第161話 樹海の森
アルメスを出て2日目、僕たちは今、森の入口に立っている。
人数は僕達三人とアリオスさん、イリーナさん、ケーラさん。
ケーラさんは他にも護衛を連れて行こうとしたけど、Sランクが護衛だからとイリーナさんが拒否し、アリオスさんも付けていない。
本来であれば3日程かかる旅路ではあるけど・・・そこは僕達、抜かりはない。
人数が減ったので、いつも僕たちが使っている、僕作成の『ぼくがかんがえたさいきょうのばしゃ』で出かけることにした。
まず、馬車本体には重力軽減の付与と、対魔対物の結界を付与。
車輪にはゴムをつけ現代のタイヤに近い形状に。
タイヤ取付部のそれぞれに、魔法と鍛冶を駆使したショックアブソーバーを設置。
タイヤ付近にはブレーキシステム・・・というかディスクを魔法で強化したゴムで挟むものを取り付け、行者席にレバーを付けて、握り込むことで作動するようにした。
馬車を引くのは僕お手製のゴーレムウルフ2頭。
魔力を練り込んだ石で出来ていて、疲労知らずな上、走るのはグレイウルフなんかの魔物と大差ないレベルだから馬よりもずっと早い。
戦闘力はグレイウルフより少し強い程度だけど、硬く壊れにくい。
餌もいらないし、操作は手綱を使って簡単に出来る。
何より生き物じゃないからストレージに入るしね。
相乗効果もあって一日短縮して目的地に着いた。
「・・・こんなに早い速度で走る馬車には初めて乗りましたわ・・・」
「そうですねお嬢様。それに乗り心地も今まで乗車した物より断トツで良いです。」
「リョウマ、これ今度作ってくれない?メイビス家用に。」
馬車に乗った感想を聞きながら、野営の準備をする。
流石に夜の森は危ないからね。
アイシャは森の中の偵察、メイちゃんとケーラさんは夕飯の準備、僕とアリオスさんとイリーナさんはテントの設営にわかれる。
イリーナさんは馬車の中でかなり打ち解けられた。
元々好奇心旺盛なので、色々な話をしたけど好感の持てる人だった。
僕たち平民や獣人を見下さないし、やるべきことは率先してやる。
リディアの『眼』は確かだった。
アリオスさんも良い人見つけたね。
アイシャが戻って来たので、打ち合わせがてら食事を取る。
「森の中は普通・・・だったんだがな。なんか妙な気配がする・・・気がする。」
なんだろうね?
明日の散策は要注意という事になった。
食事を終え、テントに入る・・・前に、入浴するかどうかを尋ねた。
入浴するならそれ用のテントを出すけど。
「入浴?ってリョウマの家のお風呂の事か?そんなこと出来るのか?」
アリオスさんにそれ用の建物がストレージにある事を説明すると、入りたい!と言ったので、テントから少し離して設置する。
イリーナさんとケーラさんは唖然としていた。
だいたい二十帖位の広さで、外壁を2メートル位で目隠しとしている。
十帖位は脱衣所兼室内風呂としてあり、残り半分は露天風呂にしてある。
のぞきと強襲防止に結界を張ってあるから露天風呂も安心。
まずは女性陣が入浴。
イリーナさんとケーラさんは入浴方法がわからないので、アイシャとメイちゃんに任せた。
僕たちはその間片付けと念の為の警戒。
「イリーナはどうだ?信用できそうか?」
「そうですね。ケーラさんも良い人そうだし、この旅が終わるくらいには僕の事を話してもいいかなと思ってますよ。」
「そうか。私はお前を友人だと思っているからな。できれば、妻になる人にお前の事を隠したくないんだよ。そう言ってくれて良かった。」
僕たちはそんな事を話しながら女性陣が入浴を終えるのを待つのだった。
・・・のぞき?ないない!バレたら殺されるよ・・・桜花に。
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