第210話 卒業パーティ(1)
僕たちは王城に着くと、すぐに謁見の間に通される。
人払いがなされて、謁見の間には王様と宰相さんとウルト、後は僕たちだけになった。
「リディア嬢ちゃん、シエイラ嬢ちゃん卒業おめでとうじゃ!」
ディバイドじいちゃんが相好を崩して言った。
「ディバイド王からのお言葉ありがたく存じ・・・」
「よいよい。いつも通りで良いぞ。」
「はい。ディバイドおじい様ありがとうございます。」
「ディバイドおじい様ありがとうございます。」
そう言って、カーテシーをする二人。
そうなんだよ。
このエロじいいは、僕の仲間に自分の事を、おじい様とかおじいちゃんとか言わせてるんだよね。
みんなが恐れ多いって言ってるのに、ダダをこねたんだよまったく。
アルザードさんとジラートさんが遠い目をしている。
レイチェルさんは驚いて目を丸くしていた。
宰相さんは・・・ため息をついている。
ご愁傷様です。
「レイチェルも久しぶりじゃのう。宮廷を去って以来かの?」
「はい。お久しゅうございます。王におかれましては御健勝そうで何よりでございます。」
「これこれ、アルザードから聞いておらんのかの?このメンツで会う時は儂はディバイドさん、もしくはディバイドおじいちゃんじゃ!!」
「・・・は、はい・・・ディ、ディバイド・・・さん。」
「そう。それでよいのじゃよ。ふぉふぉふぉ。」
レイチェルさんが冷や汗かいて狼狽している・・・初めて見たかも。
そういえば宮廷魔法師だったんだっけ。
面識有るわなそりゃ。
「ジラートもよいかの?」
「は、はい。・・・中々難しいですが努力いたします。」
「硬いのう。リョウマを見よ!こやつ儂の事をエロジジイ呼ばわりじゃぞ?」
「だってエロジジイじゃないか。」
「ほれ!聞いたかの?」
「は、はぁ・・・(リョウマ・・・お前凄いな・・・)」
「そういえばリョウマよ。この後はどうするのじゃ?」
「うん?今日はこのまま帰って、明日みんなで卒業のお祝いパーティするんだよ。その準備をやるつもりですよ。」
「ほほぅ!そりゃ面白そうじゃ!!儂も参加「ダメ」なんでじゃ!!」
「みんな緊張しちゃうでしょ?」
「ええ〜い!リディアちゃん!シエイラちゃん!儂も行ってもいいかのぅ?生先短いじじいだと思って許可をくれんかのぅ?」
「ええ〜とその・・・はい。わかりました。良いよねシエイラ?」
「そ、そうですね。勿論ですよ。」
リディアとシエイラが苦笑いしながら了承した。
はぁ〜しょうがないなぁ。
二人が(渋々)了承したので許可を出した。
アリオスさんとイリーナさんとケーラさんも来るんだけど・・・大丈夫かな?
うん!慣れてもらおう!!
「あいつら卒倒するかもしれんな・・・」
「そうねぇ。」
アルザードさん達が二度目の遠い目をしているのは気にしないことにした。
そして王城からホームに飛んで準備をするのだった。
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一方その頃のセプテス公爵家(次男の家)
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「お、お前今なんと言った?」
「ですからその・・・黒衣の天災とか呼ばれている平民冒険者と揉めまして・・・決闘をしたのですが負けてしまいました。メンツもあるので仕返しの協力を・・・」
「お前馬鹿か!!何を考えているのだ!!あの天災と揉めただと!?」
「は、はぁ・・・身分を弁えずメイビスの至宝とテロアの宝石姫を仲間に引き入れようとしていたものですから、彼女らを助けようとしてですね・・・」
「馬鹿者!!なんて相手と揉めたのだ!!勿論謝罪はしたのだろうな!?」
「いえ・・・その・・・」
「しておらぬのか!?」
「は・・・はい・・・」
「お、終わりだ・・・我が家は終わりだ・・・それは誰かに見られたのか?」
「その・・・公衆の面前でしたので・・・」
「しかし急であれば立会人はおらぬだろう?それならばまだなんとか・・・」
「あ・・・その・・・メイビス家のご当主とテロア家のご頭首が立会人に・・・」
「・・・なんて事だ・・・いや待てよ?それならばその二人経由で仲裁を・・・」
「ち、父上・・・その・・・そのお二人からご伝言が・・・」
「なんだ!?」
「今後おふた方はうちとエイトマ伯爵家との付き合いを辞めると伝えろと・・・」
「はぁ!?」
「その・・・おふた方と黒衣の天災は友人関係にあるとかで・・・」
「・・・貴様その話、決闘の前と後どちらに聞いたのだ?」
「ま、前ですが・・・」
「この・・・おお馬鹿者ぉ!!!!」
「っ!?」
「何故それを聞いて気づかないのだ!?おかしいと思わなかったのか!?一冒険者が公爵や伯爵と友人関係にあるという事に!!」
「・・・申しわけございません。・・・ですが平民の冒険者風情が・・・」
「もう良い。お前は勘当とする。」
「っ!?ち、父上!?何故ですか!?」
「お前の勘当をもって天災に謝罪に行く。儂直々にな。」
「何故公爵家当主が平民なんぞに!?」
「・・・ゼンク公爵を知っているだろう?」
「はぁ・・・王に迫る権力を持っていた公爵ですよね?しかしあの公爵は既に失脚して犯罪奴隷になったと聞いておりますが・・・」
「それをやったのは黒衣の天災だ。」
「っええ!?」
「詳しくは箝口令が敷かれておるので言えぬ。だが事実だ。王直々に手出し無用のご命令を出された。破れば極刑よ。」
「そ、そんな・・・」
「儂とは比べ物にならぬほどの権力を持ったあのゼンクですら叩き潰されたのだ。故に『天災』なのだ。それにあのパーティはどいつもこいつも化け物揃いだ。とある情報網によると数ヶ月前のネモス小国で起こった戦争に依頼で行き、帝国兵1万人をたった五人で全滅させたそうじゃ。儂に勝てるわけがないのだ。だから貴様は勘当だ。良いな。卒業もしたし自由に生きていくと良い。冒険者でもやってな。おそらくお前の友人たちも同じことになっているだろうよ。」
「・・・・・・そんなぁ・・・・・・」
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