第5話 男子児童虐待殺人事件

川鳴図書館は団地から徒歩五分程の場所にあった。図書館は二階建てで広さもあり立派な図書館だった。

「せんぱーい、どうやって調べますかー!?」

「うーん、三人いるし手分けして探した方が良いかもしれんな」

「どう別れます?」

「俺は地元の新聞を見ようかと思ってる、過去に何かあれば記事になってるはずだ」

「私は郷土とかそういうの探してみます」

「私はじゃあ二人を待ってます」

「いや、お前も探すんだぞ」

やる気のない羽原にハッパをかけて各自、別れた。

「取り敢えず、図書館のパソコンを使って新聞記事を検索しなきゃな」

図書館や新聞にもよるが、パソコンから新聞記事を検索するサービスがあったりする。それが使えれば大分楽になる。極力新聞を一枚一枚見ていくのは避けたい。館内を歩いているとパソコンコーナーを見つけ、見てみると何台か空き台があったので早速調べてみた。運良く地元の新聞に記事を検索機能が入っていた。心の中でラッキーと呟きながら検索をかけていく。(末代団地)と打ち込む。すると十五年前の2006年の五月十三日に検索が引っかかった。何時の記事か分かれば後は図書館の受付に聞くだけだ。直ぐに受付カウンターに行き尋ねた。

「すいませーん、2006年の五月十三日の川鳴新聞ってあります?」

そう尋ねると受付のおばさんに凄い嫌そうな顔をされる。

「…ありますけど、ハァ…、ちょっと待っててください」

そういうと受付の人は奥に入っていった。あまりの態度の悪さに少しイラッとする。暫くすると戻ってきて俺に新聞を渡した。

「終わったらこちらに返しに来てください」

俺は椅子に座りペラペラとめくり記事を探した。何枚かめくった時、強烈な違和感を感じそのページを読んでいるとそれらしき記事を見つけた。


(埼玉県川鳴市末代団地、男子児童虐待殺人事件 2006年五月十二日早朝、団地の住人が倒れている木場誠きばまこと君五歳を発見。既に亡くなっており、その顔はアイスピックで顔を滅多刺しになっており、誠君の両親である母、加奈子かなこ。父、ただし両名が犯行を認めた為逮捕となった。誠君は日々虐待を受けており、それがヒートアップしてしまいアイスピックで刺した後、外に放置されたとある。)


記事内容には信じらない程、残酷な内容が書いてあった。確かにこの子供であれば相当な怨みを持っていたはずだし霊となってもおかしくないと思わせる程である。そうして放心しているとすぐ側で声がした。


「あれ、信二君?」


顔をあげると俺がかつて付き合っていた女性が立っていた。

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