第11話 GW(1)

 今日は異世界旅行の日。

 GW使って家族旅行です。

 既に、士元しげんさんやすみれさんも来ています。


「それにしても、異世界を旅行・・・か。楽しみだな。」

「そうね!インスピレーション湧くと良いけど!」

 

 父さんは異世界の建築様式、母さんはファッションに興味津々のようだ。


「明良さんも実花さんもとても楽しそうだな。」

「そうね。そういうあなたも、異世界の武器が楽しみなのでしょう?」

「わかるか?」

「何年一緒にいると思ってるの?」


 士元さん達も楽しみなようだ。


 扉をくぐり異世界に行く。

 既に、そこにはルーさんとアナさんがお出迎えに来ていた。


「お久しぶりでございます。」

「ようこそいらっしゃいました。」

「やあ、ルーさんとアナさん。滞在中よろしくお願いします。」

「久しぶりです。今回はよろしくお願いします。」


 両家の代表として、父さんと士元さんが挨拶をしている。


「それでは、母屋に行きましょう。みなさんもお待ちです。」


 ルーさんのそんな言葉で、みんなで母屋に向かう。


「ご無沙汰しております、お義父様、お義母様。」


 玄関で、みんなが待っていてくれた。

 リディアが代表で挨拶している。


「やあ、リディアさん。久しぶりだね。元気だったかい?」

「はい、リョウマさんも先週末に来てくれましたから、色々元気です。」


 おい!?何言ってんの!?


「そ、そうか・・・桜花ちゃんも知ってるのか?」

「ええ、知っているもなにも、オウカが連れて来てくれたのです。・・・お仕置き案件と一緒に。」


 そう言って、ちらりと僕を見たリディア。


「・・・今度は何やらかしたんだお前?」

「龍馬くん・・・」


 父親二人が悲しそうに僕を見る。

 僕は何もやってない!はずなんだけどなぁ・・・


「・・・前に話した、僕を気にかけてくれている子が、この旅行について来るって言い張ったんだ。だから、連れて行けないよって説明したんだけど、代わりに名前で呼び捨てにしろって・・・三年間クラス一緒だったし、普通、仲がいいなら出来るでしょって言われたからそうしたんだけど・・・」


 その言葉に、両親と士元さんとすみれさんはため息をつく。

 ・・・そんなに駄目?


「もう・・・この子ったら・・・リディアさん達も、桜花ちゃんも、士元さんとすみれさんも本当にごめんなさいね。女心がわからない朴念仁で。」


 ・・・酷い・・・


「・・・仕方がないわ実花さん。龍馬くんは純朴だもの。そういう駆け引きは難しいわよ。」


 すみれさん・・・それってかばってくれてるのか・・・諦められているのか・・・


「まあ、リョウマらしいっちゃあリョウマらしいな。」

「そうね。仕方がないかもね。」

「でも、これで、ガーベラ達も攻勢強めそうですね。」

「そうですわ。他に手を出す余地を与えないようにしなくてはいけませんわ!」

「・・・いっそ、週末は隔離しちゃいましょうか・・・」

「それはいいアイデアなのです!」

「龍馬くん・・・力だけじゃなく、女心もお勉強しましょうね。」

「ふむ。これ以上強くなる必要もないだろうしな。」


 アイシャ、エルマ、レーナ、エスメラルダ、シエイラ、メイちゃん、セレス、グレイスがなんか恐ろしい事を言ってる・・・

 僕が顔を青ざめていると、父さんと士元さんが僕の両肩をポンっと叩いた。


「・・・お前も大変なんだな。」

「・・・龍馬くん。酒が飲める歳になったら飲もうじゃないか!」

「父さん・・・士元さん・・・ううう、ありがとうございます・・・」


 こんなやり取りをしつつ、取り敢えず客間に案内する。

 荷物を置いた後、取り敢えず、まずはセレスティア王国の王都を案内することにした。

 みんなで飛空艇のシュバルツカッツェに乗り込む。

 どうせなら、いい景色を見ながら旅行したいもんね。


「・・・なんでこれが空を飛ぶんだ?」

「こんな飛行船まで・・・」


 父さんや士元さんが驚愕している。

 そんな驚愕をよそに、王都に着いた。

 勿論、隠蔽魔法で飛んでいるのは隠していたから、王都に混乱は無い。

 出入りは、僕の冒険者証でどうとでもなるしね。


 大集団で歩く僕たち。

 しかし、絡んでくる者はいない。


「おい!あれ・・・」

「ああ、黒衣の天災だろ?」

「お前ら!絶対絡むなよ!」

「わかってるっての!命がいくつあっても足りねーよ!」


 道行く冒険者やゴロツキが、僕を見る度に目をそらして道を開ける。

 ・・・どんだけ怖がってるの?

 僕は悪い異世界人じゃ無いよ!


 色々お店を巡ってから王城へ。

 ディバイドさんには連絡済みだから、すぐに中に入れた。


 キョロキョロとしながら進む父さん達。

 そして玉座の間に着く。


「ようこそおいでなすったな。リョウマの親御殿とオウカ殿のご両親。お初にお目にかかる。儂はセレスティア王国国王である、ディバイド・クレスト・ベン・ハー・セレスティアと申す。ご子息達には本当に世話になった。お礼申し上げる。」


 ディバイドさんが挨拶する。

 既に、宰相のプラムさんとウルト以外の人は退出している。


「い、いえ、はじめまして!龍馬の父の三上明良と申します!お、王様におかれ・・・」

「ああ、よいよい。儂とリョウマは友人じゃ。そんなに固くならず、気軽に接してくれたらそれで良い。というか是非そうしてくれんかのぅ?」

「友人?・・・わ、わかりました。」


 そうして、それぞれ自己紹介した両親ズ。

 ずっと恐縮しっぱなしだったけどね。

 しかし、いきなりぶっ込んだ奴がいた!


「はじめまして。師匠のご両親、オウカさんのご両親!私はウルト・グリモアと言います。この国の近衛騎士の筆頭をさせて頂いています。将来的には師匠の奥さんになりたいです。よろしくお願いします!」

「おおい!?何言ってんの!?」

「所信表明しただけですが?」

「・・・龍馬、まさか・・・」


 父さん達が驚愕している。

 すると、桜花が、


「以前お話した、龍馬を狙っている一人です。龍馬の弟子なんですよ。」


と言った。


「・・・こんな美人が・・・」

「龍馬・・・節操ないわね・・・」


 父さんと母さんがそう呟く。

 僕のせいなの!?

 僕が悪いの!?


「龍馬が悪い。」

「リョウマさんが悪いです。」


 相変わらず心を読むよね二人共!!


 そうして楽しく?談笑した後、王都をまわり、一日目が終わった。

 ・・・これ、行く所行く所で、おんなじような思いしなきゃいけないんじゃ・・・

 なんでこんな事提案したんだろう・・・僕の馬鹿。


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