第38話 夏休みのおもひで〜僕が蚊帳の外な件について(2)〜

side桜花


 瞳たちショックを受けていたみたいね・・・


「オウカ・・・大丈夫?」

「ええ・・・大丈夫よ・・・リディアもきつい役割をありがとう。」

「いいえ、良いのですオウカ。これはあの四人と、元々面識のあったあなたには辛い役割ですから。それに、嘘は言っていません。本心ですし。」


 そう、実はこれは元々決めてあった流れだったのだ。

 私達と一緒にいる以上、これは切っても切れない事になる。

 これが受け入れられないなら、仲間に迎えるわけにはいかない。

 じゃないと多分破綻する。

 

 だけど・・・自分がここまでショックを受けるとは思っていなかった。

 私もあの四人を、しっかりと友人以上に思っていたのね・・・


 みんなが寄り添ってくれた。

 ありがとう。

 本当は、みんなも心優しいから、こんな事はしたくないでしょうに。


 ごめんねみんな。


「大丈夫ですよオウカさん。あの子たちを信じましょう。それに、私達もそこまでやわではありませんよ。」

「・・・ありがとうセレス。」


 ドアが開く音がした。

 四人が近寄ってくる。


 そして、


「結論が出ました。してもらって良いです。私達はそれを受け入れる覚悟が出来ました。」


 早苗さんが代表して口を開き、瞳達も頷く。

 私はリディアを見た。

 リディアも頷く。

 嘘は無い、本心ね。


 私はホッした。

 そして・・・気がつけば・・・目から涙が流れていた。


「「「「桜花さん(ちゃん)!?」」」」


 早苗さん達がいきなり泣き始めた私を見て驚いていた。


「ご、ごめん・・・なさい・・・悩ませて・・・しまって・・・試すような真似をして・・・」

「・・・どういう事かしら?」


 早苗さんが聞いてくる。

 私が答えようとした時だった。

 私の左右から、エスメラルダとレーナがそっと寄り添ってくれた。


 そして、私のかわりにセレスが答えてくれた。


「桜花さんは心を鬼にして、今回の茶番を実行しました。私達に頼み込んだのです。でなければ、いくら私達でも、自分たちだけの時以外にはそんな事は致しませんよ。」

「・・・何故でしょう?」

「私達の仲間になるという事は、これらや今ある絆を受け入れられなければ成り立ちません。でなければ内部から崩壊します。そんな人間を受け入れる事は出来ません。それに、そうなった時、傷つくのはあなた方となるでしょう。ですから、桜花さんは事前に覚悟を問うたのです。今ならわかるのではないですか?」

「・・・はい。」


 早苗さんも、瞳も宏美も梨花ちゃんも頷いてくれた。


「ごめん・・・ごめんね・・・ショック受けたよね・・・ごめんなさい。」


 私は傷つけたであろう瞳達に、謝罪の言葉が何度も口に出る。

 リディアが抱きしめてくれた。

 

「オウカは悪くありません。これは通過儀礼だと思いますから。ですからオウカを嫌わないであげて下さい。不満は私が・・・私達が受け止めます。」


 リディアがそう言ってくれた。

 みんなも頷いている。

 みんな・・・ありがとう。


「・・・桜花さん。ありがとう。」


 早苗さんがそう言った。

 私は早苗さんを・・・みんなを見た。


「泣くほど罪悪感があるのに、そんな辛いことを実行してくれたのね・・・私達の為に。あなたは手伝わないと言ったのに・・・あなたもやっぱりお人好しだわ。」


 早苗さんは笑顔でそう言った。


「うん!もし桜花ちゃんが教えてくれて無かったら・・・仮に上手く仲間になっても、もっと酷いショックを受けていたと思う・・・だから覚悟を決めさせてくれてありがとう!」


 瞳・・・


「まぁ、いい機会だったのかもね〜?それに、珍しい桜花ちゃんの泣き顔も拝めたしさ!だから気にしない!」


 宏美・・・


「桜花ちゃんもやっぱり優しいね?私達にもチャンスをくれて。ありがとう。嫌いになんてならないよ?勿論リディアさん達も。」


 梨花ちゃん・・・


 四人が近づき抱きしめてくれた。

 良かった・・・ 


「さて!そうと決まればあたしはもう反対しねぇ!みんなはどうだ!?」

「「「「「「「「「「異議なし」」」」」」」」」」


 アイシャの言葉にみんなも賛成してくれた。

 どうやらみんなも認めてくれたみたいだ。

 だったら後は・・・


「リョウマさん次第、ですね。」


 リディアの言葉でみんな頷く。

 ここからは作戦会議ね。




side龍馬


 ・・・ねぇ、僕いつまで外にいれば良いの?

 折角の旅行なのに・・・僕だけ仲間外れ?

 うう・・・寂しい・・・・


 ん?

 なんかボールが飛んできた。

 

 あ、あの人達のかな?

 えい!


 ・・・手を振ってる。

 楽しそうだなぁ・・・

 あれ?

 なんかこっちに近づいてきたな。

 え?

 一緒に遊ばないかって?

 でも、僕高校生ですよ?

 お姉さん達は大学生ですよね?

 なんでです?

 ・・・僕が寂しそうだからって?


 ・・・すみません。

 じゃあ、ちょっとだけ・・・

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