第4話



 待ち合わせ場所に行くと白いシャツに赤いチェックのスカート。

 制服姿のリアンが居た。

 説明されなくてもわかる。

 おそらく制服以外の服を持っていないのであろう。

 ホントどうなってんだよご先祖様!

 少しは地球の文化っていうか生活様式を勉強してください!


「よう待たせたなリアン!」

「あ、うん……そのね、ちょっと言いづらいんだけどね」


 あぁ、何となく言われなくても言いたいことが分かっちまう。

 でも、ここは恥ずかしがってる場合じゃないだろう。


「どうぜ、着替えがないとか下着がないとかコインランドリーで困ったとかそんなとこだろ?」

「なんで分かるの!?」

「伊達や酔狂で貧乏人やてってるわけじゃねぇんだよ!」

「なんか頼もしいね修二って!」


 俺は、お前なんかを指名した上司に文句言いたいわ!


「とにかく、着る物からなんとかするから付いて来い」

「あ、うん……」


 向かった先は学園内にあるフリーマーケットである。

 形式は中古ショップに近く運営はボランティア活動の一環として大学生がやってくれている。

 初等部から大学まであるため人数も多い。人が多ければ当然不要な物もそれなりに増える。そのためにサイズが合わなくなったものや買ったけど使わなかった物などが置かれているスペースが存在するのだ。

 そこには制服から日用品まで多種多様にあり、基本的に激安である。

 休みの日という事もあり、俺達みたいに生活の厳しい連中でそれなりににぎわっていた。


「とりあえず、入用の物があったらこのかごに入れて清算すればOKだ。で、何から見る?」

「あ、えと、やっぱり下着かな……」


 少なからず照れているようだが、ここは気にしたら負けである。

 俺は、迷わず初等部の物が主に置かれているスペースへと向かった。


「ここら辺が女の子向けの服とかあるとこみたいだな」

「女の子ってゆーか、ココって子供向けみたいな気がするんだけど?」

「サイズ的に問題がなければ安い方が良いだろ?」

「そっか! 言われてみればそうだよね!」


 なにせリアンは、ちっこいしやせ型だからたいていの子供服なら問題なく着こなせるだろう。

 その結果、小学生にしか見えなくなったところで俺は知らん。

 それに、すぐ着られなくなっちまうにもかかわらず親はあれこれと着せ替え人形みたいにして楽しむから種類が豊富で、しかも激安なのが特に良い。

 これで支払いが俺じゃなければもっと良かったんだがなぁ……

 結局、なんやかんやで1万近くが飛んで行った。

 ちくしょう、なんで俺がここまでしてやらなきゃならねぇんだ。

 出来る事ならリアンの上司に直接文句を言いたい! 

 洗濯代だって貸してやらにゃならんし。まるで養ってるみたいである。


「じゃぁ、いったん寮に戻って置いてくるね!」

「あぁ……」


 女子寮の前で誰かを待っていると言うのは思った以上に居心地が悪い。

 時おり出入りする女生徒から不審者を見るような目で見られているからだ。

 なかなか出てこないと思ったら、着替えてやがったのか。

 上は黄色のチェック柄で下は白いスカートになっているタイプのワンピース。

 あとはアイスでもくわえさせたら可愛い小学生の出来上がりだ。


「どうかな?」

「あぁ、可愛いぞ」


 初等部の女の子みたいでな!


「えへへ~。じゃぁ、次はどこ行くの?」

「スーパーだ」

「ふ~ん」


 とか言っているが、おそらくこいつはスーパーがどういうところなのか良く分かっていないだろう。

 それに、なぜか分からんが上機嫌なのがムカつく。

 俺に散財させてんだから少しは申し訳なさそうな顔をしてほしいものだ!


 学園を出てから歩いて15分ほどで、なじみのスーパーSEAYOUが見えてくる。

 目的はもちろん消費期限が近くなった見切り品。

 運が良ければ、普段40円で買っているものがさらに安く買えるのだ!

 俺はカゴを持つと迷くことなく奥の方に在る見切り品の置いてあるコーナーに直行する。

 良い事をしたから神様が用意してくれたのだろうか!

 なんと見切り品コーナーには一袋40円の蕎麦が30%オフになっていて!

 しかも10袋もありやがったのだ!

 当然買占め確定案件である!

 全てカゴに入れれば他には目もくれずに清算終了。

 後はアパートに帰るだけである。



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