第2話 末代団地とは
五月の土曜、講義もないというのに朝早く大学へと向かっていた。
「あっ、せんぱーい、こっちこっちっす!!」
大学の正門前から手を振る女の子がいる。
「先輩遅いじゃないですか!!」と美鈴は腕を組んで怒っている。
「え、遅れちゃってたか?」
携帯を取り出して時刻を確認してみると十時五分を過ぎていた。
「もう、こっちはすごい待ってたんですからね」
「ごめんごめん、許してくれよ」
「みーちゃん、すっごい早くに来てたもんね〜」
羽原に指摘された須永は一瞬驚いて
「な、なんで知ってるの!?」
「いや、私大学から家近いじゃない?大学の前って散歩コースなんだよね。それで門のところ見たら集合の一時間前からみーちゃん校門前で立ってたから驚いちゃった」
いくら言い出しっぺで気合が入ってるとはいえ、集合一時間前は早すぎるし声かけてやれよ…。そう思い須永を見てみると顔を真っ赤にしている。相当恥ずかしいようだ。
「みーちゃん本当は先輩と一緒に出かけるのが楽しみ…」
「しーちゃん、それ以上言ったら絶交だから」
と須永は般若のような顔で羽原を睨んでいた。
「まぁ、その辺にしてさっさと電車乗ろうぜ」
何とか須永を落ち着かせ一同は電車へと乗り込んだ。
「そういえば須永、今日行くのって
電車の中でふと気になっていた事を尋ねた。
「ああ、そういえば伝えてなかったですね。
須永はスマホを見ながら説明してくれている。
「曰く付きの建物の割に立地はそこまで悪くないな」
「ええ、その為今でも沢山の入居者がいるそうです」
「墓地に囲まれた怪奇現象が起きる団地にか?」
「家賃が相当安いんですよ。それに団地の近くに墓地があるのってそんなに変な事じゃないんです。すぐお墓参りに行けますし」
須永は真剣な表示で解説してくれいる横で羽原はスマホでゲームをやっている。お前もしっかり話を聞きなさい。
「なるほどな、でも団地って事は何棟かある訳だろ?何処かは分かってるのか?」
「流石にそこまでは…、ただ四棟しかないので黄色帽子の子供に関しては調べられない事も無いかと」
「確かに、あと他にも怪奇現象の話あったよな?」
「そうですね、あっ」
須永はハッとしように電車の外を見た。
その視線の先を追って見てみると団地があった。
団地を見れたのは一瞬であったが、何と言うのだろうかその団地にだけ影がかかったような不気味な雰囲気を漂わせていた…。
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