第162話 お風呂 sideアイシャ

 あたし達は今リョウマがこの間作った屋外用の風呂に入っている。

 この風呂ってのはいいな・・・リョウマが作った色々な物の中でも上位に来る位好きだ。


 あたしとメイは慣れた様子で服を脱ぎ、かけ湯をして湯船に浸かる。

 イリーナとケーラはそれを見て躊躇しているようだった。


「なんだよイリーナ。入らないのか?」


 あたしは既にイリーナに呼び捨ての許可を貰っている。

 結構気が合うんだよな。

 多分グレイスもおんなじじゃないかと思う。

 共通点はなんだろうな?


「いえ・・・中々人前で裸になるのは勇気がいりますわね。」

「あっはは。ビビってんのか?」


 あたしがそう言って笑うとイリーナはムッとして、


「その挑発、乗ってやりますわ!」

「お嬢様!?・・・ならば私も!!」


と言って二人はバッと服を脱いだ。

 

 イリーナはすげえスタイルだな・・・あたしも負けては無いと思うが、どうしても怪我が色々あるからなぁ・・・

 ケーラは引き締まった身体をしている。

 鍛えているのがよく分かるな・・・胸は小さいが。


 二人は、教えたとおりかけ湯をしてから湯船に入った。


「・・・ふぅ。熱いお湯に浸かるのがこれほど気持ちが良いとは知りませんでした。これもリョウマさんが考えたのですか?」


 イリーナが気持ちの良さに崩れた笑顔でそう言う。

 う〜ん・・・考えたのはリョウマじゃないだろうが・・・


「・・・まぁ、作ったのと入る作法を教えてくれたのはリョウマだぜ。」


 こう答えておいた。

 少ししてから、身体を洗って露天風呂に移動する。

 二人は外で入浴するのにまた躊躇していたが、あたしとメイが全然照れていないのを見て外に出てきた。


「また違った良さがありますわね。」

「そうですね・・・」


 二人は満足しているようだ。


「それにしても、お二人共リョウマさんに覗かれるとは思わないのですの?」

「あー・・・むしろ覗いてくれねぇかなと思う時はあるぜ。勿論リョウマだけにだが。」

「そうですね。お兄ちゃんはもうちょっと私達を意識してくれたら良いのに。」


 あたしとメイの答えにイリーナはびっくりしている。

 そして笑顔になった。


「アイシャさんとメイさんはリョウマさんが本当にお好きなのですね。アリオスの話だと、妹さんのリディアさんやグレイス様もと聞いています。おモテになるのね。」


 リディアはさんだけどグレイスは様なんだな。

 五剣姫に憧れてるって言ってたからか?

 まあそれはそれとして・・・


「他にもシエイラやルーもいるしな。何よりリョウマには相手がもういるんだ。あたし達は会ったことないけどな。っと・・・これ以上はリョウマから聞いてくれ。まあ、あたしに言えることはリョウマ以外とつがいになる気は一切ねぇってことだけだ。」

「私もです。お兄ちゃんはかっこいいし優しいしすごい人ですから。それにリディアお姉ちゃんやグレイスお姉ちゃん、シエイラお姉ちゃんも好きだし、ルーさんも好きです。皆で仲良くしたいです。」


 あたしとメイがそう答えると、イリーナとケーラはにっこり笑った。


「リョウマ様が有能なのは考えるまでもありませんね。石鹸もさることながら、このしゃんぷーというのと、こんでぃしょなーというのは凄いです!髪がとても通りがよくなりました。」


 ケーラがそう言うと、イリーナは興奮して、


「そうですわ!これ凄いですわね!!びっくりいたしましたわ!!」


 と詰め寄ってきた。


 あたしは笑いながら、


「イリーナはアリオスさんと結婚すんだろ?ならリョウマに作って貰えばいいさ。風呂は確かもう作ってあるだろうからメイビスの家にはあるはずだぜ?結婚して新居ができたら頼んでみたらどうだ?」

「是非そうさせて頂きますわ!ケーラ!あなたも嬉しいでしょう?」

「はい、お嬢様。一生御使え致します。」


 ケーラはキリッとしてそう言った。

 それを見てメイが笑いながら、


「うふふ。ケーラさんそれじゃあイリーナさんよりも、お風呂やしゃんぷーなんかがあるから仕えるみたいですよ?」


と言うと、ケーラは慌ててイリーナを見た。


「お・お嬢様!違いますよ!!私はお嬢様に忠誠を・・・」

「ふふふ、ケーラ。わたくしはちゃんとわかっていますからね。」

「お嬢様・・・」


メイがこんな冗談言えるようになるとはな・・・これもリョウマのおかげか。

やっぱりリョウマが大好きだなあたしは。


こうしてあたし達は風呂を楽しんだ。

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