第141話 僕が求める強さ

 依然ゲルムスの猛攻を捌く僕。

 しかし、薬の影響なのか、疲れしらずのゲルムスに対し、僕は疲労を自覚していた。


 あまり長丁場はまずいな・・・


「ははは!どうした!先程の勢いがないぞ!!安心するが良い。貴様が死んだ後は、きっちり全員殺してやるからな。お前の女も全員かわいがってやってから殺してやるさ!いや、四肢を切ってから教団の慰み者として献上してもいいかもな!!俺の出世の役に立つなら奴らも本望だろうよ!ふはははは!!」


 カワキが煽ってきた。

 ふー・・・落ち着け、ムカッときたけどここでキレたら隙だらけになりそうだ。


 一つ一つ終わらせていこう。


 まずはゲルムスだ。

 このままではまずい。

 ゲルムスはSランクとしての技術をしっかりと使ってきている。


 ちょっと強くなって、自分と同じ位のスピードで動けるようになったからといって、すぐに封印を解除するという考え方ではこの先はない。


 僕の目的のためには、今以上に強くなる必要がある。

 最終目的は神を名乗る敵なのだから。

 このくらいの苦境で足踏みしている場合じゃない。

 

 自分より明らかに強い相手にも打ち勝つ強さを得なければ。

 こいつは、良い訓練相手だと思おう。


 僕は冷静に相手の攻撃を捌き始めた。

 すると、今まで見えていなかったものが見えてきた。


 奴は槍使いだ。

 その技術は確かにSランクと言えるほどの練度だった。


 でも、奴の槍は折ってやったから、ショートスピア位の長さになっている。

 槍を折る前より、明らかに攻めづらそうだ。

 

 なら、その隙きをつく!


 足を止め頸を練りながら、魔力を体中に循環していく。

 奴の攻撃は鋭いけど、冷静に入ればそれでも捌ききれないことはない。

 それでも、体中にかすり傷が増えていく。 


 だけど・・・致命傷でなければどうとでもなる!


 一撃で決める!!


 ゲルムスが、僕が足を止めていることを見てか、破壊力のある攻撃をしようとして、右手に持つ槍を思い切り振りかぶった。


 ここだ!

 胸の中心を突き下ろすように来るゲルムスの槍突きを、僕は潜り込むようにして躱す。

 背中に激痛が走った。

 おそらく避けきれず切れているんだろう。

 

 でも、おかげで懐まで潜り込めた!

 相手までの距離はほとんどないけど・・・僕にはまだ攻撃手段はある!

 

 魔力を体中に循環させ、身体強化を全開にしながら、ゲルムスの胸に拳を突きつけて、練った頸を一気に放ち突く。


 寸頸。


 ゲルムスの動きが止まった。


 そして・・・ゲルムスは、目、鼻、口、耳から血を吹き出しながら、その場に崩れ落ちた。

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