第318話 VSヴァリス(7)

 僕は最後の力を振り絞って、切り札を使う。

 額にあるサークレットに意識を集中する!

 

 だけど、ダメージはかなり深かったようだ。

 

 一瞬意識が途切れそうになる。

 駄目だ!

 ここで気絶したら全てが終わる!!


 僕は舌を出血する位噛み、意識を繋ぐ。

 

 集中!!

 

 魔力をサークレットに集める。

 みんなの顔が思い浮かんできた。


 リディア・・・最初にこの世界に来た時に会った女の子。

 聡明だけど、とても大胆だ。

 そのギャップにいつも僕はクラクラ来ていた。


 グレイス・・・凛としているのに、どこか抜けたところがある人。強さに貪欲だけど、妹のようなリディア・・・いや、妹思いの優しい人。

 僕はそんな彼女に、憧れすら抱いていたのかもしれない。


 シエイラ・・・出会いはあんまり良い関係ではなかったかもしれない。

 でも、すぐに間違いを正す強さも、正面からぶつかってくる強さも持っている。

 思えば、今の僕とみんなとの関係も、シエイラから始まった気がする。

 今思えば感謝しかない。


 アイシャ・・・狼人族の女性。

 彼女はいつも強くあろうとしている。でも、それもみんなを守りたいという気持ちの現れだと思う。

 それは、メイちゃんを守ろうという強い想いからも分かる。

 僕も強くなろうって思えた。


 メイちゃん・・・最初はとても可哀想だと思った。

 敬虔な信者であるが故に騙され、呪いを貰った。

 助けられて本当に良かった。

 僕は、いつでもメイちゃんの純真さに、気持ちを安らがせて貰っていたと思う。


 エルマ・・・エルフ族の女性。襲われている所を助けたんだったね。教団に騙されたエルフ族の戦士達のせいで、大変な目に遭っていた。

 救えて良かった。

 エルマはみんなのお姉さん役だ。

 僕が甘えられたのは、エルマだけだったかもしれない。


 エスメラルダ・・・竜族のお姫さま。

 お父さんであるグレイガルムさんが、若手の竜たちに囚われ、助けを求めてきた。

 エスメラルダはとても高潔だ。

 僕はその高潔さを見習わなけばいけないと思った。


 レーナ・・・亡国・・・元帝国のお姫さま。

 レーナはとても頑張り屋だ。

 みんなよりも遅れて戦闘訓練に加わった事もあり、必死に強くなろうとしてた。

 召喚された桜花を必死に助けてくれてもいた。

 僕はレーナには感謝しかない。


 ルーさんとアナ

 この二人は、いつも僕たちを支えてくれている。

 いつもいつも助けられていた。

 ルーさんはちょっと大胆な所・・・いや、かなり大胆だけど、やっぱり僕にとっては優しいお姉さんだし、アナはとても一生懸命に頑張ってくれている。

 二人は、今や僕たちには欠かせない存在だ。


 ジード・・・僕の師匠で友達。

 理不尽な事で殺され、魔神と蔑まれた存在。

 でも、ジードとの出会いがなければ、僕はここまで来られなかった。

 ジードとの修行の日々はずっと忘れない。

 忘れられない。

 師匠であり、友達であり・・・家族でもある。

 ジードにはとても感謝をしている。


 セレス様・・・ヴァリスにより封印された女性。

 とても可哀想だと思った。

 助けてあげたいって思った。

 桜花を助けてくれていた事にはとても感謝している。

 ここに送り出してくれた時にキスをされた。

 あの答えは知りたい・・・聞かなきゃいけないって思う。


 ウルトやガーベラ、カエラさん達、アネモネさんやディバイドさん達、ジードの奥さんであるシルヴァさん達も頑張っていた。

 いや、今も頑張っている。


 そして桜花・・・僕の恋人。

 いや、今は婚約者か。

 最初は嫌われていた。

 でも、わかりあって助け合って、今や僕の一番大事な人になった。

 そして、元はと言えば、僕のせいでこの世界に来たかも知れない人。

 逆恨みした黒瀬が喚んだ勇者。

 その事については今でも腹ただしい。

 でも、内心ホっとしている。

 僕はジードの所で修行していた時、辛い時いつも桜花に会いたいと思っていたから。

 話したかった。

 その姿を見たかった。

 抱きしめたかった。

 キスしたかった。

 

 僕は桜花を愛している。

 みんなを愛している。


 だから・・・


 こいつは・・・全ての元凶はここで終わらせる!!


「最終ロック解除!対神兵装アスラ、フルドライブ!!滅神モード!!」


 僕の身体から金色のオーラが迸る!!

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