけど!!
「……うん。萌々花がいればそういうのもういらないから」
「じゃあ、吹っ切れた! 頑張る!」
ふんすとガッツポーズを決める萌々花。
見られていた……賢者タイムでぼやっとした間抜け顔も絶対に見られていたに違いない。
いや、その前にモノ出してコシコシしているのも見られていたのか……はあ……
「ねえ、漣。どうして壁に向かって項垂れているの? どうしたの? 調子悪いの? そうだよね。ちゃんとお風呂いれてあげられなかったもんね⁉」
うん。ありがとう。それじゃないけど、そっとしておいてもらえると嬉しいかな?
そうか。萌々花も俺とそういうことしたいと思ってくれていたんだ。嬉しいな……でも、今は素直に喜べないな。今はショックのほうがちょっとだけ上回っている感じ。
★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★
「じゃあ、確認しよっか?」
「何を?」
なぜ俺のノーパソを萌々花は抱えているのデスカ?
俺のスマホまで用意してあるのはナゼデスカ??
「決まっているじゃない⁉ もう漣がもう見ないって言うなら最後にわたしも漣がどういうのを見ていたのか鑑賞してから削除しようかなって思うんだけど? 変かな?」
「何を……鑑賞するのかな?」
「え? 漣のコレクションだよ? もう要らないんでしょ?」
「……要らないね」
「何? 今の間は? わたしの身体だけでは物足りないって感じなのかな? かなかな?」
物足りないも何も未だに萌々花の身体については背中で感じた感触と寝ていた時の抱きしめた感触しかわかんないんだけど……言えないよね。そんなことは。
「えっと……これか。『 command + shift + . 』っと。おっと! これだね。やっぱり隠しファイル化してたんだね⁉」
なぜマックのショートカットキーを萌々花が知っているんだ? 学校の情報処理のマシンはwindows機のハズだが??
「佐藤先生が教えてくれたんだぁ~ ふふん。漣のコレクションは厳選五本なんだね?」
スマもの方も動かせない腕を掴まれ、指紋認証をパスされて、特選二本の動画を白日に晒されてしまった。死にたい……
佐藤先生は何者なんだよ……余計なことを萌々花に吹き込んで。
ピコン♪ re:inのメッセージが着信。
『萌々花ちゃんに見つかったようね。観念して、今後は萌々花ちゃん一本で絞りなさいね』
佐藤先生からのメッセージがジャストタイムで入る。
え、え、え、え、え?? 怖い怖い怖い怖い!! 須藤……助けて!
萌々花は動画を次々と再生しては削除していく。
「ふ~ん。制服モノ二本にナンパモノ。お姉さんキャラと一人エッチモノかぁ~ 漣はこういう娘がいいの?」
身体をぐいっと寄せて俺の耳元で囁くように訪ねてくる萌々花。
「いや、そういうわけではないけど……」
「じゃあ、誰がいいの?」
さっき吹っ切れたと言っていたけど本当に吹っ切れたようで、萌々花の大胆さが増していて俺のほうがたじたじになってしまう。
「と、とうぜん。萌々花だよ」
「ホント?」
ここで上目遣いとか狡い。ものすごく妖艶でかつ可愛らしい。
「本当だよ」
「ん」
触れるだけのキス――
暫し見つめ合った後に深く強く唇を重ねる。
いつの間にか俺は絨毯の上に組み敷かれたように寝転がり、萌々花は俺に跨るように重なって互いの唇を舌を貪る。
「漣……ベッド、行こう」
「でも……」
「大丈夫。わたしが上でリードするから――行こっ」
俺と萌々花は身体を重ねながら繋がりながら泣いた。
二人して、なぜだか嬉しくて嬉しくて涙が止まらないんだ。
「「愛してる」」
言葉が重なりハモったのは久しぶりかも?
「ふふふっ、大好きだよ」
「あははっ、うん、わたしも大好き」
チュンチュン♪
「ん~ 朝か⁉ あれ? 萌々花?」
ベッドに萌々花の姿がない。
「あ、起きた? おはよう。今日は学校に行くんじゃなかったっけ?」
そっか。週に二~三回は通学してだんだん慣れていく予定だったな。
「もう、寝ぼけないでよ! それとも昨夜が良すぎて呆けているのかな?」
萌々花は赤い顔して頬にキスしてからまた朝食を作りに台所に行ってしまった。
いつもの通学路をいつもよりゆっくりと歩く。萌々花に改良してもらったアームリーダーも調子がいい。
駅の階段はエレベーターでスルーして通り越す。
「あ、来た、来た。おはよう、二人とも!」
駅向こうには拓哉がいた。いや、拓哉だけでなく、雫ちゃんもジンも北山さんもいた。
「おはよう、みんな。どうしたんだ?」
「どうしたじゃないわよ~ スド先が今日、二人は学校に来るっていうからお迎えに来たんだよ!」
須藤が雫ちゃんか拓哉に教えたのかな? ありがたい。
「おい! レン! 泣くなよ⁉」
「ああ、萌々花ちゃんまで! 二人共泣かないでよ~」
「ありがとう。沙織ちゃん、雫ちゃん。拓哉くんに仁志くんも……ありがとう」
俺は朝っぱらから号泣してしまい、声も出せなかった。
学校までの道のりを六人で歩く。
「なあ、萌々花。俺達は過去を断てたのかな? 越えられたのかな?」
「う~ん。わかんないね。どうなんだろう? でもさ、どうであっても漣と二人でならやっていけるなって思ったよ。漣はどう?」
「そうだな。萌々花となら過去もこの先の困難も乗り越えられると思う」
「じゃ、それで良いんじゃないかな? わたしは漣とずっと一緒にいたい。漣もわたしとずっと一緒にいたい。Win-winだよ~」
使い方違うような気がするけど、まあ、いいや。
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本作、読んでいただきありがとうございました。
これにて『親に捨てられ知らない土地で一人暮らしするはずだったんだけど、どういうわけかギャルな美少女が転がり込んできたので二人暮らしになりました。』第1章の締めとなります。
皆様のおかげでラブコメ部門でもランキング上位をキープできました。感謝しかありません。
ただ……まだ★を付けておられないご貴兄にはぜひとも★を頂きたく……
プロットも固まっていないので第2章までは時間が開くことになりそうですが、ごゆるりお待ちいただければ幸いです。
世間ではコロナウィルス感染症第4波の大波が目の前に来ているようです。
くれぐれも皆様におかれましてはご自愛いただけますようお願いします。
※『この前、女勇者拾ったんだけど、夜になると回復魔法連チャン俺にかけてくるんだよね。』
https://kakuyomu.jp/works/16816452218841722491
これも一応完結してますが、現ファでランク上位に位置しておりますので一度ご覧いただけますと、そして、★いただけますと喜びが増しますのでよろしくお願いいたします。
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