第18話

 ――春休みが終わり大学が始まっても、本当に飛鳥先輩は俺の部屋に来ていた。


 高等部の時と違い私服の飛鳥先輩が拝めるようになったのもリアンのおかげと言えなくもないだろう。

 ややゆったりめの淡いブルーのハイネックセーターと白いロングスカート。大人っぽさと可愛らしさが同居していて実に素晴らしい。

 高等部の時とは違いメイクアップも気合の入り方が格段に上がっている気がする。

 例え休日だけとはいえこんな姿を拝めるならありがたい事この上ない。

 これからも季節ごとに色んな私服が見れると思うと本当に楽しみである。


「飛鳥先輩、一段と綺麗になりましたね!」

「そうでしょうか?」


 少なからず照れているとこをみるとまんざらでもないみたいだ。


「ねぇ、修二! 私は?」

「あぁ、相変わらず可愛いぞ」


 初等部の女の子みたいでな。


「えへへ~♪」


 まぁ、金銭的な問題があるから仕方がないとはいえ、たまには年相応の服を選んでも良いような気もしなくはないが……

 やはりすすめるのはよそう。間違ってそっち方面に金使ったら借金地獄に逆戻りだ!

 しかも被害者が俺になる未来しか見えねぇ。


「それにしても飛鳥先輩って本当に付き合いいいですよね」

「自分から言い出した以上。自ら折れるのは恥以外の何ものでもありませんから」

「あ、いや、そういう意味も無きにしもあらずですが。よく飽きないなと思いまして」

「そう言う本宮さんだって同じ物ばかりを食べ続けていらっしゃるではありませんか」

「あれ、言ってませんでしたっけ。俺達って蕎麦だけ食ってれば生きて行ける身体なんですよ」

「えぇ、存じてはおりますが、よく飽きないなとは思いますね」

「これが不思議と全く飽きるって感じがしないんですよね~」

「うん、修二の作ってくれるご飯んが一番美味しいよ!」

「そうか? 俺は学食の1000円蕎麦の方が美味いと思うけどなぁ……」


 やべぇ、想像したら余計に腹が減ってきた。


「あぁ、あれね! 確かに美味しかったよねぇ……」


 リアンもお腹を鳴らしている。

 いつも通りにパパっと作って並べると――お食事タイム。

 この関係は、たぶん今年度で終わりだろう。

 そう思うと少し寂しく思うのだった。 


 ――夏休。

 

 昨年同様に料理部の鍵を借りバイト前に食事を終えていた。

 リアンは去年買った服をそのまま着ている。どうやらほとんど成長していないみたいだ。

 ノースリーブの白いワンピースは初等部の子みたいで可愛らしい。


「なぁ、リアンは高等部卒業したらどうするんだ?」

「ん~。たぶん帰るんだと思う。報告とかもきっといっぱいしなくちゃだし」

「そうだよな、お前地球人じゃないもんな」

「俺はもう就職決まったようなもんだし、こうしてメシ作ってやるのも後半年ってとこだな」

「ん~。私としてはこれからもずっと修二の作るご飯食べたいんだけどなぁ」

「まぁ、帰ったとしても、こっちに二度と来なくなるわけじゃないんだろ?」

「ん~~~。どうなんだろぅ?」

「まぁ、もし来ることがあったら寄ってくれ。そんときゃまた作ってやるから」

「絶対だからね! 約束だよ!」

「あぁ、んじゃ、今日もバイト頑張りますか!」

「うんっ!」

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