第3話 ペテン師に出会った日
治らない私の病気。それでもリハビリはしないといけない。
もし、完全に病気が治り、好きな場所に好きな時行けるなら、どんな苦痛でも我慢できる。
でも私の病気は進行していき、今より動けなくなる事を遅らせるだけの対処。
週に数回のリハビリはやっと体調がいい時に行われる、つらい時間に私の顔は蝋人形と化す。
「頑張って」
担当の先生の励ましも私の気持ちを変える事はない。
少し離れた場所からも「頑張って」と無理を強いる声が聞こえた。
このつらい時間を自分の為だと、他人から課せられた人が他に多数。
いつもな興味さえ持てなくなった心は、何気なく見たそこに一人の男の子がいた。
歳は私と同じくらい、中学生だろう。
やっている事は辛いだけで私と変わらないけど、大きく違うのは彼の表情は生き生きとしていた。
「僕の病気は治るんだ」
彼はそう思っていると、漠然とそう思った。
でも違っていた。
後で担当のリハビリ担当に聞くと、非常に前向きだけど、実は彼も今の医療では解決しない病気を抱えてた事を知る。
私と同じなのに。
生き生きと笑って。
周囲に答える彼はペテン師。
「辛いのに周りにかっこつけてる、嘘つき」
私は呟く。
ペテン師の彼と今日出会った。
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