第20話
花粉メガマックスに加えて黄砂も飛んできているんですね……何してくれてんの?
目は痒いし鼻は詰まるしで苦しいですね。でももう少しの辛抱です。多分……
今回は新キャラの彼とその彼女が登場します。
では、よろしくおねがいします。
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県立彩の丘高校。
俺がこの高校に編入を決めた理由の一つに
あのときは『いろいろ調べたら、ここがいいと思ったんだ。ぜひ漣にはそこに行くことを勧めるよ』と誠治父さんに言われ時間も無かったし、何より尊敬する師匠であり父になってくれた誠治父さんの勧めだったのでそのまま受け入れた。
横浜の実家とも程よく離れていて、一回だけの乗り換えで行き来できるからこの学校を選んだものとその時の俺は思い込んでいた。
それがまさか、この学校に彼がいるとは思いもよらなかった。
それはオリエンテーションの時期の体育の授業の日のこと。
「体育担当の須藤だ。一年間よろしくな!」
やたらとフレンドリーに挨拶をしているの二年生男子担当の体育教師
お気づきかな?
こいつがここの教師をやっていたので父はこの高校に編入をすることを勧めていたのだ。
お目付け役なのか単なる連絡要員なのか、はたまた俺の手足にするつもりなのか?
「学級委員は放課後に体育館の職員室まで資料を取りに来てくれ――」
最後にそんなことを言って授業を締めくくった。
「うわっ、スド先に早速呼ばれるんて災難だな」
拓哉が俺に寄ってきてそう囁く。そう言えばサッカー部顧問だったな、彼は。
「なんで?」
「スド先って見た目は優しそうなのにものすごくきついんだよね。追い込んで追い込んで追い込んだ先に見えるものがあるって言うのが口癖でさ」
「…………済まない」
「?」
なんでいきなり俺が拓哉に謝ったのか見当がつかずキョトンとしている。
「気にしないでくれ、すまん」
「よくわかんないけど、漣が気にすんなと言うなら気にしないよ」
コンコン。体育館の職員室のドアをノックする。
部活は未だ始まっていないので体育館の方も自主練習しているバスケ部員が数名いるだけのようで静かなもんだ。
「失礼します。二年二組学級委員の君方です。須藤先生の御用で参りました」
職員室にいたのは一人だけ。須藤教諭だった。
「いやいやいやいやいやいやいやいや! 止めてください漣先輩! 自分こそお忙しいところを呼び出してしまい申し訳有りません」
「須藤先生はこちらの勤務でいらっしゃったのですね? 驚きました。父の誠治が道理で推薦するわけです。それで、その意は何でしょうか?」
須藤教諭とうちの父誠治は知り合いだ。というか俺とも知り合いだ。知り合いというより……
「
そう、俺が
彼が大学生の時、今からもう三~四年ほど前になるのか? 就職にあたり教師を目指すか一般企業に入るかで相当迷っていた。
その当時は未だ叔父だった君方誠治の道場にふらりとやってきたのだった。精神を鍛えたいとかそんな理由だった気がするがもう忘れた。
その時の須藤はサッカーも止めており、今の見る陰もなく弱々しかったので、忙しかった誠治父さんに代わり暇な中学生だった俺が彼の相手をすることになった。
中学生に師事する大学生っていうのもどうよ? って当時も思ったもんだ。
それでも俺は須藤にイチから色々と指導してやって、半年を過ぎた頃からメキメキと実力もつけ始め精神的にも強くなっていっていた。
そのときに俺が須藤に言ったセリフが『追い込んで追い込んで追い込んだ先に見えるものがある』である。
拓哉、もう一度謝っておく。すまん。
「で、なんの用?」
「いえ、今日は特に用事はなく。自分の連絡先を教えておこうかなって思いまして」
「いらねぇよ……」
「そんな事言わず」
スマホを手に持ちre:inを起動し俺に向けてくる。
★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★
「まさか俺から
『須藤、今大丈夫か?』
『はい。問題有りません』
『頼みたいことがあるんだが?』
『はい! 何なりと。師匠のためならたとえ火の中水の中!』
こいつ平気かよ? まだ依頼内容も何も言ってないぞ?
一通り今回あった事件と推測でしかないが犯人は風見鶏のグループの戸影であろうことは伝えた。
『退学に追い込んでやります!』
『だから! そういうことじゃないって!』
教師である須藤なら学校内で何時何処にいてもおかしくないので、風見鶏グループの行動に目を光らせて欲しいと伝えただけだった。
なのにこの反応である。流石脳筋は扱いが面倒くさい。
『わかりました。あゆみにもそれとなく言っておきます』
『あゆみって誰よ?』
聞いたことはあるような気がするけど誰だっけ?
