第118話 アルメスに到着した夜 sideリディア(1)

 

 私達は、リョウマさん達と分かれた後、自宅に向かいました。

 使用人たちの出迎えを受けて、そのままお父様が待つ書斎に向かいます。


「よく戻った。リディア、グレイス、無事で何よりだ。バルムスでの事はリディアからの文で簡単には把握したが詳細を教えて欲しい。」


 この人は私のお父様である、アルザード・リヒャルト・メイビスです。

 お父様は巨躯に鍛え抜かれた身体を持ち、剣技も修めており、その実力は王国でも有数といわれております。


 若かりし頃には、王国の近衛騎士団長にすら伍するとまで言われた実力者です。


 でも、見た目は厳ついものの、娘の私達子供と母を溺愛しております。

 と、いっても、そこは公爵家の当主。


 王国の為であれば、娘の私であっても駒のように動かす非情さも持ち合わせているのですが。


「はい、それでは詳細をお話しますが・・・その前に一つ納得頂くことがあります。それができなければ、全てを詳らかにすることは出来ません。」


 私がそう言うと、お父様は眉根をよせて、


「それはメイビス当主の私であっても、ということか?」


と威圧しながら言います。


 素晴らしい覇気だと思います。

 以前の私であれば、それだけで萎縮してしまい、まともに話すことは出来なくなってしまったでしょう。


 ですが、


「はい、その通りです。たとえお父様であっても、です。実力行使で来られるなら、私も反撃させて頂きます。勿論グレイスも同様の判断をするでしょう。」


 その程度の威圧では今の私には効果は薄いです。

 はっきり言って、リョウマさんの圧力を訓練中何度も受けた私達には。


 そう冷笑を浮かべ答える私に、お父さまは驚いた表情をした後、威圧を消した。


「・・・正直驚いている。グレイスはまだしも、お前も動じないとは。道中襲撃があり、命のやり取りを経験したといっても、この私の威圧に耐えるとは・・・話を続けてくれ。」


「ありがとうございます。お話の前に、お母様をお呼び頂けますか?これからする話は、メイビス家だけの話では無くなる可能性・・・いえ確実に無くなるでしょうから、お母様も同席いただいた方が良いでしょう。」


 お父さまは訝しげな顔をしていから、脇に控えていた老齢の執事にお母様をお連れするよう言いました。


 

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