第194話 決戦

 打ち合わせを終え、決戦に向けて動き出した。

 僕たちはほとんど準備を終えているけど、軍が動き出すのは時間がかかるみたい。

 とはいえ、ある程度支度を終えているようで、明日の早朝には動き出せるようだ。


 僕たちはすぐに城を立つ予定。

 なにせ回り込んで後方から攻撃しないといけないからね。

 地図で見せて貰った予測地点に向かう。

 作戦はこうだ。

 

 まずは、夜通し駆けて敵の後方を側面から迎撃出来るところまで移動する。

 これは、僕たちの馬車の機動力があってこそできることなんだけど。

 そして、行軍を止められるような罠をいくつか設置する。

 これには任意で発動できる魔法を使用するつもり。

 

 そして逆側の敵側面が見える位置にガーベラ達の小国軍を配置してもらう。これにはどう頑張っても一日以上かかる。

 それに機動力のある馬をメインに据えた編成なので、数はそんなにないはずだ。

 ざくっと5000人くらいだと思う。


 これを明後日までに配置してもらって、後詰の軍は小国の王都から前方に進軍してもらう。

 これは敵の斥候への対策なんだよね。


 ガーベラには通信石と時計をいくつか渡してあるので、朝8時をもって戦闘開始。

 これは、おそらくその時間が、敵軍が食事を交代で取っているであろう予測を立てての事。


 よって、戦闘は小国の目と鼻の先でとなる。

 敵軍は、午前中かけて軍を小国の王都手前につけ、口上を述べてくるだろうから、その前に気を抜ているところを叩く。


 メインは僕たち。

 気合を入れないとね。


 僕たちは野営準備をする。

 僕は予定位置に罠の設置に行く。

 メイちゃんとエルマは野営場所の周辺警戒と、結界の設置。

 

 二人には既に、結界術を教えてあるので、結界を設置し、さらに姿を見えなくなるインビジブルの魔法を野営場所近辺にしようしている。


 これで斥候には僕たちは見えないはずだ。

 アイシャとウルトは敵の陣形と進軍速度を確認に言ってもらった。

 

 夜が来て、通信石も使用しみんなで打ち合わせ。

 アイシャはそのまま敵軍が目視できる位置にいる。

 

 おおむね予定通りかな。

 ガーベラももうすぐ配置箇所につくそうだ。


 みんなに最終意思を確認すると気合十分。

 よし、大丈夫そうだ。

 ガーベラはまだ心配そうだったけど、大丈夫。

 僕たちは負けない。


 朝が来て早めに朝食を取る。

 野営場所はこのままに。

 万が一があった場合はここに一度落ち合うことにした。


 僕たちは敵軍に進む。

 僕だけはインビジブルを使用し、反対側まで高速移動した。

 これで、反対側から挟撃できる。


 そしてまもなく午前8時となる。

 

 敵軍が完全に目視できた。

 よし、明らかに装備が違う軍が後方にいるな。

 あれが帝国兵だろう。


 そして午前8時となった。

 僕とメイちゃん、エルマは魔力を練り始める。

 メイちゃんとエルマは詠唱も開始する。

 

 敵軍に動きが見えた。

 おそらく巨大な魔力反応を捉え、迎撃準備をしているんだろうね。


 でも、遅い!

 


 まずは僕が先制攻撃だ! 


「極大土魔法『メテオストライク』!」

 

 敵軍の空中に全長50メートルはある巨大な石の塊が現れ帝国兵の陣前方から帝国軍中央に向けて飛来する!

 なすすべなく直撃すると大爆発が起こる。


 そしてそのまま罠を起動!

 ネメ共和国軍の広範囲を感電させ、動けなくした。

 これは長時間である必要はないし、全てを動けなくする必要はない。

 戦いたくなければ、感電したふりをしてればいいんだからね。

 どうせ帝国軍は嘘を見抜くとかそれどころじゃなくなるし。

 

 そこに今度はメイちゃんが追撃する。 


「極大水魔法『メイルシュトロム』!!」


 今度は空中に巨大な渦巻く水の塊を発生させ、そのまま敵にぶつける。

 水の渦は敵を飲み込みながら前進し、一定の距離を進んだ後、その範囲を更に拡大させた。

 

 帝国軍は既に阿鼻叫喚の体を見せている。

 そしてお次はエルマだ。


「極大風魔法『ハリケーン』!!」


 同じく遠くからでもわかるようなレベルの大きさの渦巻く風を発生させ、そのまま敵の後方に打ち出す。

 その巨大な風の塊は、暴風で敵の足を止め、更に飲み込み、切り刻み、最後には弾け飛んだ。

 かなり凶悪だ。


 僕たちの極大魔法で敵はパニックになっている。

 するとどこからか大きな声で、


『馬鹿者共が!薬を使え!!敵は少数だ!さっさと排除しろ!!』


 と聞こえて来た。

 どうやら拡声の魔法を使用した指揮官のようだ。


 掴みはばっちり。

 次は殲滅戦だ!

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