第10話
3/20土曜日0時更新までは連続で投稿します。その後は……ちょっと忙しくってスケジュールが混み合っています。
遅れることもあるかと思いますがチェックよろしくお願いします。
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月曜日。
朝六時に目を覚まし軽いストレッチをしたら、寝間着にしていたスウェットの上下を着たままキャップだけ寝癖隠しに被って自宅周辺を三〇分だけ軽く走る。
この前の萌々花を襲った暴漢を叩きのめしただけで筋肉痛になったのが自分的にかなりショックだった。
だから、少しずつ怠けていたトレーニングを再開しようと思う。一応、俺が萌々花のことも守ってやらないといけないとは思っている。父さんとも約束した。
そういうことなので今度のGWには誠治父さんに久しぶりに稽古をつけてもらう予定。二人で一緒に来ないのかと佳子母さんが煩いようだが萌々花を一人うちにおいて俺だけが行くことなどそもそもありえんだろ?
まだ萌々花にはどうするか聞いていないが、連れて行くことは俺の中では既定なので連れていくつもり。あんな泣き虫を何日も一人に出来っこないだろう?
部屋に戻り、朝飯は俺がスクランブルエッグとハムを焼いてトーストとコーヒーを用意しておいた。コーヒーは昨夜のうちにセットしておいたのをコーヒードリッパーのスイッチをONにするだけ。トーストはトースターへINするだけ。その間にフライパンひとつでハムと卵を適当に焼くだけ。走って戻って一〇分弱でもうご飯。なんならカップスープも付けるよ。
昨夜はベッドに萌々花を寝かせ、俺はソファーで寝た。ソファーでもなんとか寝られるけど、やっぱり狭いので早く注文したベッドが届いて欲しい。
納期が注文当初の三週間から、納期変更メールが昨日来ていて、四週間以降に変わっていたけど、これがいいって萌々花が言っているのだからそれ以外は考えていない。
「朝からご飯が食べられるなんて幸せ過ぎる」
「ただのスクランブルエッグとハムだぞ?」
「それさえ食べられないぐらい朝は忙しかったし、貧乏だったのだよ……」
すまん……
食後、俺はぱぱっと用意をして制服に着替え萌々花よりも先に学校に向かう。
萌々花は、化粧をして陽キャギャルの格好に扮装して自転車で学校に向かう。
「じゃ、行ってきます。戸締まりよろしくな」
「はーい。じゃあ、また後で」
「学校じゃ話さないけどね」
「む~」
なんだか泣き出しそうな雰囲気だったので、そそくさと玄関扉を抜ける。
桜はとうに散った後で葉桜になった小学校の桜の木を見上げ、元気に登校していく小学生に道を譲る。
小道を抜けて駅前の大通りに出る。通勤通学の人たちが慌ただしく改札を抜けてホームに飲まれていく。
俺は電車には乗らないので駅の改札の外のコンコースをショートカットに使い線路の向こう側に降り立つ。俺の住んでいる側よりもこっちのほうが栄えている。行き交う人数も断然多い。
俺は静かな方がいいのでナイスな選択をしたと思っている。ボロを着た変質者も先日退治されたことだしより安全安心だね。ネットのニュースにやつの余罪が書いてあったが、あの時萌々化を助けられたのは僥倖としか言いようがなかったと胸を撫で下ろした。
「おーい。君方くん、おはよう! 髪の毛切ったんだ! 似合っているね」
突然声をかけられ振り返ると北山さんが走り寄ってきているところだった。
「ああ、おはよう。ありがとう、やっとさっぱりしたよ。北山さんは電車通学なのか?」
駅から出てきたってことはそういうことなのだろう。俺みたいにショートカットで使ってない限りはね。
「そうだよ、この駅から下りに……三駅いったところから来ているんだ。いつも急行に乗ってくるから実質一駅なのだけどね」
間の二駅は降りたことも滅多に無いので存在を忘れてしまうそうだ。
間の一駅の片方は高校と同市内にあって、どちらかと言うと旧中心街で今いるこっちの駅が二〇年前くらい前に開発された新市街なんだって。
市町村合併でどうのこうのと北山さんが説明してくれていたけど、興味なくて殆ど聞いていなかった。ごめんなさい。
北山さんの歩調に合わせて歩いていたので想定よりもだいぶ遅い時間になっている。遅刻にはならないから問題はないが、あと少しで学校に着くところで自転車の萌々花に抜かれた。
萌々花は俺たちを抜いていく瞬間、すごい目で俺たちのことを凝視していたような気がする。
(俺のこと睨んでいた? それとも北山さん? それにしてもどうして??)
