第28話 修学旅行(5)

前書き


ここから【 】内は英語だと思って読んで下さい。

英語苦手なので(笑)


***********************


「生徒を離しなさい!」


 先生は凄い剣幕で、チンピラ風の外国人達に怒鳴っているね。

 こいつらは全部で6人か・・・

 でも、チンピラ達は、ニヤニヤしながら、


【この女なんて言ってるんだ?】

【自分も連れて行きなさい。サービスするからって言ってんじゃねぇか?】

【なんだ。ビッチだったのか。この女も日本人にしては良い身体してるな。一緒に気持ちよくしてやろうぜ。】

【ハハハ!そりゃ良い!ガバガバにして、日本人のコックではもう気持ちよく出来ないようにしてやるか!】


 ・・・ゲスいなこいつら。

 先生も少しは英語が分かるのか、顔が引きつっているけど、引く気は無いみたい。


 僕が近寄って行くまでにも、遠目に見ている他の男子生徒や一般の人がいる・・・って、あれ、いつも威張り散らしてる体育教師じゃん!

 こんな時は助けないのか・・・情けないね。


【離せ!離して!!誰か!!】

【お?なんだよ?英語喋れるのか。なら、英語での喘ぎ方も教えてやるよ!】


 あ、しまった!

 先生は手首を掴まれて、引きずられてる。

 いかんいかん。


 僕は小走りに近寄った。

 そして、先生の手首を掴んでいる奴の手首を掴む。


「三上くん!?」

【ああ?なんだこいつ?】


 僕を訝しげに見る外人。


【先生は離してって言ってるよ?】

【こいつ・・・英語が出来るのか?】


 いいえ、スキルの力です。


【おい!引っ込んでろ!殺すぞ?】

【えっ?大声で叫ばなくても聞こえてるよ?それに出来もしないことを言うのも笑えるだけなんだけど。】


 そう僕が言った瞬間に、男たちの目つきが変わった。


【てめぇ!舐めやがって!!】


 僕が掴んでいた男が、先生から手を離して殴りかかってきた。

 馬鹿なの?


 僕は、そのまま男の手首を握り、引っ張って体勢を崩す。

 盛大に空振り、転倒する外人。


【馬鹿野郎!何やってんだ!】


 そこへ、すぐ側にいた外人が殴りかかってくる。

 隙だらけだ。


 僕は足刀で相手の腹を蹴る。

 

【ぐふっ!?】


 男は腹を押さえてうずくまった。

 そして、僕はそのまま掴んでいた手首を握り潰す。


【離せこいつ!はな・・・ぎゃあああああ!?手が!手がぁ!?】


 外人達を見回し、


【まだやるの?】


 と、僕が言うと、外人達は一斉に襲いかかってきた。


 最初の男は蹴って来た。

 僕は半身で避けて、そのまま相手の足の下に手を伸ばし、上に上げる。

 すると、男は頭から地面に落ちる。

 もっとも下は砂浜だから、そんなにダメージは無いので、次の相手に相対する為に移動しがてら顔面を踏んで気絶させておく。


 次に、その隣にいた男には、冲捶を打つ。

 男は腕でガードしようとしたけど、


 ボキッ!!


 と音がして、腕が折れた。

 脆くない?

 ちゃんとカルシウム取ってる?


【ああああああ!?腕が!?】

【静かにね?】


 僕はそのまま転身しながら男の背後に周り、頭に掌打一発。

 勿論、加減してだよ?

 それで、男は気絶した。


 これで、後二人か。


【この野郎!!】


 お?一人がナイフを取り出した。


「三上くん!!逃げて!!」


 先生の叫び声が聞こえる。

 いやいや、こんな素人のなんてさ。


 僕は、ナイフを握っている手を蹴り上げると、ナイフは宙に舞った。

 勿論、男の手首は折れている。


 ナイフの柄尻を足で押さえ、そのまま地面に振り下ろす。


【ひぃっ!?】


 ナイフは、男の鼻先をかすめ、地面に突き刺さった。


【返すよ。】


 ちょっとした威圧を込めてそう言うと、男は恐怖のあまり失神してしまった。


 さて・・・


【後はあんただけだけど、どうするの?】


 僕がそう言うと、最後の一人は震えながら、


【お、お、俺たちは、この浜を仕切ってるチーム、『ホロウ』のもんだぞ!?俺たちに手を出したらただじゃすまねぇぞ!?】


と言ってきた。


【知らないよそんな事。僕が聞くのは、まだやるのならこのまま痛い目に遭ってもらうってだけなんだけど。】


 僕が一歩前に出ると、男は両手を左右に振りながら、謝罪してきた。


【ま、待て!わかった!だからもう止めてくれ!俺たちが悪かった!!】

【じゃあ、どこへなりとでも消えろ。次に誰かに手を出したら許さない。伸びてる奴らを起こして連れていけ!目障りだ。】

【わかった!わかったから!】


 男は他の外人を起こして、僕を見た後、走って逃げていった。

 ふぅ。

 やれやれ、人間ああはなりたくないもんだよまったく。


「先生、それに君も大丈夫だった?」


 僕がそう言って二人を見ると、二人が駆け寄って来た。


「三上くん!?怪我は!?・・・無さそうね。」

「あの・・・あの!ありがとう三上くん!!」


 先生は心配そうに僕の身体をペタペタ触る。

 ・・・ちょっとくすぐったいんですけど?