『師匠のクラスの担任教師の佐藤あゆみですが』
『何で佐藤先生がここで出てくるんだよ?』
『あゆみは自分の恋人なので、情報は共有すべきかと思います』
マジかよ……
『本当に佐藤先生がお前の恋人なのか?』
『そうですよ。なんなら今風呂に入っているので出たら代わりましょうか?』
それは断る。明日から非常に気まずいのは嫌だ。
色々気になることもあるがこれ以上は聞くと深みに嵌りそうなので聞かない。
後幾つかの注意点を須藤に伝える。
学校ではあくまでも生徒と教師であって、師匠と弟子ではないので俺のことを師匠と呼ばないようにすること。
俺に敬語は使わないこと、俺にお辞儀しないこと。
怒らないから、他の生徒と同様に俺のことを扱うこと等を伝えた。
若干の不安はあるが監視体制はある程度整ったと思う。
彼は頼りがいのある大人だ。大丈夫……たぶん。
★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★
翌日は萌々花と一緒に登校する。自転車の修理は三日ほどかかるそうなので徒歩で登校する。
「昨日聞き忘れたけど、バイトはどうするんだ?」
「自転車がないと学校から喫茶店まで一時間半ぐらいは掛かりそうだから休ませてもらったよ。直ったらまた行くけど、自転車壊されないかな?」
「それは俺に任せて。絶対に壊されない場所に自転車は置かして貰うことにするから。後で説明はするよ」
昨夜、須藤に自転車は保管してもらえるようにお願いした。職員室の真横に置いてあるのは流石に壊せないだろう。
まあ、一度やったことを繰り返しやるとは思えないけど彼奴等バカそうだから何やるかわかんないしな。
駅を越えると今朝も北山さんとジンが待っていてくれた。
「あれ? 萌々花ちゃん今日も歩きなの?」
「実は――」
昨日のことを二人にも話した。
当然ながら二人共憤慨して、風見鶏に文句を言ってやると息巻いていたが萌々花が何もしなくていいと二人を宥めた。
「たぶんこの先も俺と萌々花には色々奴らはやってくると思う。なんで今、それを問題提起しても戸影だけが尻尾きりされておしまいだと思う」
あのメンバーの誰が関与してくるかは分からないけど、どうせなら本丸の風見鶏を天辺から落としたいところだ。
「萌々花ちゃんもそれで本当にいいの?」
北山さんが心配そうに萌々花に気遣っている。
「ありがとう、沙織ちゃん。わたし達二人で決めたんで大丈夫だよ」
「やっぱりおまえら……」
煩いよ、ジン!
校門を抜けて昇降口まで歩くと朝練戻りの須藤の姿が見えた。
普通の先生と生徒の挨拶をしてアイコンタクトだけで状況確認する。
今朝は今の所何も起きていないようだ。
俺達は須藤の横を通り過ぎそのまま昇降口に入っていく。
須藤は暫く昇降口に立って、朝の挨拶を繰り返すようだ。
まあ、風見鶏の監視がメインなんだろうけど。頼もしい弟子だ。
教室にはなぜか既に佐藤先生がいらっしゃる。
俺と目が合うとチョイチョイと手で俺を呼ぶような仕草をする。
「君方く~ん。ちょっとお手伝いお願い~」
そのまま教室を出て、何処かに向かう。
「何でしょう、お手伝いって?」
「……」
「先生?」
雰囲気がちょと刺々しいんですけど⁉
「ねえ、君方くんは師匠なの?」
思いの外低い声。間延びしたいつもの口調とも違う。
「え、あ、須藤……先生のですよね?」
こくんと頷く佐藤先生。
「あんまり虐めないでよね、
「あの子……と、当然です。そんなことはしません!」
ギロリと睨まれる。先生もそんなに背は高くないので、下から見上げるように睨まれると怖い。
「君たちも新学期早々面倒に巻き込まれているのに対処できなかった先生も悪かったのは認めるわ」
風見鶏の面々は一年の頃から先生方の間でも問題視はされていたようだ。
だが風見鶏の親が役所や議員など有力者と繋がっているらしく簡単に処分できなくて歯がゆく感じているとのこと。
「ただね。二年もすればいなくなる彼らのことよりも将来のあるあなた達のほうが私達教師は大事なの。だから無茶のことだけはしないでね」
この学校に来て最初の信頼できる大人登録した俺の読みは正しかった。佐藤先生はやっぱりいい先生だ。
なんで須藤と付き合っているんだろう?
「ひっ‼」
またギロリと睨まれた。
「だからね。
「は、はい。重々承知いたしました」
「じゃぁっ、教室帰りましょ~ HR始まっちゃいますよ~ 学級委員が遅刻だとはずかしいでしょ~」
人が変わった……怖い。
この人に逆らっちゃダメなやつだ。
須藤……いや、須藤先生、この人の恋人なんだよね。尊敬するわ。
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最後までお読みいただきありがとう御座います。
佐藤先生は年上彼女です。スド先二五歳あゆみ先生二七歳。
この二人の今後の展開も気になりますね!
ならない? まあ、ちょっとしたキーマンなのでよろしくおねがいしますね。
気になったなと思ったら、ぜひとも★を一つでもいただきますと励みになりますのでよろしくご支援下さい。
できれば……★★★で!!
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