第39話 夏休みのおもひで〜蚊帳の外にした結果〜

「あはは!君、面白いね!それに・・・結構可愛いじゃん!!」


 僕をボール遊びに混ぜてくれたのは、女子大生5人組のグループだったんだ。

 なんでも、今キャンプが流行ってるらしく、その流れで仲の良い友だちで来たんだってさ。

 ・・・ただ、個人的には、コテージで泊まるのをキャンプと言うのはどうかと思うけど・・・まぁ、それは僕達も一緒か。


 ひとしきり遊んで、疲れたからってコテージに戻るみたいだったから、僕も自分達の所に帰ろうとしたんだけど、お茶一杯位どうかと言われて、今はおねーさん達のコテージの中にいるんだ。

 まあ、すぐにおいとまするつもりだけど。 


「で、君は友だちと来てるの?何人位?」

「え〜っと・・・僕以外に15人ですかね・・・」

「ふ〜ん。随分と多いんだね。で?で?その中に彼女はいるのかな?男の子は何人位いるの?」


 ・・・こ、これは中々答えにくい問題だなぁ・・・


「・・・僕以外、全員女の子・・・です・・・」

「「「「「え!?」」」」」


 ・・・やっぱり驚くよね・・・


「そ、そうなんだ!で?その中に彼女はいるのかな?」

「・・・ええ、まぁ・・・はい。」


 11人位居ます。

 あ、厳密にはルーさんとアナは違うけど、実質同じようなものだし。


「そうなんだ〜!どんな彼女?見せて!写真とか無いの?」

「携帯をコテージの中に置いて来ちゃったので・・・」

「そっかぁ・・・残念。」

「でも、それならなんで外に一人で居たの?」

「あ!もしかして、女の子が多すぎて居づらかったとか!?」

「あーそれあるー!!」

「だよねー!!」

「あ、じゃあさじゃあさ!君、今日こっちに泊まる?」

「きゃー!?何する気なのよー!」

「別にそう言うつもりじゃないけどさー。可哀想じゃん!」

「それはそうかもー。」

「じゃあそうしよっかー。」

「え?え?あ、あの・・・」


 なんか不味い流れな気がする・・・

 あれよあれよと話が進んでいき、口が挟めない。


「大丈夫!おねーさん達に任せて!」

「そうそう!」

「いや・・・そうじゃなくて・・・」

「うんうん!気後れしちゃうよねー?でも、大丈夫だよ?なんだったら一緒のベッドで寝ちゃう?」

「きゃー!何言ってるのー!?まさか歳下食べちゃう気ー!?」

「別に食べないわよ!・・・ちょっと美味しそうだけど。」

「「「「きゃー!!」」」」


 ・・・やばい。

 なんかわかんないけど嫌な予感が・・・


「そう言えば、君、結構筋肉質だよね?ほら、この辺の腕の筋肉なんて・・・」

「うひゃ!?」


 撫でるように腕を触られて、思わず声が出ちゃった。


「・・・なになに?良い声出すじゃない。じゃあこっちはどうかな〜?」

「ひっ!?ちょ!?」


 しがみつくようお腹を触られた!?


「うわっ!?凄い筋肉!」

「え?嘘?どれどれ・・・きゃー凄い!君、鍛えてるんだね!!」

「ちょっと!私も触らせてよ!・・・すごーい!!」

「ま、待って!待って下さい!!」


 うわぁ!?

 もみくちゃにされて服をめくり上げられてる!?

 めちゃくちゃ触られてあちこちポヨンポヨンして・・・

 まずい!!これじゃ・・・

 

「・・・あ・・・」

「・・・大っき・・・」

「・・・ごくっ・・・」

「嘘・・・こんなに!?」

「すごっ・・・」

「・・・こんなの入ったら・・・どうなっちゃうのかな…」

「「「「・・・」」」」


 やば!

 薄手のズボン履いてたから、思いっきりテント張ったのバレちゃった!!

 離れなきゃ!!


「・・・ね、ねぇ・・・?どうして離れるのかな〜?」

「そうそう・・・こっちおいでよ。」

「うん。大丈夫・・・怖くないよ?ほら・・・」

「もしかして照れちゃったかな?大丈夫だよ?男の子なら普通の反応だからさ?」

「・・・だね〜?ほらほら・・・来ないならこっちから行っちゃうよ〜?」


 ひぃ!?

 じりじりと近寄って来る!?