「ぼ、僕は大丈夫ですよ。あの程度の奴らに怪我なんてしません。それよりも、二人共怖かったでしょう?取り敢えず向こうで飲み物でも飲んで、落ち着いたらどうです?」


 そんな事を話している時だった。


「小森先生!大丈夫ですか!?くっ!もう少し早く俺が到着していたら!!」


 あっ、さっきの体育教師だ。

 安全だとわかったから来たのかな?


「小森先生も君も向こうで落ち着きましょう!さぁこちらへ!三上は向こうに行ってろ!後で報告に来い!いいな!!」


 ・・・え〜?

 面倒くさいなぁ。

 それに、この先生の小森先生を見る目・・・なんかやらしくない?

 胸とかジロジロ見てるし・・・


 その時、小森先生がキッと体育教師を睨んだ。


「・・・先程、遠巻きに見ていましたよね?私が気づいていないとでも思ったのですか?」

「そ、それは・・・」


 すると、体育教師は先程までの勢いが尻すぼむ。


「それに、助けてくれた三上くんにその態度はなんですか?彼がいなければ、私もこの子もどうなっていたか・・・私達は、このまま三上くん達と過ごします。それが一番安全そうですから。あなたもそれで良い?」

「はい!私も体育の先生が見てたのに気がついていましたから!誰も助けてくれない中で、助けてくれたのは、小森先生と三上くんだけでした!だから、小森先生の言う通りにします。」


 そう二人が言うと、体育教師はバツの悪そうな顔をした。


「そ、そうですか。なら、仕方がありませんね。それでは三上、後で俺の所に報告を・・・」

「必要ありません。学校側には私から報告します。がなされない様に、事実は全て当事者である私から説明します。」

「そ、そう…ですか。」


 どういう意味…ああ、この体育教師が二人を助けたとか、嘘報告されない様にって事かな?…小森先生の立腹具合によっては、この先生が助けに入らず傍観していたのもぶっちゃけそうだね、これ。


「三上くん?気にしなくても良いからね?さぁ、行きましょう。」


 そうして、無言で僕を睨む体育教師を他所に、僕達は桜花のいるパラソルの所まで戻ったのだった。



「おかえりなさい。」

「うん。ただいま。」


 桜花達が出迎えてくれた。

 ちなみに、一緒に助けた同級生の子は、途中で、友達が心配してるからと、僕達と別れて友達の所に戻ったんだ。

 凄くお礼を言われたよ。

 たいした事してないのにね。


「先生!龍馬くんも大丈夫だった!?」

「ええ、三上くんが助けてくれたから・・・本当にありがとうね?」

「別にそんな改まる必要も無いですよ。先生にはいつもお世話になっていますから。」

「龍馬っち凄いなぁ!超強いじゃん!!」

「う、うん!凄いね!!」

「えっ?まぁ、弱くはない、かな。あいつら弱かったし。」

「・・・改めて見ると、やっぱり龍馬くん強いよ?前に、私が車に無理やり連れ込まれそうになった時も、4人位やっつけてたよね?」

「う〜ん・・・そうだったかなぁ?でも、多分、そいつらも弱かったんだよ、うん。」


 宏美と梨花と瞳の言葉にしどろもどろになる僕。

 あんまり覚えて無いんだよね…助けた事自体は記憶にあるんだけど。

 別に普通の事だと思うけどなぁ・・・助けるのなんて。


「・・・三上くんどうしたのかしら?」

「ああ、助けるのは普通の事だと思っているんですよ。龍馬は。だから、あんまりにも持ち上げられすぎて、困惑しているんです。」


 先生の言葉に桜花が答えている。

 流石桜花!良く分かってるね!


 先生は僕に向き直った。


「三上くん。あなたがしている事は、凄い事なのよ?下心無く誰かを助けるなんて、中々出来ることでは無いわ。誇っても良いことよ?」

「でも、先生。僕は自分の出来る事をやってるだけなんです。そんなだいそれた事では・・・」

「いいえ、助けられた側にしてみたら、あなたのしてくれた事はまさにヒーローと同じよ?私も本当に感謝しているわ。それに、さっきみたいに、普通は危険から遠ざかろうとするものなのよ。普段威張っていて、立場のある人間でも、ね。」


 それってさっきの体育教師の事かな?

 ・・・これは、凄く根に持ってるね。

 体育の先生、ご愁傷さま。

 小森先生があなたに振り向くことは無いと思います。


「それって何かあったんですか?」

「そうなの!葛城さん、聞いてくれる?あのね・・・」


 こうして和気あいあいとしてビーチで過ごすのだった。


 でも、僕は甘かったんだと思う。

 夜にちょっとした事件が起こっちゃったんだ。

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