第138話 決闘(3)
僕の業にふっ飛ばされたゲルムス。
今度は、脇腹付近に横棒状の凹みが出来ていた。
それを見て、周りの兵士達は驚愕しているようで、中には顔が恐怖に歪んでいる者もいる。
そりゃ、Sランクが何度も吹っ飛べばそうなるかな。
まだまだ兵士の数は半分くらいいるけど、何人か逃げ出そうとしているみたいで、結界端で結界に阻まれていた。
その結界は結構な強度だからそう簡単には破れないよ。
「逃さないって言ったよね?『蛟(みずち)』」
僕はオリジナル魔法の水の大蛇を、結界端の兵士たちに放つ。
大蛇はそのままうねりながら兵士達に突っ込んだ後、鞭のように尻尾を横薙ぎにした。
直撃したその場付近にいた兵士達は、その衝撃に昏倒していた。
「何をしているゲルムス!兵ども!敵はたった一人だぞ!!さっさと片付けないか!!」
アゼルは激昂して喚いているが、近くにいたイブルは顔色を変えていて、カワキは何か考え込むような顔をしていた。
「このぉ!!」
立ち上がったゲルムスが、槍を振り回しながら突っ込んで来た。
突き、払い、どちらもかなり練度が高い。
でも、僕はその全てを躱していく。
そして躱しながら周囲の兵を倒していく僕に、業を煮やし、
「ちょこまかと逃げやがって!!当たりさえすれば貴様なぞ!!」
ふーん。
じゃあ・・・
「なら止まってるからやってみれば?」
この僕のセリフに、激怒したゲルムスが、
「貴様あああぁぁぁ!このゲルムスが代名詞を見せてやる!喰らえ!!『バリスタァァ』!!」
ゲルムスは今までで一番強い身体強化を使い、槍を両手持ちのしたまま僕に突っ込んできた。
かなりの速度と重量、破壊力は申し分ないだろうなぁ。
僕が相手じゃなければね。
僕は刀をストレージにしまい、槍に対して正面を向く。
腰を落とし、両手を前に突き出し二本の指を立て、練功すると同時に、魔力で身体強化を最大までにする。
ゲルムスの槍は僕の腹めがけて一直線だ。
わかりやすい。
僕は腹に練功した気を集中させると共に、魔力を全身に張り巡らす。
ゴオンッ!!
とても槍がぶつかったとは思えない轟音がなり響いた後、そこには僕の腹に槍を止められたゲルムスと、一歩も動いていない僕がいた。
「な・・・に・・?」
「もっと修行してたら、突き刺すくらいは出来たかもね。」
唖然としているゲルドにそう言うと、僕は槍を手刀で切った。
「・・・は?」
「そしてこれで終わり。」
僕は槍を構えたまま固まっているゲルムスに大きく一歩大きく踏み出しながら腰を落とし、震脚、右手掌をゲルムスの鎧中央に突き出した。
猛虎硬爬山。
八極拳の絶招の一つ。
「ゔっ!!」
ゲルムスはそのまま槍を取り落し、両膝をついて前のめりに倒れ込んだ。
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