第14話

昨夜は更新するだけで精一杯だったので、後から書く「まえがき」と「あとがき」と追記しました。大したことは書いてません。書いておこうかなっていう気分です……


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 その後会議は恙無つつがく進み、体育祭の出場競技や文化祭の出し物の案などが決まっていった。

 文化祭については文化祭実行委員のジンと女子の大桑さんが委員会に各クラスの出し物案を持ち寄ってから決まるらしいので未だはっきりとは決まっていない。


 茶髪陽キャたちは下校したらしく何処にもいなかったと佐藤先生が言っていた。


「もう! なんで勝手に帰られて私が始末書を書かなければいけないのよっ」と憤慨しておられた。

 彼奴等が騒いだ時も何もしてなかったのだからあなたも悪いのでは? と口元まで出たけど我慢した。


 決めることは全部決めたのでそのままLHRは終了。


 茶髪陽キャ共が出て行ってから萌々花は終始暗い顔になっていたので俺はそのまま放課時刻になるまで萌々花と学級委員の話をしているふりをして一緒に話をしていた。


「あれは何だったんだ?」

「……風見はあのグループのリーダー格でね」


「風見ってあの茶髪陽キャか?」

「そう。名前知らなかったんだ」


「興味ないし、な」

「ん、漣ぽいね。それで、あいつなんだけど地元の有力者ってやつの息子なの。確か末子の恥かきっ子なんて陰で言われているけど、親には相当甘やかされている様よ。なにせ、お金は幾らでも自由に使っているみたいだし、結構それで幅利かせているんだよね。わたしも長いものにまかれるって感じであいつの近くにいた感じなの。ただ遊んでいるだけで何も考えなくて良かったから、ね」


 ふーん。俺の見立てじゃ、茶髪陽キャ野郎にとって萌々花は取り巻きの一人というよりもお気に入りの女といった様子だったな。それで、それが気に入らない射殺すギャル女って構図、なのかな。



「あのさ、俺が言っていいのかわかんないけど。萌々花はあのグループからは抜けろよ。何かあったら俺が守ってやるから、な?」

 あんな野郎のところに萌々花は置いていられないって思ってそう言ったんだけど、ちょっと自分勝手だったかな? 萌々花が誰と交流するかまで口を出すのはエゴが過ぎるか。


 萌々花は目を見開いて、じっと俺のことを見ていた。若干紅潮した感じは怒ったからかな? そりゃ母親にあんなことされた挙げ句、助けをも求めた男にまであれこれ指図されるのはイヤか……


 でもな、俺もこれは譲れない。萌々花を絶対にあんな腐っていそうなところには戻せないと思ったからだ。


「……漣……が、守ってくれるんだよね?」

「ああ」


「絶対に?」

「絶対に」


「わかった。そうする……」

 その言葉を聞いて心底ホッとした俺がいた。なんだろうな、この感情って……



 ★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★



 明日はテストだし、なんとももやもやした気分だったので萌々花を連れてそのまま帰った。もう誰かに見られたからどうのこうのは考えないことにした。

 一緒に暮らししていることさえバレなければ、周りになんて思われていようとどうでも良くなった。

 萌々花の身の安全が確保できれば多少のことは俺が我慢すればいいだけなのでそれでいい。



 そのまま真っ直ぐ帰宅するつもりだったけれど冷蔵庫の中が空っぽだったのを思い出してスーパーマーケットにだけは寄った。


「今日は牛丼でいいか? 簡単だけど梅干しに味付け海苔よりマシだろ?」

「何処から梅干しに味付け海苔が出てきたのかわからないけど、作ってくれるの?」


 流石に今の心理状態で粗末な食事じゃ余計に気が滅入る。


「ああ、切って煮るだけだからな。簡単だ」

「うん。ありがとう……ごめんね、漣」


「なにが?」

「わたしが漣のところに近づいたばかりに迷惑ばかりかけ……」

 ゴン! 萌々花のおでこにグーパン(弱)を御見舞した。


「痛い……」


「痛くて当たり前だ。何が迷惑だ? 最初に近づいたのは俺だし、家に居ていいって言ったのも俺だ。学校で話そうと言ったのも俺。萌々花は俺に何も迷惑はかけてない」


 悪いのは萌々花のクソ母と茶髪陽キャのクソガキだ。


「……ありがと」

 そう言って萌々花は俺の腕に抱きついてくる。


 歩き辛いし、いろいろ柔らかいモノを感じてしまって嬉しいですが困ります。

 萌々花さんもいいものをお持ちでいらっしゃるので非常に嬉し困ります。お洗濯の時見ました。見てしまいました、サイズ。ごめんなさい、俺も男の子なのです。我慢できなくなっちゃう……



