第137話 決闘(2)


「それではこれより決闘を開始する!!はじめ!!」


 アルザードさんはそのままみんなのところまで下がっていった。


 さて・・・まずは・・・『亀甲式結界』!

 僕は、この周囲一帯に亀の甲羅のような半円形の結界を張る。

 アルザードさん達は結界の外だ。

 これで流れ弾も防げるね。


 アゼル達は、僕の張った結界に驚いてキョロキョロしている。


「さあ、これで逃げることはできないよ。」


 僕がそう言うと、ゲルムスは首を傾げていた。


「・・・何をいっているんだ?何故こちらが逃げなければならない?」


 教えてあげよう。

 僕はアゼル達の兵がいる方に手を翳し、


「こういう事。『エアボム』」


 中央付近に向かって風の爆弾を打ち出した。

 着弾すると、扇状に半径30メートル位に渡って人が吹き飛ぶ。


「な、魔法師か!!しかし、無詠唱だと!?」


 ゲルムスがそれを見て驚く。


「ハズレ。」


 僕はその隙にゲルムスに肉薄した。

 当然ゲルムスは気づいて、間合いを外そうとバックステップするが、鈍重な鎧を着ていて離れられる訳がない。


 そのまま踏み込み、掌を上に向けた状態で腕を折りたたみ、中段肘打ち・・・裡門頂肘を打つ。


「おごっ!?」


 ゲルムスは10メートル位吹き飛ばされていった。

 今のうちに、他を片付けようかな。

 

 固まっているアゼル達を放置し、視線をアゼル達の兵に向けた。

 刀をストレージから取り出し、兵たちに突っ込んだ。


 まず、いきなり突っ込んで来た僕に驚いている、兵たちを抜刀で5人まとめて戦闘不能にする。


 兵は切られていないが、鎧なんかに棒状の凹みができている。

 

 これはグレイスに教えた、魔力を纏わせることの応用で、刃の部分を覆い、切れないようにした上で、抜刀時のみに魔力剣を伸ばし振り抜いたんだ。


 命をとらないようにした配慮だね。

 とはいえ、また参加されても面倒なので、戦闘不能にはなってもらう。

 まあ、骨折くらいは覚悟の上でしょ。


 そこで、動かなかった兵もようやく動き出し、僕に飛びかかってくるので、都度迎撃する。


 切り上げ、振り抜き、切り下ろし、突き。

 どんどん立っている兵士の数が減っていく。


「舐めるな!小僧!」

 

 すると、横合いから、戦線に復帰したゲルムスが突きを放ってきた。

 その鎧の中心付近には大きな凹みがある。

 さっきの裡門頂肘で打った場所だ。


 流石Sランク。

 ダメージは薄そうだ。


 僕はゲルムスの槍突きを、右手の刀を縦にし、槍を払いながら身体を回転させつつ前進し、刀を遠心力のままに横に振り抜いた。


「廻里流剣術『流転』」

「ぐうううっ!」


 ゲルムスは脇腹付近を横薙ぎにされまた飛ばされる。

 

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