後でこっそり聞いてみようと思って、初めて萌々花の連絡先を未だに聞いていなかったことに気づいた。
彼女もスマホは持っていたから、俺は知らなかったが定番だというre:inは使っていたはず。
彼女の母親との会話で確か文章で貰った家を出る許可の証はre:inのテキスト機能を使っていたと思う。
それは置いておいたとしても、一緒に二晩も三晩も過ごしているのに連絡先を知らないとは流石に駄目だろ。今日中にちゃんと聞いておこう。
「どうしたの君方くん。急にぼうっとしちゃって? さっき通り過ぎていった鈴原さんに見惚れていたのかしら?」
「え、いいや。そんなことはないけど……」
「ふふ。そんなことはないでしょ? 彼女結構可愛いじゃない? ギャルなのはなんだけど……」
「そんな事言ったら北山さんだってかなり可愛いじゃん。じつは結構モテるでしょ?」
ギャルは苦手なようだけどね。
「‼ ……やだ、バカ。そ、そんなことはないのだけど、ね」
頬を染めて、俺の肩をポカポカ叩いてくる北山さん。ちょっと可愛い。
ところで今のそんなことはないけどはどっちを否定したのだろう? 『可愛い』か『結構モテる』か? 両方か?
まあ俺的にどっちでも良いのだけどクネクネしている北山さんを連れ立ったまま校門を抜け、なんとか昇降口までたどり着く。
「おまえら何時からそんなにいちゃつく仲になったんだ? 漣」
後ろから声をかけられる。
「おす、おはよ拓哉に雫ちゃん。それとこれっぽっちもいちゃついてないから」
「おはよう、漣くんに沙織ちゃん」
いつの間にか真後ろに二人がいた模様。全然気づかなかった。
「漣くん、沙織ちゃんはモテモテなんだよ。何人の男の子が泣かされたことか……なむ~ その沙織ちゃんが朝からいちゃついているなんて!」
「な゛! 雫ちゃん酷い言い方! 私はただ今まではお付き合いとか考えていなかったし、話したこともない子に告白されても困るだけだったから……」
なんで北山さんはチラチラ俺のことを伺うように見ているんだろう。全部過去形で話しているし……
「ま、そういうことみたいなんで。漣もほどほどにな? それにしても髪の毛切っただけでかなりのイケメンに変身ってやっぱ漫画の陰キャボッチそのまんまなんだなぁ」
「五月蝿いよ。邪魔な髪の毛が無くなっただけで御の字なんだからそれで俺は良いんだよ。イケメンとか訳解んないこと言うなよ」
四人でワチャワチャ騒ぎながら教室に入っていく。
教室に入った時出入り口近くにいた萌々花の様子をちらりと見てみたけど、初日に見た陽キャの茶髪男と取り巻きっぽい男女に囲まれて笑っていた。見事に作り笑顔だったけどな。
ふと目が合ったが、機嫌がすごく悪そうだった。萌々花の肩に陽キャ茶髪が手を置いたのを素早く振り払っていたし。
その仕草を見ていた彼女の後ろにいた別のギャル女の萌々花を射殺すような視線が気になった。陽キャギャル女怖えええええ~
「おはよ、ジン」
「ああ、おはよう。レン。今朝はみんなと一緒か?」
ジンは既に教室の自分の席についていて、俺たちが四人でぞろぞろやってきたのを見ていた。
「駅を過ぎた辺りで北山さんに会ってな。それで一緒に登校してきたら、入り口で拓也たちにも会ってさ」
「ああ、沙織は電車通学だったもんな。それで、駅でね」
ジンは北山さんのことは呼び捨てなんだな。ちょっと、なんというか、こちらも若干不機嫌そうなのはアレなのかな?
他人のあれこれには顔も何も突っ込まないを基本にしていますので、これ以上は無関心で行こう。
みんなただの仲のいいクラスメートということでよろしくお願いします。
HRが始まるまで、俺と拓也の席の周りにみんなが集まって土日にあったことやら俺の髪型やらの話に盛り上がった。
萌々花がそんな俺のことを羨ましそうで、悲しそうで、ちょっと嫉妬が入った様な目で見ていたのには気づいていたけど、あの萌々花の周りにいる癖のありそうな陽キャ連中には関わりたくなかったんだ。
すまん。
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最後までお読みいただきありがとう御座います。
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できれば……★★★で!! 萌々花だけでなく作者も甘やかして!
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