第150話 ホームでの送別会
ホームの敷地内地下へ移動すると、みんなキョロキョロしていたので説明する。
ここは敷地内の池の近くに設置されている、灯籠内にスイッチがあり、そこに魔力を流すと、灯籠がズレて地下への階段が現れるようになっている。
地下室は20帖位の広さで、部屋の奥に扉が設置されている。
地下の入口にある石版に魔力を流せば地上への入口が現れる仕組みだ。
地下室には今の所、扉が2つあり、一つは王都のリディアの部屋で、もう一つはジラートさんの家に繋げる予定だ、ということを話した瞬間、シエイラが飛び込んできた!?
「リョウマさんありがとう!これからはこっそり会いに来ますね!」
僕がびっくりしてドギマギしていると、ルーさんも近づいて来て、
「私も旦那様のお屋敷に今後もお邪魔させて頂きます。昼でも夜でもお好きな時にお呼び下さい。」
いやいや、まだ雇っていませんから!
とりあえず、シエイラはリディアが引き剥がし、屋敷に移動した。
居間まで移動する間も、日本建築が珍しいのか、シエイラもルーさんもキョロキョロとし、設備に感心していた。
居間で飲み物を準備し、みんなに行き渡らせると、取り敢えず大事なことを終わらせてないことを思い出した。
「シエイラ、ルーさん、こちらは仲間のアイシャとメイちゃんだよ。アイシャとメイちゃん、ここにいるのはテロア伯爵家の令嬢であるシエイラ・テロアと使用人のルーさんだよ。仲良くしてね。」
すると、アイシャが一歩前に出た。
「冒険者のアイシャだ。こっちが妹のメイ。悪いが育ちもあって敬語は苦手だ。気を悪くさせたら悪い。」
「メイです。よろしくお願いします。」
メイちゃんも会釈する。
「いえ、こちらこそよろしくお願いします。それにリディアから私と立場は同じと聞いています。敬語無しで、呼び方も敬称なしで良いですよ。仲良くして下さい。」
「私は、少し立場が違いますので、私からは敬称を付けさせて頂きます。私の事も呼び捨てで構いません。よろしくお願いします。」
シエイラ達がそう言うと、アイシャはニッコリ笑った。
「そうさせて貰うぜ。あたしもリディアから聞いてるよ。あんたが最初にリョウマに告白したんだろ?見た目清楚なお嬢様っぽいのに勇気あるんだな。仲良くできそうだ。」
アイシャのセリフにみんなは破顔した。
さて、
「挨拶も終わったし皆グラスを持ってくれる?持ったね?それじゃ、送別会を初めます。乾杯!」
「「「「「「乾杯!!」」」」」」
送別会は始まった。
みんなで小一時間位談笑する・
主な話題は・・・僕の事。
ううう・・・肩身が狭い・・・居た堪れない・・・
だって、みんなチクチクと僕が受け入れないことや手を出さないことを責めて来るんだもん・・・
そりゃね、僕だって思うところもあるのだけど・・・でもやっぱり桜花を裏切りたくないんだよねぇ・・・
でもみんなの気持ちもわからないでもないし、正直、情も沸いてきているんだ。
だから・・・不満は甘んじて受けますとも。
途中酔ったシエイラやアイシャなんかがベタベタ絡んで来たので、素数を数えることになったけど・・・甘んじて受けますとも・・・顔はニヤついちゃうけど。
宴もたけなわという事で、いよいよ解散することになった。
これで気軽には会うことは出来なくなくはないけど、毎日という訳にはいかなくなる。
いくら扉で移動できても、いつも部屋にいなければ怪しまれちゃうからね。
課題や研究もあるらしいし。
「それじゃリディア、グレイス、シエイラ、ルーさん。お元気で。頑張ってね。」
「リディア達頑張れよ!あたし達も頑張るからさ!卒業するの待ってるぜ!」
「リディアお姉ちゃん、シエイラお姉ちゃん、お勉強頑張ってくださいね。グレイスお姉ちゃん守ってあげてね。ルーさんも頑張って下さい。」
僕たちのセリフに、四人はちょっと涙ぐみながら、
「はい、待っていてくださいね。時間がある時はこちらに来ます。リョウマさん、アイシャとメイちゃんばっかりにかまけちゃ嫌ですよ。」
「アイシャ、修行は欠かさないようにな。そして抜け駆けするなよ。メイちゃん、身体には気をつけて。リョウマ・・・先っぽ位なら許す。」
「皆さんお元気で。アイシャさんメイちゃんうまく行ったら教えて下さい。私も続きます。夜にこっそりと。」
「お嬢様、私も連れて行って下さい。」
・・・おかしい。
ここは一時的とはいえ別れを惜しむ大事な場面だと思うんだけど・・・なんか違う。
こうして四人は王都に転移していった。
さて、僕たちは明日から冒険者家業・・・の前に、生活雑貨の購入かな。
一応王都でも買ったけど、足りないものを買って、ついでに冒険の準備を進めよう。
明後日からは冒険者として活動しながら情報収集だ。
頑張るぞ!!
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