第174話 バム達の来襲

 あっという間に3日が過ぎた。

 みんな基礎が出来ているし筋がいいので、かなり強くなっている。

 戦士たちは3日間で全体的にその実力を上げている。


 これで、かなり戦力を向上させたと思う。

 後は敵の出方次第だね。

 

 僕たちはエルフ族から離れて行動をして、現在少し離れた所から広場を監視中だ。

 一応エヴァンテスさんに渡した通信石を常時繋ぎっぱなしにして、音声は拾えるようにしている。


 一の鐘がなり30分位したところ、里の入口にバム達が来たと連絡があった。

 気配察知を使用すると、里に入ってきたのは3人だけど、里の外に200人位待たせているようだ。


 おそらく今回、里そのものを制圧しようとしているのだと思う。

 なにせエルフの戦士を支配していると思っているだろうからね。

 少数でなんとかなると思っているんだろう。


 バム達三人が広場についた。

 対面には元戦士長と縛られた・・・ふりをしているエルマさん。

 実は里の非戦闘員は既に避難している。


 今回戦闘になった場合、戦うのはエルフの戦士達と戦巫女の3人。

 セルマさんは一応護衛として非戦闘民についてもらっている。

 最初こっちに参加するって言ってたけど、万が一に備える人もいるからね。

 セルマさんはムスってしてたけどなんとか納得してくれた。


『ほほほ・・・これはこれは首尾よく行ったわけですな。なによりなにより。』


 これがバムの声か・・・気持ち悪い声色のおっさんっぽい・・・


『エルマさんも捕まっているようですね。これで墓所の問題も解決ですか。とても良い働きですぞ。』

『それで、予定通りの支援は得られるのだろうな?』

『勿論ですとも。ですが、その前にもう一つの約束を守っていただかなくてはねぇ。』

『墓所への案内だな。こちらだ。』

『ああ、そうそう、ちょっと待ってほしい。一応遺跡ということなので作業員を連れて来ているのだよ。連れてきて良いかね?』

『・・・よかろう。』

『ふむ。それでは二人共、作業員を連れてきなさい。急いでね。』


 広場からバムと一緒に来ていた二人が離れる。

 入口まで行くと200人が合流し、広場に戻ってきた。


『ずいぶん多いな。』

『ほほほ・・・遺跡の調査がありますからな。さて、案内よろしく頼みますよ。っとその前に。エルマさん。これからあなたの飼い主になりますので宜しくおねがいしますよぉ。可愛がってあげますからねぇ。ほほほ。』

『・・・・・・』


 こいつ・・・飼い主だと?

 エルマさんをなんだと思ってるんだ。

 

 僕がすぐにでも殴りに行きたくなるのを必死に耐えていると、広場のみんなが移動するのが見えた。

 よし、後を追おう。

 僕とアイシャとメイちゃん、アリオスさんとイリーナさん、ケーラさんは後を追う事にした。


 その間も通信石を繋ぎっぱなしにしてたんだけど・・・このバムって奴最低だった。

 ずっと如何にしてエルマさんを可愛がるかをしゃべり続けてたんだけど、内容が酷すぎる。

 もうね、アイシャとイリーナさんの身体からは殺気がでちゃってるし、ケーラさんの表情は完全な無表情。でも身体から魔力が漏れてる。メイちゃんも眉根を寄せて怒った表情をしている。アリオスさんもとても怖い表情をしていた。

 みんな良い人だからバムが許せないんだね。

 

 そんな事を考えてたら、アイシャが僕を見て、


「リョウマ・・・ちょっと落ち着けよ。もう少ししたらあいつらにぶつけるんだからよ。」


 ・・・ん?僕そんなにいつもと違うの?


「・・・正直近寄りたくない位に恐ろしいですわ。顔は無表情なのに雰囲気が・・・」

「・・・そうですね。私も頭に来ていますが、リョウマ様のそれは恐ろしすぎて・・・絶対に敵にはまわしたくありませんね。」


 ・・・だってムカつくんだもんあいつ。

 エルマさん凄く良い人だから余計に許せない。


 そうこうしていると、広い空間に出た。

 

『さて、バム殿。少しお聞きしたいことがある。』

『ほほほ。なんですかな?』

『本当の目的を教えて頂きたい。我々は既に協力していく体制は整っている。教えて頂けないか。』

『・・・ふむ。我々に協力する、と?』

『ああ。何せあなた方について行けばもっといい思いができそうだからな。だめだろうか?』

『・・・いいでしょう。教えてあげましょう。我々の目的は墓所にある魔神の力を我々真神しんじん教徒の力とするためです。コントロールする方法は既に確立されていましてね。そうすれば世界は我々真神教徒のものになる。』

『もっとうまい汁が吸えるということだな?』

『その通り!!金も女も思い通り!!素晴らしいでしょう!?』

『ふむ』

『それにしても慧眼をお持ちですな。エルフの長老連中とは違いますな。』

『そうだろうか。』


 よし。

 情報収集は充分だな。

 僕は通信石を一回こつんと叩く。

『ん?なんの音でしょうかな?』

『それよりバム殿、もう一つ聞きたいことがある。」

『なんでしょうかな?なんでもお話しますぞ。』

『あなたは何故我々を支配しようと思ったのですか?』

『!?な、なんの事ですかな!?』

『もう隠さなくてもいい。既に首飾りは全て破棄した。後はお前たちを排除するだけだ。』

『!!なんだと!?』

『ここに来るまでずっと殺すのを我慢したよ。だが、もうその必要はなさそうだ。』

『く!?エルフ風情が!!おい!エルフを皆殺しにしろ!!』


 さて、参戦だ!!

 僕たちは敵に突っ込んだ。

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