第292話 息抜き(1)

 修行は順調だ。

 良い師に恵まれ、環境も良い。

 セレス様のおかげで、どれだけ暴れても、外には干渉しないのが良いね。

 

 流石に、僕の訓練は、ジードの亜空間でやっているけど。


 訓練を開始し、10日程たった。

 

 ジードがみんなを居間に集めた。


「さて、本日は休暇としよう。」


 そんな言葉にみんな目が点になる。


「あの・・・修行しなくて大丈夫でしょうか・・・?」


 真面目なレーナが恐る恐る聞いている。

 気持ちはよく分かる。

 でもね。


「根を詰めすぎるのも良くないのでな。本日一日はゆっくりすると良い。なんなら出かけても構わぬぞ。そう言う所から思わぬ発見もあるからな。」


 という訳で、今日は休暇になりました。

 ちなみに、ジード達はアルメスの街に繰り出す事にしたみたい。

 お金は僕が渡してあるし、姿については魔法でなんとかするんだって。


 エルさんとフェオドーラさんは良いとして、魔族やダークエルフなんかは、既に滅びた種族と言われているらしいから、びっくりされちゃうからね。


 セレス様によると、ジードを殺した後、ヴァリスが、またジードの様な強者が現れたら困ると、魔族を他の種族に滅ぼさせたらしい。ダークエルフはその時に魔族側についたらしくて、同じく滅ぼされたんだって。


 本当に、ろくな事しないな、あのビビリは。


 ちなみに、ジードと奥さんたちは、庭に新しくジードと作った、お客さん用の建物に住んでいる。

 最初は、母屋に住んでいたんだけど、シルヴァさん達に詰め寄られ・・・もとい、話があると呼ばれ、脅迫・・・もとい、説得され、別宅を作って住むことになったんだ。


 ジードは抵抗したんだけど、説得(物理)で、強行されてしまった。


 何故別宅にする必要があったのか・・・

 何故ジードが抵抗したのか・・・

 聞きたい?聞きたいの?本当に?


 まぁ、夜の生活のためって言うか・・・性活のためっていうか・・・

 たまに、ジードがげっそりしていて、シルヴァさん達がつやつやしている事があるんだよね・・・高頻度で。

 どうも、奥さんたちはその…そっちに貪欲らしくて、ジード曰く、「搾り取られる」らしい。


 ちなみに、シルヴァさん達の一連の様子を、リディア達はキラキラした目で見ていた。

 ・・・深く考えたくない。

 というか、暴力はやめてね本当に。

 

 同じように見ていた中には、ウルトやガーベラ、何故かカエラさん達もいたんだけど・・・

 何故だ?

 やはり、深く考えたくない。


 訓練中という事で、合宿のように僕の家には、五剣姫やガーベラが滞在中だ。

 でも最近思うのは・・・なんか居着きそうな気がしてならない。


 特に危険なのはウルトとガーベラ・・・それと、キリアさん。

 キリアさんはかなりホームがお気に入りらしく、たまにガチでお願いしてくる事がある。

 その度に、どこからともなくカエラさんが現れ、キリアさんを引きずっていくんだけど・・・チラチラ振り返って僕を見るのはなんなんだろうか・・・

 後ろ髪を惹かれているようにも見えるような・・・

 うん!

 考えちゃ駄目だ!


 それと、桜花がたまに、誘ってる・・・というか、隙を見せる事が多くなった。

 ついつい目で追っちゃうんだけど・・・あれはわかってやってる気もする。

 たまにフラフラと接近しちゃいそうになるんだけど、まだ、何もしていない。


 僕の中では決めている事がある。

 ヴァリスをなんとかするまで、そういう事はしない。

 優先準備を間違っちゃいけない。

 だからしない。


 興味はある。

 むしろ興味しか無い。

 だけど、そこで流されたら、猿のようになる・・・かもしれない。

 いや、きっとなる。


 だから我慢するんだ。

 ・・・結構つらいけど。

 ・・・こそっと自分で発散しちゃうか・・・


 そんな事を考えていると、セレス様がこっちを見ている事に気づいた。

 その顔は少し赤くなっている。

 可愛い・・・じゃなくて心を読まれた!?


 そんな僕の焦りを見て、セレス様はポツリと言った。


「・・・男の子ですね。」


 僕の顔は一気に赤くなった。

 恥ずかしい!!

 床をゴロゴロする。


 すると、それを見ていた桜花が、怪訝な顔をして、僕を踏んづけて止める。

 ・・・ちょっと・・・もうちょっと止め方があるんじゃない?


「出かけるわよ。みんなで。セレス様も一緒に行きましょう。ルーさんもアナも行くわよ!」


 ・・・僕の意見は無しですか・・・そうですか・・・

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