第133話 海水浴と美神達
翌日。
「クロウ~!」
「兄さ~ん!」
雲一つない晴々とした陽射しの下で、ディネとメルフィが波打ち際で手を振っている。
二人ともスレンダーな体形にフィットしたワンピースタイプの可愛らしい水着姿だ。
ふむ、確かに成長したな、メルフィ……お兄ちゃん嬉しいぞ。
自然体のディネもいいけどな。
「クロウ様、一緒に海中訓練をいたしませんか? セイラも参加するとのことです」
「クロウ! アンタも剣を使う以上、やっておいた方がいいよ!」
アリシアとセイラが誘ってくる。
眩しく、はち切れんばかりでムチムチのナイスバディを強調したビキニ姿を晒している。
引き締まったウェストといい、凹凸具合がやばい。
流石は勝ち組……ただ眺めるだけとはいえ、俺だけでこの素敵な光景を独り占めしていいのだろうか?
「少し休んでから参加するよ……」
本心では参加したい気持ちで一杯だが、せっかくの休日だ。
少しゆっくりしたい。
「クロウさん」
俺が休んでいるパラソルに、ユエルが恥ずかしそうに頬を染めて近づいてくる。
フリルがついた、なんとも可愛らしい水着姿だ。
あれほど水着姿に後ろ向きだった割には、スタイルがよく綺麗なカーブを描いている。
乳白色の肌といい、なんて神々しいんだろう……。
ガチやばい。
海、来て良かった……。
正直、ダガンの件で傷心していたど……悪りぃ。
今日、一日楽しませてもらうわ。
「隣、いいですか?」
「ああ、ユエルって、陽射し弱そうだな」
「ええ……海にくること自体が初めてなので……ましてや水着なんて」
そりゃ生粋の聖女様だからな。
人前で肌を晒すなんてあり得ないだろう。
「海じゃなくても、兄であるウィルヴァと遊んだことはないのかい?」
「いえ、まさか……お兄様はいつも自己鍛錬で忙しい身。お
超耳が痛いんですけど。
優等生の天才が必死で努力しているのに、劣等生の俺がこうして女子達の水着姿を鑑賞しながら羽根を伸ばして休んでいる。
「……やっぱ、やろうかな……海中訓練」
「え?」
「いや……俺はいいのかなって、こんなにのんびりしていて」
「別にいいんじゃないですか? クロウさんなら」
「それってどういう意味?」
「クロウさんは、その……今の感じが凄く素敵だと思いますから」
「え?」
「もう……言いません」
ユエルは耳元まで真っ赤にし、そっぽを向く。
「ユエル~、あーそーぼーっ!」
「ほらぁ、せっかく海に来たんですから~!」
ディネとメルフィが走って来て、ユエルの腕を引っ張って誘ってくる。
「はい! ではクロウさん、楽しんでくださいね!」
ユエルは照れを隠すかのように、二人と手を繋いで海へと向かう。
一方の俺は思考が停止し呆然としてしまう。
え? え? えええ!?
今、素敵って言ったよな!?
ユエルの口から、俺のこと素敵って!!!?
まさか、これ……ワンチャンある!?
糞未来じゃあり得なかった、片想いだったユエルとそういうアレがある!?
「――クロウ、ワンチャンとはなんですの?」
ソフィレナ王女が背後から声を掛けてきた。
俺はびくっと跳ね上がる。
「ひ、姫さん……びっくりするじゃないっすか!?」
「ごめんなさい……ふふふ」
ソフィレナ王女は悪戯っ子の笑みを浮かべながら、俺の隣に座る。
ちなみに彼女はアリシアと同タイプで色違いの水着を着用している。
ふ~む、こうして見るとナイスバディ具合まで、アリシアとそっくりだ。
本当はガチの双子じゃないのだろうか?
「ところで、クロウ。ワンチャンとは?」
どうでもいいワードをやたら気にする、ソフィレナ王女。
しかし心の声を口に出していたことに気づかなかった俺も悪い。
「犬でっすよ、犬」
「ああ、ワンちゃんですね。犬好きなんですか?」
「いえ、別に……」
嫌いでもないけどね。
ソフィレナ王女は俺とチラチラと見つめながら、恥ずかしそうに身体をもじもじさせている。
「ところで、クロウ……お願いがあるのですが」
「え? 姫さんが俺に? なんです?」
「そのぅ……わたくしが王女じゃなくなったら、
真剣な眼差しでお願いしてくる。
どうやら冗談ではなさそうだ。
これまでの冒険で俺達に感化されたのか。
余命いくばくもない、ゾディガー王亡き後を危惧したのか。
ソフィレナ王女の真意はわからない。
動機はどうあれ、彼女の本気は伝わる。
それに、俺もこの姫さんが結構気に入ってしまっているようだ。
「いいっすよ。その時は、俺が面倒見ますよ……姫さんの気持ちが変わらなければね」
「クロウ……王室育ちの私をバカにせず真摯に受け止めてくれてありがとう。やっぱり、貴方は真の
ソフィレナ王女は両手で俺の手を握り、そのまま自分の胸元に置いた。
感謝の意味らしいが、ぷにゅっと手の甲から素敵で超柔らかい感触が伝わる。
こ、これは……直だから超やばい!
