第17話
――季節は移り変わり冬になっても俺達の関係に変わりはなかった。
高等部を卒業したら実家に帰る事になっている花田先輩は『もう単位とか気にする必要ないからね』と言ってクリスマス前に実家に帰ってしまい。
戻って来るのも冬休みが終わってからだと聞いている。
となれば当然、寂しい年末年始を過ごすことになるわけで、普通にバイトしてた。
唯一の救いと言えば、似たような境遇の仲間であるリアンも一緒にバイトしてることくらいだろう。
それは冬休み中も一切変わるとこなく続き3月になっても変わらず――
卒業式の日を迎えていた。
俺が花田先輩にしてあげられる事と言ったら引っ越しの手伝いくらいだった。
荷物は全部トラックに乗っていて――部屋にはもう何も残っていない。
「花田先輩! 改めて卒業おめでとうございます!」
「うん、ありがとうね……本宮君」
「こういう時って何て言ったらいいのかよくわかんないんですけど。本当に今までありがとうございました。それと実家に帰ってからも頑張って下さいね」
「……うん。本宮君こそ頑張ってね。遠くに行っちゃうけどお姉さん応援してるから」
後は卒業式を見に来た両親の乗る車に先輩が乗ったら本当にさようならだ。
涙を流している先輩に対して、なにか言わなければいけない!
そんな気持ちは喉元まで出かかってるのに言葉にはならなかった。
「はい。ありがとうございます!」
深々と頭を下げる。
結局、そんなありきたりの言葉で俺達は別れの挨拶を終えた。
曲がり角の手前で点灯する車のブレーキランプが少しばかりぼやけて見えた。
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