第163話 森の中の出会い

 女性陣の後に、僕とアリオスさんも入浴して、女性テントと男性テントに別れて睡眠を取る。

 と言っても、僕とアイシャとメイちゃんは見張りを交代でやる予定だから、馬車の中で仮眠だけどね。

 最初アリオスさん達は見張りをもやるって言ったけど流石にそれは断った。

 むしろ、疲れを少しでもとって明日に備えて欲しい。


 最初にアイシャと僕が休んで、次にメイちゃんと僕が交代、最後にアイシャと交代する。

 一応結界を張っているから大丈夫だと思うけど念の為ね。


 夜間帯は特に問題は起こらなかったので、食事をしていざ森の中へ!

 今回形上は散策となっているけど、実質は森内の調査。

 何か変わった魔物なんかが生息していないかなんかのチェックだね。


 半日ほど森の中を進み、休憩を取る。


 食事は僕とメイちゃんの手製のお弁当です。

 評判は中々上々、みんな笑顔で食べてます。

 

 食事を終えたらまた進む。


 異変は休憩後二時間位経過した時に起こった。


 僕の気配察知に人が争っているような反応があった。

 僕が立ち止まると、アイシャも察知したようでこちらを見る。

 僕たちの変化をみんなも気づいたようだ。

 アリオスさんが代表して僕に、


「リョウマ。何かあったのか?」


 と聞いてきた。


「この先で誰かが争っている反応がある。距離は100メートル位先。おそらく人同士。どうする?」

「・・・そうだな。気づかれずに近くまでいけそうか?」

「相手の練度にもよりますけど、僕とアイシャなら100%気づかれずに近くまでいける。皆で行くなら50メートル位かな。」

「・・・なら君たちだけ先行できるか?僕たちはギリギリの所で待機しよう。」

「了解。」


 僕たちは先に進んだ。

 アイシャ以外は途中で待機してもらい二人で進むと、少し開けた場所で、戦っている気配が濃厚になった。


 こっそり伺ってみると、フードを被った人と、それを囲むように5人位の人影が見える。

 人影はみんな武器を手に持っており、フードを被った人を追いつめているようだった。


 聞き耳をたてていると声が聞こえてくる。


「いい加減諦めてその首飾りを渡したらどうだ?その後は命まではとらん。命まではな。」

「・・・それはできません。あなた方の目的はわかっています。それに、命だけ助けられてもその後はどうせ慰みものとするのでしょう?」

「よくわかっているではないか。抵抗するのであれば仕方がない。手足を折って抵抗できなくなるようにしてから、心が折れるまで嬲ってやろう。幸いここには五人もいるからな。交代すれば休ませず犯せる。こいつらは若く性欲旺盛だ。その分無茶苦茶するかもしれんがな。」


 男はフードの人にニヤニヤしながらそう言った。

 囲んでいる他の男も下卑た顔して舐め回すようにフードの人を見ている。


 フードの人はたじろぎ後ずさったが、すぐに木に背中が当たり下がれなくなってしまった。


「・・・嘆かわしい。それでも誇りある戦士の姿ですか!!」

「誇り?そんなもので飯は食えない。お前達が自然のままに生きるなどと嘯いているせいで我々は常に質素な生活をしている。もうそんな時代ではないのだ。幸い我々には出資者がついた。ならばそんな生活から脱却を図るのは当然だろう。そのためにはお前たちは邪魔なのだ。特にお前とその首飾りには出資者から大金が賭けられている。生まれの不幸を恨むんだな。」

「くっ・・・ここまでですか・・・女神よ・・・どうか・・・」


 そう言ってフードの人は、手に持っていた短剣で首飾りを破壊しようとしたが、囲んでいた一人が短弓で短剣を撃ち落とした。


「おっと。それ以上動かないことだ。お前が動いたらお前達の一族を皆殺しにし、女は全て慰み者にする。」


 リーダーらしき男がそう言うと、フードの人は動きを止め、絶望したようにその場に立ち尽くした。

 それを見てリーダーらしき男は顔を歪め、近くにいた男に向かって、


「おい、そいつを捕まえて口に布を噛ませろ。それで服を全て剥ぎ取ってやれ。何か武器がないか確認するんだ。・・・俺が楽しんだ後は好きにしろ。但し、必要以上に痛めつけたり傷つけたり殺したりするなよ?出資者が怒るからな。」


と言った。

 

 僕は怒気を我慢して抑える。

 アイシャを見ると歯を食いしばって耐えている。


 いや、これ以上耐える必要はないか。

 どう見てもアイツらが悪者だ。


 僕はアイシャを見ると、僕の意思が伝わったのか、アイシャは嬉しそうにこくりと頷いた。

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