いくらなんでも刺激が……。
「浮気現場発見! ダーリンは今日もやっちゃっているであります!」
突如、遠くから甲高い声が響く。
振り向くと、水着姿の女性が走ってくる。
豊すぎる両胸をゆさゆさと揺らしながら両腕を広げて、俺の頭を掴んで抱きついてきた。
今度は顔全体が最高に柔らかい張りと弾力性のあるパフパフで埋められていく。
男として幸福感を堪能しつつ、でも息が苦しい……。
ぷはーっと、窒息寸前の俺は何とか脱出し、その女性の顔を見上げた。
「――リーゼ先生!? どうしてここに!?」
「お母さんに聞いて、先生も遊びに来たんですぅ~! 村長の娘の役得ですぅ!」
「そ、そぉ……でも先生、ダーリンって?」
「もう、クロックくんに決まっているでしょ~!
ああ。あんたが勝手に決めたんじゃねーか。
「ちょっと、リーゼ・マイン! 仮にも教師である貴方が生徒であるクロウに密着して抱き、そんな胸に顔を挟めてパフパフっと……なんて羨ましい、いえ破廉恥でありますわ!」
いい感じな所を邪魔されたソフィレナ王女はブチギレている。
理由はどうあれ、姫さんが怒るのも当然だと思う。
現役の王女に指摘され、リーゼ先生は渋々俺から離れた。
にしてもリーゼ先生……。
思考は幼女っぽいけど、身体は正真正銘の大人だ。
普段もやばいけど、水着姿はもっとやばい……。
ビキニであるが明らかにサイズが小さく、おかげでちょっと動いただけでポロリしそうなマイクロぶり。
鍛え抜かれた体育会系のアリシアとセイラとは違う意味でのナイスバディだ。
ちょっぴりポチャッとした感じが、またなんとも……。
――いかん、自重!
「ところでリーゼ先生……お、俺をダーリンって呼ぶのやめてもらえます? 姫さんじゃないけど、俺も一応は先生の生徒だし、周囲に示しがつかないでしょ?」
「プライベートじゃいいかなって思ったんだけど……じゃあ、なんて呼んでほしい?」
「クロウでいいですよ。仲良くなった人にはそう呼んでもらっているので……はい」
「じゃあ、クロウくんだね~! きゃっほ~♪」
リーゼ先生は水着から両乳が零れ落ちるんじゃないかっというくらい、無邪気に飛び跳ねてはしゃいでいる。
やべーよ。ポロるよ、先生。
しかしリーゼ先生、女性としての危機意識が全くなさ過ぎて、絶対に悪い男に引っかかりそうだ。
このまま俺が放置したら『娼婦館行きルート』じゃすまないぞ。
だがこんなんでも二年前までは現役の勇者パーティの
その実力と特殊能力は非戦闘用にせよ、かなり精度の高いレアスキルだと判明した。
俺も今回のことで彼女を見る目が変わったんだ。
なんていうか……この先生に学べて良かったっていうか。
性格も明るくて素敵な先生だしな。
今の俺なんかじゃ、結婚を考えるのは早すぎるけど……。
――まずは
――そしてトラウマの克服だ。
「クロウ様、一緒に海で泳ぎませんか? ソフィレナ王女とリーゼ先生殿も」
海中訓練だかを終えた、アリシアが誘いにきてくれた。
濡れた水着がより、彼女のスタイルの良さを浮き彫りにしている。
まさに
最強を誇る黄金律のプロポーションだ。
見ているだけでも、思わずテンションが上がってくる。
「よっしゃ、こうなりゃ夜まで遊ぶぞ~!」
俺はアリシアと共に海へダッシュした。
色々あったが、こうして楽しい夏休みが過ぎていく。
そして、いよいよ。
――スキル・カレッジの二学期が始まった。
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