「あ〜・・・熱くなって来ちゃったな〜!!」

「・・・ごめんね?熱くて仕方がないからちょっと上脱ごうかな〜・・・」

「そ、そうだね〜・・・君も熱くない?」

「うんうん、大丈夫だよ?私達も脱ぐから君も脱ごっか・・・ね?」

「・・・どうして怯えてるのかな〜?・・・そんな可愛い顔して・・・もしかして誘ってる?」

「あ、そういう事?君、ギャップ凄いもんね・・・でも・・・」

「誘ってるのなら仕方がないね。」

「うん、仕方がない。」

「誰からにする?」

「あ!私最初がいい!!」

「良かったね〜。今、みんな彼氏が居ないから浮気になんないもん。」

「それよね。」


 ・・・不味い!

 逃げなきゃ!!


「あ!逃げるよ!」

「させない!」


 うぇ!?

 出入口抑えられた!

 ・・・傷つけるわけには行かないし・・・


「さぁ・・・もう逃げられないよ?」

「ほら・・・あっちのベッドの所に一緒に行こうね〜?」


 どうする、どうする、どうする!?


 バァン!!


「きゃ!?」


 突然のドアの開放。

 そして・・・そこには桜花が!後ろにはリディアも!!


「桜花!たすかっ・・・ひぃ!?」

「りょ〜う〜ま〜!!!」


 凄まじいプレッシャーを発しながら仁王立ちする桜花。

 そして、その後ろで同じ様にしているリディア達。


「だ・・・だ・・・だれ・・・?」

「・・・す、すっごい綺麗・・・」

「可愛い・・・モデル?女優?アイドル・・・?」


 唖然としている女子大生のおねーさん達。

 しかし、桜花はそんなおねーさん達を見向きもせず、僕に近寄ってくる。


「あんたは〜!あんたって奴はぁ!!来なさい!!」

「はいっ!!」


 僕の襟首掴んで引きずって行く桜花。

 

「お騒がせしました!!こいつは返して貰います!!!」

「「「「「・・・は、はい・・・」」」」」


 おねーさん達をにらみつけながらそう告げて、その後は無言で僕をコテージに引きずっていく桜花と、犯人を護送するように取り囲んで進むリディア達。

 よく見ると、複雑な表情の瞳達もいる。


 ・・・怖い。

 僕、どうなるんだろう。


「ぐえっ!?」


 コテージの居間に放り投げられる。

 頭から床に落ちる僕。

 そして・・・


「正座ぁ!!」

「はぃぃぃぃぃ!!」


 桜花の怒声で背筋を正して正座した。


「消音!!」

「はい!『サイレントフィールド』!!」


 僕は桜花の指示でコテージの周りの音を消す。

 そして怒髪天の桜花は、大きく息を吸い込み…爆発させた。

 

「あんたはぁぁぁ!!こっちがあんたの為に、色々考えてやってるってのにぃぃぃ!!ちょっと目を話した隙に、女子大生グループに逆ナンされてホイホイついて行ってぇぇぇぇぇ!!」

「・・・ナンパしたとは言わないんだね。」

「まぁ・・・龍馬くんだものね。」


 しみじみと瞳と早苗さんが話す声が聞こえてくる。


「ご、ご、誤解なんだ!僕が一人で寂しそうにしてるから、一緒に遊ぼうってボール遊びに誘ってくれただけで・・・その後に喉が乾いただろうから、お茶でもどうだって言われて・・・お茶くらいならって・・・」


 しどろもどろ答える僕に、リディアがジト目で顔を寄せた。


「・・・それでコテージに連れ込まれて、半裸になった女性達に追い回されていた、と・・・ほ〜・・・リョウマさん・・・まだ何か隠してますね・・・?」


 ギクッ!?


 うわ!?

 リディアの目がめっちゃ光ってる!?


「・・・例えば・・・筋肉質だね、とか言われて身体を触られたとか・・・」


 ギクギクッ!?


「・・・それでリョウマさんのリョウマさんが反応しちゃって、その大きさに目の色を変えて襲われそうになった・・・とか・・・」


 見てたの!?


「・・・どうやら当たりのようですね。オウカ、みなさん、どうします?」


 般若のような表情で僕を見下ろすみんな。


 ガタガタガタ・・・

 震えが止まらない・・・


「・・・はぁ〜・・・」


 憤怒の表情を浮かべていた桜花。

 だが・・・


「腹が立ってるけど・・・目を離したのも事実。それに・・・寂しかったのも事実でしょうし・・・腹が立つけど!・・・仕方がない、か・・・」


 大きくため息をついて周りを見回す桜花、

 それに、同じ様な表情をしていたリディア達も苦笑した。


「早苗さん・・・瞳、宏美、梨花ちゃん。これの繰り返しよ?本当に良いの?」

「「「「・・・」」」」


 桜花の言葉に、無言で苦笑する四人。


 ううう・・・恥ずかしい・・・


 こうして、罰は後ほどという事になり、取り敢えずご飯の準備を進める事になりました。


 ・・・僕は、この後一歩も外に出して貰えませんでした。

 トホホ・・・

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