第149話 王都にて

 王都は大きい、とても大きい。

 遠くからでも見える外壁に城の一部と思われる塔の尖端。

 外門に向かう人の流れ。

 どれも今まで見てきた街より断トツだ。


 門には入場待ちの人が並んでいる。

 僕達は例によって貴族向け門へ。

 でもそちらも人が並んでいる。

 流石王都だね。


 受付を終え中に入る。

 人通りが多いなぁ。

 

 僕たちはリディア達の案内で冒険者ギルドへ。

 依頼終了の報告をし、外に出ると、リディアが唐突に、


「さて、この後どうしましょう?私達は寮住まいなのですが、その『扉』はどこにつける予定なのですか?」


と聞いてきた。


 そうだなぁ・・・一番いいのはリディア達の部屋だけど・・・


「なら、私とグレイスは寮の部屋に戻りますので、リョウマさんはこっそり忍び込めますか?何せ女子寮の為、寮内は男子禁制なので。」


 そうするか。

 連絡は通信石で取ることにして、リディアとグレイスは僕たちと別れ、僕たちは適当な食事処で待機する。


 食事後リディアから連絡を受けたので、こっそり寮へ。

 透明化の魔法を使い、敷地内に入り窓からリディアの部屋に侵入した。


 部屋はとても広い。

 流石は貴族の子女が滞在する部屋だね。

 いい匂いがする・・・・は!?いけないいけない。


 僕は間取りを見て、リディアの寝室の、邪魔にならない場所に扉をストレージから出し、設置した。


 そして、魔力を練り上げ付与をする。

 終わる頃にはぐったりしてしまった。

 やっぱりこの付与は魔力を食うなあ・・・


 一応テストしたけど無事僕達のホームの敷地内地下に転移できた。

 よしよし、バッチリだね!


 僕はリディアとグレイスに扉の使い方を説明し、安全弁として付けてあるキー代わりにつけてあるロックの解除方法を教えた。


 これで、二人だけでもいつでも戻れるね。

 

 さて、この後は夜になるのを待って、アイシャ達と再度リディアの部屋に忍び込んだら扉でホームに帰るだけだ。

 一度みんなでホームに戻って、リディアとグレイスとの別れは向こうでしっかりすればいいだろう。


 そこまでリディアと打ち合わせした時、ドアがノックされた。

 どうやら来客のようだ。


 僕は来たときと同じ様に、姿を消して窓から脱出した。


 アイシャ達と合流して、夜まで時間を潰す。

 王都は色々と売っていて面白いなぁ。


 メイちゃんやアイシャに服を買ってあげたり、珍しい香辛料や食材を仕入れる。

 あれこれ買っていると気づいたら夕暮れ時になっていた。


 夕飯を食べ終え、店内でまったりとしていると、リディアから向こうの準備が整ったと連絡が来た。


 僕たちは徒歩で女子寮に向かう。

 寮は学院の敷地内にあり、外周は塀で囲まれていた。

 

 僕たちは門番にバレないように正門を歩いて素通りし、人が居ない所を見繕って準備を始める。

 

 まず、僕がメイちゃんを抱え、アイシャは自力でついて来る予定だ。

 学院の塀には魔法で侵入者対策が取られているので、結界に穴を開ける。


 そして僕達は穴から敷地内に侵入し、女子寮に向かう。この時僕は姿が見られないよう魔法を使い、アイシャは匂いと気配で僕を追走した。


 リディアの部屋はもう把握しているので、三階にある部屋まで飛び上がり、開いている窓から中に滑り込んだ。


 部屋の中には・・・リディア達と・・・シエイラとルーさん!?なんで?・・・まあいっか。

 僕たちより先に飛び込んできたアイシャに、シエイラとルーさんはびっくりしている。

 僕も透明化を解除するか。


 突然姿を表した僕に二人が更に驚くけど、リディアとグレイスが二人の口を咄嗟に押さえて事なきを得た。


 叫ばれたらヤバいもんね。


 取り敢えず、アイシャとメイちゃんの紹介もあるけど、まずはホームに行くとしよう。


 すでに、シエイラ達には扉の話はリディア達がしてくれていたので、すぐにホームに移動した。

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