第148話 パーティ達の実力
《
その間、俺達6人で10頭の
通常攻撃であれば当然難しいが、パーティ全員がSRのレアリティを誇る特殊スキル能力者達だ。
決して不可能ではない――。
「《
アリシアは
施された磁力の反発効果で、首と胴体が分断され、巨大な頭部が大きく宙を舞った。
「《
ディネは弓を構え、その右腕から10本の矢が出現して2頭のソイルドラゴンに目掛けて一斉に射る。
矢は1本につき100本に増え合計1000本の矢に増え、2頭のソイルドラゴンの頭部に500本ずつ強固な鱗に突き刺さり、貫通させて吹き飛ばした。
矢は数を増やすだけでなく、1本の貫通威力も自在に高めことが出来るのだ。
「《
セイラは倒れている大樹を
瞬く間に大樹は粘土状になり、巨大で鋭利な槍と化して固まった。
そのままセイラは地面を殴り、術式である《
粘土人形達はセイラが創った鋭利な巨大槍を担ぎ、ソイルドラゴンに向けて突進して心臓部に向けて深々と突き刺した。
「
メルフィの指示で、
スパルは停止されているソイルドラゴンへ駆け込み、両手に埋め込まれた漆黒の水晶球の
その連続攻撃に、ソイルドラゴンの頭部が陥没して抉れて消滅した。
さらにスパルは獰猛な獣の如く唾液を撒き散らせながら雄叫びを発し、他のソイルドラゴンへと飛び掛かって行く。
「《
ユエルの背後から、
ソイルドラゴンに向けて、両翼の拳撃が放たれた。
同時攻撃を浴びた、ソイルドラゴンの全身は腐敗し強固な鱗どころか骨や内臓を溶かすまで腐敗して泥状となっていった。
俺はというと、ソイルドラゴンの胸部に目掛けて
「……俺だけ何か違がわね?」
今更ながら俺のスキル能力である《
なんて言うか、アリシア達の攻撃と違って迫力に欠けると言うか……。
まぁ、それでも心臓の動きを止めたり、時間を奪って瞬殺させる方法は沢山あるんだけどね。
どっちにしても、見栄えのない地味なキル方法であることは否めない。
実は俺って
「――タイム・アップだ」
俺の掛け声と共に、5分間が経過した。
ソイルドラゴン達の時間拘束が解かれる。
同時にそれは、10頭の
「流石だね……」
ウィルヴァとパーティ達は、俺達の戦いを見入っている。
その表情から感心を示しつつ、実力を見定められているような、そんな視線を感じた。
ただシェイルだけは、メルフィとスパルを凝視するかのようにガン見しているような気がする。
嫌悪感あるいは憎悪を抱くような眼差しに見えた。
メルフィはスパルを小さいサイズに戻し、隠すように肩さげ鞄の中へと収納した。
「これで、ポイントは俺達が大きく上回ったってところかな?」
俺は聞こえるように、ウィルヴァに言ってやる。
奴は悔しがることなく、「参ったね……」っと、おどけながら肩を竦めていた。
相変わらずの余裕ぶり……いや、こいつはそういう奴だ。
以前のソーマ・プロキシィみたいな、本当にムカつくキャラに煽られても無闇に感情を見せることはない。
きちんと自分なりの処世術を持った男だ。
実際は負けず嫌いであり内に秘めた感情は、俺がドン引くほど過剰な場面もある。
その時だ。
俺の技能スキルである「索敵スキル」が反応する。
上空からだ。
見上げると、両翼を広げた5頭の飛竜が接近している。
「――スカイドラゴンか!? こんな場所で……連中も、
上位
俺が記憶している限り、ここまでの絶対性は最上位級の竜でないと難しい筈だ。
そういや前に戦った、イエロードラゴンも「
この連帯が取れた感じ……似ているかもしれない。
俺は両手に持つ、
放射系である《
特に離れた上空からだと余計だ。
近づいて来たところを狙うのがベスト。
そう考えていた。
が、
「――クロウ君。今度は僕達が戦わせてもらうよ」
