3#風船探しタイムリミット3分、2分、そして1分
3分経過。
ボクは必死に、飛んでいく黄緑色の風船を追いかけた。
「まってぇーーーーーー!!まってぇーーーーーー!!まってぇーーーーーー!!まってぇーーーーーー!!」
黄緑色の風船は、段々高度を下げて遂に紐が爪に届く位になっていた。
「ほいっ!もう少しっ!もう少しにゃ!!」
野良猫のボクは、何度も何度も何度も何度も何度も何度も、ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!と飛び上がってジャンプして、頭上をフワフワ浮いている黄緑色の風船の紐を掴もうとした。
ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!ぴょーん!!
「もう少しっ!!もうちょっと!!うわっ!!もう少しにゃ!!惜しいっ!!
もうちょっと!!もう少し!!」
野良猫のボクは、段々時間の事ばかり気にしていた。
「はやくしないと!!ヤンちゃんの言ってた5分が過ぎちゃう!!
5分過ぎたら、僕の恋が破局するにゃ!!」
2分経過。
ぱしっ。
「取れたにゃ!!」
野良猫のボクは、前肢の両手の肉球同士を合わせてやっと黄緑色の風船の紐を掴んだ。
「やっと風船を捕まえたのはいいけど・・・」
野良猫のボクは、その黄緑色の風船の中のヘリウムガスが抜けて、縮んでいたのを見て唖然とした。
「困ったにゃ・・・こんなみすぼらしい風船で、ヤンちゃんは喜ぶかなあ?」
野良猫のボクは、考えこんでしまった。
「あれ?今は・・・しまった!!」
野良猫のボクは、肝心な事を思い出した。
「やば!!もう、ヤンちゃんの言ってた時間の後1分を経過していたにゃ!!」
野良猫のボクは、更に萎んだ黄緑色の風船の紐をくわえて慌てて放置廃車のスポーツカーの中で待っている愛する白猫のヤンの元へ、猛ダッシュで駆けていった。
用水路、
空き地、
車道、
歩道、
家の屋根、
路地裏、
歩道・・・
元きた道を辿って走っていくうちに、黄緑色の風船はどんどんどんどん萎んで、遂にはシオシオになってしまった。
「ああ・・・どうしよう!!まいいか。風船は風船だ。
兎に角、この風船をヤンちゃんの元へ持っていなきゃ!!」
後40秒、
後30秒、
後20秒、
後10秒、
9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・
「ただいまーーー!!ヤンちゃーーーん風船持ってきたよーーー!!
・・・えっ?」
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