第5話 学校で
翌日、学校で、琴美ちゃんが、僕と目を合わすと、ニコッと微笑んだ。
僕の心臓が、居場所を主張し、顔が、赤くなった。
下校時、校門で、琴美ちゃんが、誰かを待っている風に立っていた。
遅咲きの桜の枝が、花びらを手放して琴美ちゃんの肩にそっと乗った。
僕が、琴美ちゃんから、目が離せなくなった。視線を感じたのか、彼女が振り向いた。
再び、笑顔に変わった琴美ちゃんが、僕の方に駈けてくる。
桜の花びらが、肩から滑り落ちた。
「遅かったわね。一緒に帰ろうと思って、待っていたの」
学級委員長という役を押し付けられていた僕は、雑用があり、帰る時間が、遅れる。
「満月は、次の土曜日ね。行くでしょ?」
「もちろん行ってみるつもり」
どうして、僕を待っていてくれたのかな?聞きたいひと言が、何故か出なかった。
「私も行っていい?」
「夜だよ。しかも山の中。何かあったら危ないよ」
「大丈夫よ。おじさんも来るのよね。母さんも一緒に行くと言ってるもの。真夜中のピクニックね」
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