卵焼きと、魔法の国
@ramia294
第1話 魔法研究家
中学生になった僕は、恋に落ちた。
おそらく。
たぶん、これが恋というものだろう。クラスメイトの
それ以前にも、女の子を好きという気持ちは、経験済みだったが、今回は、少し違うようだ。
何が、きっかけだったのかと、問われると、自分でも困ってしまう。
たぶん、春の陽射しの魔法かも知れない。
ここで、僕は、思いついた。この恋が、魔法で何とか成就出来ないかと。
僕のおじさんに、自称、魔法研究家を名乗る変人がいる。母さんは、自分の弟なのに、僕が仲良くする事に、いい顔をしない。
「僕は、魔法使いではなく、あくまでも研究しているだけだよ」
おじさんの口癖だ。自分を魔法使いだと言い出せば、少し考えてしまうが、魔法は使えないと、はっきり言っているのだから正常だと思う。
お日さまが、いつまでも星と交代したくないと、ノロノロと西に向かって行く春の夕暮れ。
僕の初恋を成就させるための作戦を おじさんに、相談してみた。
今、考えれば、無茶だったと思う。おじさんは、未だに独身。得技は、何故か美味しい卵焼き。
さらに、恋人の噂も聞かない。何でも、研究が、忙しくて暇が無かったらしい。
「そうか、直人も恋に悩む年齢になったか」
おじさん自身は、悩んだ事があるのだろうか?
「恋に関する魔法は、いろいろある。しかし、ほとんどが魔法使い自身や、少なくとも魔法を行使出来る者が、関係している」
「いや、僕としては、普通のアドバイスをもらいたくて…」
もちろん、魔法で何とかなるなら、それに越したことは無いと思っていた。おじさんは、困った顔をした。
「恋愛は、いつの時代もあたった砕けろだ」
おじさんの話しは、続く。
「おじさんとしては、直人に砕けてほしくないわけ。だからおじさんの知識を総動員して恋愛成就の確率の高いアドバイスをしようと考えているんだ」
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