第312話 VS神の人形(6)sideシルヴァ フェオドーラ
side シルヴァ
「次代遅れの魔族か。さっさと死ね!!」
「うっせぇ!!てめーら人形が人間ごっこしてんのか!?さっさとおもちゃ箱の中に帰りやがれ!!」
あたしの相手は女形の人形だ。
不自然に胸がでけぇのがムカつく!!
あたしもスタイルは良いが、胸の大きさはマリオンに負けてっからちょっとコンプレックスなんだよ!
その胸もぎりとってやる!!
「おらおらおらおら!!」
「くっ!?魔族風情が!!」
この人形の武器は魔銃と言われる武器だ。
それを両手に一丁づつ持っていやがる。
遠距離からガンガン打ってきやがるから、接近戦に持ち込んでる。
あたしの剣を、上手く銃芯で捌きやがる位には技量があるな。
「おいおい!どうしたどうしたぁ!?押されてんじゃねーかぁ?やっぱ人形にはこのあたしの相手はきついのかぁ?」
「黙れ!下品な魔族めが!!痴女のような格好をしおって!!」
「あんだと〜!!誰が痴女だ!!てめぇの主なんか人形相手に毎晩ハッスルしてんだろぉ?変態め!!」
「我が神を愚弄するなあ!!」
おっと、ブチギレやがった。
所構わず打ちまくってきやがる。
だがなぁ、切れても心は冷静に、だぜ?
隙を見せたな人形。
ここだ。
「くらえ!魔王剣技!『ダブルスラッシュ』!」
あたしは、高速で左右からの横薙ぎ2連を放つ。
その速度は神速。
奴には左右同時に横薙ぎが来ているように見えてる筈だ。
「くっ!?」
人形は両手を上げて防ぐ。
がら空きだ。
「ほらよ!魔王剣技『グランドリル』!!」
この技は、柄を敢えて緩く持ち、剣身を回転させながら突きを打つものだ。
「ぐあっ!?」
直撃して吹っ飛ぶ人形。
まぁまぁよくやった方だな。
だがな、てめぇに恨みはねえが・・・てめぇの主はあたしの大事な・・・大好きな旦那を殺しやがったんだ!だからここで恨みをはらさせてもらうぜ!!
「行くぜ!止めだ!!魔王剣技が奥義!『デス・バレイ』!!」
あたしは上段から剣を振り下ろす。
それと同時に破壊の剣閃がまっすぐ人形に飛んだ。
「ああああぁぁぁ・・・あ・・・あ・・・ぁ・・・」
人形は両断されて消し飛んだ。
その跡には大きな谷が出来ている。
ふぅ。
まあこんなもんか。
あっ!?
胸もぎ取るの忘れてた!!
side フェオドーラ
「あなたの武器は剣ですか。」
「貴様のような下等な生き物には過ぎた代物だがな。」
「うふふ。面白いことを言うお人形さんですね。冗談が上手いんだから!もしかして芸人目指してます?」
「戯言を!!」
私の相手は剣を振るう。
タイプは女性型。
まぁ、剣の技量はシルヴァの足元にも及びませんが。
中々ですが、私にはもの足りませんね。
様々な方向から来る剣戟を、私は薙刀で全て撃ち落とす。
「器用なものだな。」
「いえいえ、あなたが下手くそなだけですよ。ところで・・・あなたはいつ頃作られたんですか?」
「・・・我々5人はセレスを封印する前から存在している。そして、魔神戦役の時に初めて戦いに参加した。戦闘のキャリアは1000年だ。貴様では遠く及ばぬ。」
「へぇ・・・それは良いことを聞きました。」
「なんだと?」
「ええ・・・あなた達に恨みは無い、と思っていましたが、どうやら勘違いだったようです。」
私の最愛の人を殺したのですから。
今は生き返っていますが・・・仇は取らせて頂きます。
私は薙刀の回転速度をあげる。
「くっ・・・!?」
「ほらほら、足元がお留守ですよ。」
私の攻撃速度に追いつけなくなったお人形さんに、私は足払いを打ち込む。
「ぐわっ!?」
「はい、隙あり。」
「ごっ!?」
私は、足払いが直撃して、体勢を崩したお人形さんの顎を、石突で跳ね上げる。
「すぐに後退しないと追撃をくらいますよ。ほらこの通り。」
「がっ!!」
私はそのまま返す刀で頭を打ち据える。
「ぼ〜っとしてたら終わっちゃいますよ?それ!!」
がら空きの胴体に突きを打つ。
もんどり打って倒れるお人形さん。
「どうしました?戦闘キャリア1000年のお姉さん。早くキャリアの差を教えて下さいませんか?」
よろよろと立ち上がる人形。
その表情には少し怯えの色が見えた。
「・・・貴様・・・なんなんだ?この私をここまで圧倒するとは・・・」
私ですか?
「いえいえ、通りすがりの元勇者ですよ。」
「なんだと?勇者・・・それで・・・」
「ええ、あなた達がそそのかした幼馴染の勇者に、自分の夫を殺された哀れな元勇者です。」
「・・・」
「と、言うわけで、あなたには申し訳ないですが、絶望して頂きますね。」
私はそこから魔力を乗せて連撃を放った。
体中を打ち据える。
数分後には、そこかしこを砕かれ、既に足も腕も無く、満足に立つことも出来ない人形が横たわっていた。
片目も砕かれており、すでに無事な目には諦観があった。
「あら、もう諦めちゃったんですか?」
「・・・私ではもうどうにもならん。殺せ。」
「仕方がないですね。それでは・・・首だけ残して保全の魔法を掛けましょう。」
「・・・なんだと?」
「そうすれば、あなたはまだ存在を停止できないでしょう?そして、龍馬くんがヴァリスを討ったのをあなたに確認してもらったら、あなたを壊してあげます。」
「・・・何故・・・」
「知らなかったのですか?女の恨みは深いのですよ。・・・最愛の夫を殺された私の恨み、最後まで付き合って頂きますね?」
私がそう言った瞬間、人形の目には絶望が見えた。
さて、これで私の役目も終わりです。
龍馬くん、後は頼みますよ。
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