第195話 圧倒的な力 sideガーベラ

私は開始早々のリョウマ達の力を見て驚いた。

 あの魔法はおそらく極大魔法なんだろう。

 

 今、遠くの高台から見てるからわかるけど、敵の数がごっそり減っていた。

 前方の軍を見ると、広範囲に動けなくなっているのがわかった。

 

 多分さっきのはじけるような光が原因だ。

 リョウマから貰った遠くをよく見えるようにする魔道具で見てみると、痙攣しながら動けなくなっているのが見える。

 

 これで、行軍は完全に止まったし、追撃もできない。


 あ、あれはアイシャって人ね。

 空中を自在に動いて、衝撃波のようなものを飛ばしまくっている。

 ・・・凄いわね。


 あっちのウルト様も負けてないわね。

 剣から燃える斬撃?を飛ばしまくってる。

 かっこいいわねやっぱり。


 帝国兵が囲もうとしてるけど、あのエルフの人がウルト様が飛び上がる度に広範囲魔法を放って開いたスペースを作ってるみたい。

 

 メイちゃんって子も矢継ぎ早に高威力魔法を放っているから、敵兵が近づきたくても近づけない感じ。

 どんな魔力量をしているのよ。


 そして少しづつ、後方に回っているみたい。

 多分退路を断とうとしているのね。


 感じ的にアイシャさんとメイちゃんがコンビで、ウルト様とエルフのエルマさんがコンビな感じ。

 側面をエルマさんとウルト様が、後方よりにアイシャさんとメイちゃんがって感じ。


 でも、やっぱり凄いのはリョウマね。

 反対の側面を一人で圧倒している。


 剣、魔法、体術、どれも面白いくらい人が吹き飛んでいっている。

 

 敵は見る限り凄く強いと思う。

 私だと2対1だとギリギリかもしれない位。

 多分さっき飲んでた薬が、リョウマから聞いた魔狂薬ってのなのでしょうね。


 正直、あの帝国軍1万人だけでも私の国を落とせたかもしれないくらいには強いわね。


「・・・とんでもないですな。あの強さ。味方であったくれて心から良かったと思いますな。帝国の精鋭が紙切れのように消し飛んでいる。Sランクとはこれほどの強さなのですな。」


 一緒に見ていた副官がそう言った。

 ・・・多分普通ならSランクの人でもこうはいかないんでしょうね。

 リョウマ達が特別なのよ。


 ウルトさんから聞いたことを思い出す。


「何故、五剣姫のウルト様が、冒険者であるリョウマに付き従っているのですか?」

「私は師匠にかすり傷一つ負わせること無く負けています。そして、ライバルで同じく師匠の弟子であるグレイスも、圧倒的に私よりも強くなっていました。なんとしても弟子入りしたいと思い、無理矢理ついてきました。今はそれが正しかったと思っています。だから敬意を持つのは当然なんです・・・師匠は中々仲間入りを認めてくれませんが。これほど近衛兵になった事を悔しく思う日が来るとは思っていませんでしたよ。」


 そう言って苦笑するウルト様の顔。

 出来ることならずっとついていきたいって事が如実に出ていたわね。


 でも、わかる気がする。

 少ししか会話をしていないけど、リョウマとの会話は面白いし、楽しかった。

 なんだか一緒にいるだけでとても暖かく感じたのよね。

 人が集まるのもよくわかるわ。


 ん?

 なにか動きがあったみたい。


 帝国軍は既に半数以下になっている。

 その中央から、敵兵の三人がリョウマの方に出てきた・・・ってあれ帝国の剣じゃない!!


 何かリョウマと話しているのが見える・・・あっリョウマが首を振った。

 帝国の剣は剣を抜いたわね。

 リョウマ!頑張って!!正念場よ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る