第4話 私の秘密
私には秘密がある。
私の病気は21世紀のもの。
何あたりまえの事を言っているのか、と突っ込まれそうだね。
今は21世紀なのだから。
私が言っているには病気の種類。
20世紀までは主に、細菌との戦いだった。
治療には抗生剤が使われた。
21世紀の主な病気は免疫不全が原因。
自分の身体を自分の免疫が攻撃するもの。
その症状は多岐にわたり、そして原因はまだ得られていない。
私の病気も免疫不全がトリガーになっている。
症状としてCRPの値が異常を示す。
CRPはC-リアクティブプロテインというたんぱく質で、体内で炎症が起きたり組織細胞に障害が起こると値が上昇する。
血管炎、血管膠原病、心筋梗塞、肝硬変、悪性腫瘍、などが起こっている証拠になるけど、21世紀は自分の抗体が暴走して、そのような病気になる事が多い。
20世紀の抗生剤は効かない、使用されるのは医師たちが「魔法の薬」と例える。
「ステロイド」
ステロイドは人間の体にある、ホルモンだけど、それを正常値の数倍から数百倍を摂取させられる。
ステロイドが「魔法の薬」と言われるのは、まず、その効果がダイナミックで劇的なものだから。
私も投与された初めのうちは、一気に症状が緩和して驚いた。
しかし魔法の薬と呼ばれる点はもう一つある。
なぜ症状が治まるかわからない点。
これは医師もわかってない。
実験の結果としてステロイドが症状別に用意され使用される。
「どうして効くか? 何が起こるか?」
良く分からないのがステロイドなのだ。
私の病気の進行を遅くしているのも、複数の大量のステロイド。
その効果は初期が劇的、そして徐々に効き目が落ちてくる、そして増量される。
ステロイドは一つの症状を緩和するが、必ず別の症状、後遺症を残す。
私の自分の髪が全て抜けた。
私の秘密「ウィッグ」使っている事。
倦怠感などの副作用もあるが、私には一番堪えがたいものだった。
自分でもお気に入りだった長い黒髪失った事は。
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