第12話 GW(2)

 二日目、今日はネモス小国に行くことになってます。

 しかし、既に、不安しかありません。

 出来れば飛ばしたい・・・けど、残念ながら、そういうわけにも行きません。


 何故なら、


『ディバイド様から連絡来ましたよ。明日はネモスなのでしょう?精一杯おもてなししますね。』


という連絡が、アネモネさんから入ったから。


 この人達が一番危険なんだよ・・・


 しかし、桜花達に引きずられるように連れていかれる僕。

 拒否権はやはりありません。


 ネモス小国に着きました。

 シュバルツカッツェから、充分ネモス小国の景色を堪能したんだけど・・・もういいんじゃない?


 しかし、現実は無情です。

 みんなと一緒に観光しながら王城へ。

 

 そして・・・


「ようこそいらっしゃいました。わたくしはネモス小国女王のアネモネ・クレイ・ディア・ネモスと申します。皆様のご来訪を歓迎致します。」


 アネモネさんがそう挨拶をした。

 父さんと士元さんは、アネモネさんの色気にやられて固まっている。

 あっ!母さんとすみれさんに足踏まれたっぽい。

 慌てて挨拶してる。


「はじめまして!私は第一王女のガーベラ・クレイ・ディア・ネモスと言います!今後ともよろしくお願いします。お義父様お義母様!」

「待てぃ!」


 ガーベラー!きみもか!!


「龍馬・・・王女様って・・・」

「龍馬くん・・・」


 あっ父さん達が遠い目をしている。

 言っとくけど僕のせいじゃないからね!!


「まぁまぁ。龍馬くんのお義父様お義母様も、桜花さんのご両親も、落ち着いて下さいな。」


 アネモネさんの言葉に、目の焦点が戻る。

 流石は女王様だ。

 人心掌握はお手の物・・・なんかお父様お母様の言い方に違和感を感じたけれど・・・気の所為だよね?


「龍馬くんには親子共々お世話になる予定ですのよ。息子さんの息子さんを立派な男にして差し上げま・・・」

「ちょっと待ったー!!何言おうとしてるの!?止めて!?」

「いえ、ちゃんとご挨拶をと思って・・・」

「絶対嘘だよね!?どさくさに紛れようとしたよね!?というかどこがちゃんとした挨拶なの!?下ネタじゃん!」

「なんの事だか・・・どうやら龍馬くん、誤解されているようですね。今度話し合いましょう・・近い内に、夜、ベッドに伺いますね?」

「全然誤解じゃないじゃんか!?」


 僕は必死にアネモネさんを止める。

 父さん達は・・・あ、また遠い目になってる。

 桜花が父さん達に何か言ってる。


「アネモネさんは置いておいても、ガーベラはウルトと同じですよ。龍馬を狙っています。アネモネさんは・・・龍馬の体が目的だと思います。」

「・・・桜花ちゃん、それって龍馬の血を欲してるって事?」


 母さんが恐る恐る桜花に問いかける。

 桜花は、かぶりを降って、


「いえ、単純に快楽目的だと思います。」

「・・・おっふ・・・」


 母さんが聞いたことのない声だして煙を吹いてる!?


「・・・聞いてはいたけど・・・」

「ああ・・・ここまでとは・・・」


 すみれさんと士元さんは何とも言えない顔をしている。

 そりゃそうだろうなぁ・・・


 本当に申し訳ない・・・


 取り敢えず、騒ぐアネモネさんとガーベラをそのままにして、なんとかその場を逃れ、ネモス小国の観光を続ける。


「龍馬くん・・・事情がわからないので、あまり厳しいことは言いたくはないが・・・ちょっと好かれ過ぎじゃないかね?」

「・・・ううう・・・すみません士元さん・・・でも、僕も、何がそんなに好かれてるのか、わからないんですぅ。」

「龍馬、お前手当たり次第口説いてるとかはないのか?」

「してないよ父さん。神に誓って・・・って、この世界の神様は一人は倒しちゃって、もう一人は婚約者になっちゃってるから、神候補のジードに誓ってありません。」

「その発言で既に信憑性がねぇ・・・」

「酷いよ母さん!」

「私もあまり口出しする気はなかったけど・・・桜花はどう考えてるの?」

「そうね・・・もう諦めてるわお母さん。ちなみに、これ、異世界補正じゃないから。私達の世界でも、似たようなものよ。こちらの人ほど積極性はないし、一夫一妻制だから、そこまで大量に来てないけどね。・・・本当に私がどれだけ苦労したか・・・あ、今も苦労してるわね。一人積極的なのもいるし。」


 ううう・・・なんて肩身の狭さだ!

 しょんぼりしていると、みんなが頭を撫でてくれた。

 ありがたいありがたい。


「そういう所も原因の一つよね・・・」

「・・・そうね実花さん。なんか、母性本能をくすぐるものがあるわ・・・」


 何かを母さんとすみれさんが納得している。

 僕にはわかりません。


 さっさと観光勧めましょう。

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