第319話 VSヴァリス(8)

「最終ロック解除!対神兵装アスラ、フルドライブ!!滅神モード!!」


 僕の身体から金色のオーラがほとばしる!!

 これを使ったら対神兵装は残り1分!

 決着をつける!!


「領域魔法『ミラー イン ザ ワールド』!!」


 上下、左右、正面に巨大な鏡が召喚され、後方を除いて僕とヴァリスの周囲が覆われた。

 この魔法は、別次元の僕を呼び出し、連続の極大攻撃を叩き込むための呼び水だ。


『滅神魔法メギド!!』


 僕の正面にある鏡から、別の僕が現れ魔法を唱える。

 別の僕の周りに黒炎が燃え盛る。

 黒炎は別の僕の前に集まり、剣の形を取る。

 漆黒に燃える剣は、高速で飛んで行き、再生を初めていたヴァリスの胸に突き刺さる。

「ぐあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


 口まで再生していたヴァリスの口から絶叫が迸る!!

 再生を初めていたヴァリスの四肢は、少しずつ燃え落ち始めていた。


 僕の右手側にあった鏡から、また別の僕が現れる。

 別の僕は、頭上から時計回りに、ドッジボールサイズの、フレアボム、メイルシュトロム、ハリケーン、メテオストライク、サンダーストライクという五元素の極大魔法を生み出す。


「合成魔法『マテリアルバースト』!!」


 一箇所に集まり、合成された黒い玉がヴァリスに直撃する。


「アアアアアアアアアアアアアアアア!?」


 ヴァリスは燃え、水で圧殺、風で切り刻まれる、隕石で押しつぶされる、極大の雷撃を一瞬で食らい、ボロボロになっている。


 左手側の鏡からは刀を持った僕が現れる。

 極限まで高めた魔気合一と集中。


 それは、先の二人が放った魔法が終わるのを見計らってから真価を見せた。


「廻里流剣術奥伝『紫電』!!」


 僕は正統継承者では無いので、廻里流の奥伝は紫電までしか教わっていない。

 だから、これが僕の使える剣技の最高峰だ。

 ヴァリスの身体に魔気合一を使った超速、高威力の紫電が直撃する!!


「!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ヴァリスは既に言葉も発せなくなっているが、苦悶の表情だけはわかる。

 身体の大半を消し飛ばされ、大穴を開けている。


 頭上の鏡から出てきた僕が魔法を発動する。


「オリジナル重力魔法『黒渦』!!」


 極小のブラックホールを生み出す魔法。

 ヴァリスに直撃し、徐々に徐々にその身体が小さく縮められて行く。

 これでもうヴァリスは逃げられない!


 下方の鏡から出てきた僕の役割は一つ。


「対神魔法『サンシャイン』!!」


 超重力から抜け出せず、今までの攻撃で弱っていたヴァリスに直撃した。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」


 圧倒的な浄化の力で、神力の鎧剥がれ、ヴァリスの元の姿が現れた。

 その姿も、すでにボロボロだ。


「がっ・・・は・・・こんな・・・馬鹿な・・・俺は・・・神・・・神なの・・・だぞ?・・・こ・・・の・・・世界・・・は・・・俺・・・の・・・遊び場・・・だ・・・こ・・・んな・・・下・・・等生・・・物・・・なんぞ・・・に」

「この世界はお前の遊び場なんかじゃない!!この世界はこの世界に生きる人達のものだ!!みんな必死に生きているんだ!お前のような奴のおもちゃじゃない!!お前のような簒奪者は居ちゃいけないんだ!!みんなの・・・僕の大好きな人達の為にも、この世界から消えて無くなれ!!!!」


 僕は最後の攻撃を放つ。

 これで止めだ!!


「対神兵器起動!!」


 僕の両肩に砲身が一本ずつ現れる。

 

「や、やめろー!!」


 ヴァリスが叫ぶ。

 その表情には絶望が見て取れた。


「今まで、お前が苦しめて来た人達に懺悔しながら逝け!!『アルティメットバースト』!!」


 この攻撃は、対神兵装を構成する全ての力を、ただ破壊の力として放出するもの。

 漆黒の波動がヴァリスを直撃する。


「ああああああぁぁぁぁ!!俺は・・・俺は神に・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」


 ヴァリスは断末魔をあげながら、漆黒の波動に飲み込まれ、その影は徐々に消え・・・最後は消滅した。

 周囲には、金色の光が飛び散って、キラキラとしている。


 バキィン!


 周囲の鏡が砕け散り、別の僕が消えていく。

 僕の対神兵装も消えた。


 全ての力を使い切った僕は、その場に倒れ込む。

 意識が・・・保てない・・・

 もう、限界、だ。

 目が・・・閉じ・・・


『龍馬くん!!駄目です!まだ気絶しないで下さい!その場の力を取り込みなさい!!周囲にある金色の光!!それが神力です!!』


 セレス様の声が脳裏に響く。

 そうだ・・・僕の目的は元々神の力をとりこむことだったんだ・・・

 でも、もう限界・・・


『しっかりしなさい!あなたはその為に頑張ったのでしょう!?』


 ああ・・・その通りだ。

 ありがとうセレス様・・・


 朦朧とする意識の中で、僕はうつ伏せに倒れ伏したまま顔を上げ、片手を突き出す。


 来い。


 僕は魔力を身体に取り込むイメージをする。

 すると、徐々に光が僕の掌に集まって来た。


 もう少し・・・あとちょっと・・・

 朦朧とする意識の中で、集中力を保つ。


 プツリ


 あ・・・もう駄目だ・・・

 集中力が完全に切れる。

 僕は目を閉じ倒れ伏した。


「よくがんばりましたね。それでこそ私が好きになった初めての人です。」


 身体が・・・誰かに抱き起こされた気がする・・・

 セレス様の・・・声が・・・

 僕は意識を失った。

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