ウィルヴァ達が俺を遮る形で前に出て来る。
「何だと?」
「スカイドラゴンまでキミに譲ったら、いくら僕でも負けてしまうからね。いいだろ?」
爽やかに片目を瞑ってみせる、ウィルヴァ。
男にウィンクされても萌えねぇけどな。
だが、俺は胸がぎゅっと絞られてしまう。
この林間実習で仮に、ウィルヴァが勝手も
それは既に決定されたことだ。
何せ、ランバーグと『
だけど、こいつとの勝負だけは正々堂々と決着をつけていきたい。
ずっと俺が望んできたことだし、ある意味で最後のチャンスなんだ。
「――好きにしろ。俺も、お前のパーティ達の実力を見させてもらいたいからな」
「ありがとう、クロウ君。やはりキミは僕にとって最高の
最高の
気持ちとは裏腹に、ウィルヴァは穏やかだった雰囲気を変える。
凛とした表情となり、自分のパーティ達の顔を見合わせた。
「まずはカーラ、上空のスカイドラゴン達を引きずり降ろすこと! ロータはカーラの補助をするんだ! 他の者は僕とこの場で待機! 次の指示を待つんだ、いいね!」
「「はい!」」
ウィルヴァの指示を受け、
カーラは上空に向けて、二丁の『
「ロータ、頼むよ!」
「わかりましたですぅ――《ストーム・ストーム《嵐×嵐》》、クリティカル・サポート!」
ロータは普段から抱えている分厚い魔導書のページを捲り、そのまま手を添えた。
すると、カーラの足元から塵旋風が巻き起こり全身を覆う。
目を凝らして見ると旋風から呪文語が浮き出ている。
「よし! これで離れた上空でも
カーラは喜悦の声を上げる。
どうやら、ロータの特殊スキル能力は強力な支援補助の効果を持つようだ。
しかも、あの魔導書がスキル効果の媒体だとすると、メルフィの能力と似た特性があるのかもしれない。
「喰らいな――《
カーラは『
ドオオォォォン! ドオオォォォン……――!!!
銃口から物凄い轟音と爆炎と共に幾つもの弾丸が発射される。
一瞬、大砲でも撃ったかと思える迫力だ。
見事に弾丸は上空を旋回する、5頭のスカイドラゴン達の両翼にヒットし、大きな風穴が開けられた。
翼に大ダメージを受けた、スカイドラゴン達は飛行制御を失って地表へと落下していく。
5頭の『竜』が落ちてことで、その一帯がけたたましく重い衝突音と地響きに包まれた。
「おいおい……どうなってんだ!?」
あの『
俺とパーティ達は唖然として見入っていた。
───────────────────
《スキル紹介》
〇スキル:
能力者:カーラ
タイプ:強化型
レアリティ:SR
【能力】
・一発の銃弾の威力を数倍に上げる能力。大砲以上の破壊力と貫通性を敵に与える。
・魔法効果が込められた銃弾の場合、その効果を数倍に上げることが可能。
【弱点】
・威力が強力すぎるため、時と場所を考えて使用しなければならない。
・射程距離はあくまで銃弾が届く範囲である。
・
〇スキル:
能力者:ロータ
タイプ:具現化型(魔導書タイプ)
レアリティ:SR
【能力】
・対象者(自分も含む)に旋風を纏わせ、攻撃力や防御力、移動力や速度など大幅に向上させ強化させる効果を与える支援補助系の能力。
・対象者は複数でも効果を与えることが可能。但し能力者の魂力で左右される。
・仲間以外でも「武器」や「声」、さらに「特殊スキル能力」なども、旋風に乗せて遠くまで飛ばし、本来の射程距離以上の効果を与えることができる。
【弱点】
・命中精度が悪く、特に能力者が捉えられない場所や距離では、旋風への座標が外れる場合もある。
・過剰な強化は支援は、能力解除後に対象者の負担となって現れてしまう。
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