第2話  ネコのヒゲ、イヌのヒゲ

 おじさんのアドバイスは、魔法の国のネコのヒゲを僕が持ち、イヌのヒゲを彼女に持たせると、いうことだった。魔法で、両思いになれるらしい。


「ちょっと、待った。その魔法の国というのは、何処にあるの?」


「ああ。それもこの本に載っていた」


 おじさんは、しばらく、無雑作に積み上げられている本の中から、いかにも古そうな、大きな本を引っ張りだした。


 たぶん昔は、もっと赤い色をしていたのだろうが、今は、黒に近い赤いだ。

 僕の家にもある、誰も開く事の無い百科事典に似たその本を開くと、見たこともない文字で書かれていた。


「ほら、ここに魔法の国の行き方も記されている」


「おじさん。この文字読めるの?」


「読めるよ。大学行ってたからね」


 こんな文字の勉強なんて、どんな大学だろう。それとも、もしかして、おじさんは、天才か?


「ここには、風のない満月の夜。山の中の水面みなもに、千の月が映し出される時、門は、開かれる、とあるな」


「どこかの湖に月が映るの?でも、風も無い夜は、波も無いし。綺麗に映るだけでたくさんは、映らないよね」

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