恋せよコミュ症非モテの冴えない君!
@siroi_white
第1話 冴えない転校生
「おら! お前ら座れ座れ!」
予鈴のチャイムと同時に手を叩きながら教室に入った教師。
いや、この場合は、教論と言えば良いのだろうか、担任と初っ端から馴れ馴れしく行った方がいいのか。
とにかく、女性教師の声で騒がしかった教室は一気に静まり、散らばっていた生徒たちも一斉に席につく。
「せんせー! 今日、うちのクラスに転校生来るってほんとー?」
「そう! それだよな! 俺職員室チラッと見たときにそんな話してたからまさかとは思ってよ!」
チャラ男Aチャラ女Aが気になることを女性教師に投げかける。
「知ってるなら手っ取り早い。おい、入ってこい!」
扉を挟んで待機してた僕は、女性教論の呼びかけで扉を開け、視線が僕に集中し、ペコペコお辞儀をしながら、教壇に立つ女性教論の横に立つ。
すると、爆発してる僕の髪を見てツボに入ったんだろう。さっき喋ったチャラ男Aのゲラに連鎖されるように一部の人間を除いて教室がまた騒がしくなった。
「静かに! じゃあ、自己紹介しろ」
「あっ……、さ…冴江内です。よろしくお願いします」
コミュ症の僕にとって、ここが今後の僕の学校生活を左右する出来事になるのは間違いないけど、笑い声と拍手喝采だから受け入れてもらえたと思っていいのかな?
「席……は」
席はとぼやきながら辺りを見渡し、チャラ男Bやらが「俺の隣!」なんてことを言いながら手を挙げてると、女性教師は一拍間を置いてから涼しそうに窓からの風を浴びながら本を読む女子生徒を呼んだ。
「椎名! 隣の席空いてるか?」
「え? あ、はい。空いてますが……」
「冴江内。窓際の一番奥に座ってる彼女の隣の席が空いてるからとりあえずはそこに座ってくれ」
えぇ……と、ブーイングが多方面から聞こえて来る。
この様子を見ると彼女はこのクラスにおいてのカーストは下の方なのか。
一瞥した感じはお嬢様のような気品を感じたけど……。
女性教師に言われた通り、席に行く間で数人から「後で話そうぜ」と言われた。
「えっと……よろしく、椎名さん」
「よろしく」
一回も僕の方を見ることなく挨拶を済ませてまた読みかけていたの本を読み出した。
「なに?」
「あ、いや。ごめん……」
「……そう」
一見しただけではわからないけど全く嫌われる要素が皆無な気がするんだけど、痒いところに手が届かない感じだな。
恋せよコミュ症非モテの冴えない君! @siroi_white
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