 ★+。。。+★+。。。+★+。。。+★+。。。+★



 飯を食ってお互いに風呂を済ませたあと俺は萌々花をウンウンハァハァ言わせている。

 上気したように赤い頬、息遣いも苦しそうだけどもう少しで楽にしてあげる……








「ラスト一問だ」

「や、やっと?」


 明日の復習テストでちゃんと点数が取れるように勉強している最中だった。


 今朝の北山さんの前での愚行についてはそれ以上のことが起きたので一旦置いておく。許したわけではない。


 先ずは茶髪陽キャクズ改め風見鶏野郎どもから萌々花を離して、俺達のグループに彼女を引き込む。既に拓哉を始めみんなの了解は得ている。

 北山さんなどは目の前で風見鶏の悪行を目の当たりにした、というかものすごく自身がさげすまれていたから、萌々花をこっちに迎え入れることには大賛成だった。

 その時北山さんには『彼女を何で自分の傍に置くのに一々私達に聞いてくる君方くんがわからないぞ?』と言われた。その『彼女』の指す意味に関しては聞かなかった。聞けなかったが正しいか……


 それに勉強は一見関係なさそうだけれど、奴らはかなりの方も低レベルらしいので萌々花のレベルを上げて補習授業や学力レベル分けの際にも会わせないようにしようと思っている。

 様々なレベルが合わなければ会う機会も減るというもの、という考え。正解とは言えないが可能性はなるべく減らす。


 それを俺がしっかり伝えたから萌々花も頑張った。ただ英語、国語、数学Ⅰしかやってないのに萌々花は虫の息になっているが……


「ほら、頑張ったご褒美だ」

 萌々花が問題を解いている間に自宅マンション前のコンビニでお高い方のアイスクリームを買ってきていた。


「わーい! いいの?! わたしこのアイスクリームって一度しか食べたことないんだよね!! どれでもいいの?」


 確かにお高いけれど、一度しか食べたことないって……


「どれでも構わないし、何だったら全部萌々花が食べてもいいぞ」

「え? そ、それは流石に……」


 そう言いながらも目がもう全部食べていいのって言っているよ。


「全部食べな。でも一度に全部食べなくてもいいからな?」

「わーい! わーい! ……コホン。ありがとう。いただきます」


 むふぅって言いながらアイスクリームを食べている萌々花を見ているだけでこっちまで幸せな気分になった。




 暫くすると眠くなったようで萌々花はベッドに向うため立ち上がる。


「おやすみ、漣。今日はありがとう」


 チュッと頬に柔らかな感触を残し萌々花はドアの向こうに消えていった。

 最後に見えた萌々花の耳はさっき食べていたストロベリーアイスクリームの色だった。



…………。

………。

……。


 どうしよう……眠れないんですけど? 萌々花さん、何してくれるんです? 嬉しいですけど……


「はあ……そうだ。眠れないから、見たくはないが風見鶏くんのご家庭の情報を調べよ」

 やつの親父が地元の有力者で建築や土建に関する会社を経営していると聞いた。


「えっと、建設っと」

 ノーパソの検索窓にそのように入力するが、検索結果には『建設』と出てくる。おかしい……


 リンク先の内容的には探しているものと合っているみたいなので、風見鶏なのに風見を名乗っているのかもしれない。まあ、大したことじゃないからどうでもいいや。


「さてと……」

 やつの親父の会社は関連会社も含めて四社ある。地元密着型で公共事業にもだいぶ食い込んでいるらしいな。


 売上も利益も相当出ているIRがHP上に公表されている。


 IRとはインベスター・リレーションズの頭文字で企業がインベスター(投資家)に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信する行動だ。


 そんなことをしているのだから株式を公開しているのかと思ったら非公開でただの同族企業のようだ。カッコつけのためにIRもどきをホームページに公開しているだけのようだった。


「それじゃ、このIRも嘘くせえな」

 それに検索記事に面白いモノも見つかった。


 風見建設は過去に贈収賄の疑いを掛けられ家宅捜索までされている。その時は末端の課長らしき人物だけが逮捕起訴されていた。


「ふ〜ん。叩けばほこりが出るタイプなのだろうな。ま、俺にはその恥かきっ子な息子さんの方が気になるからどうでもいいんですけどね」





 翌日、俺達は警戒をしていたが特にこれと言った動きは風見鶏連中にはなかった。


 あれで終わりとは到底思えないので、警戒は解かないでおく。当然、萌々花には彼奴等に関わらせない。




 一方復習テストは、萌々花的に出来が良かったようで、今夜もアイス♪と浮かれていた。




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